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第17話 合否結果

 ごめんなさい、やはり書く時間が確保出来ないのでこれからは週に1,2話投稿するくらいの頻度を目安に頑張りたいと思います。

 § 第17話 合否結果 §

 

 

 

 

 翌朝。

 

「起きろナギ、合否が発表されるぞ」

 

「んん……え、早くない?」

 

「そんなもんだろ」

 

「そんなもんなのか……わかったすぐ行くよ」

 

 朝食を軽く済ませ校門前に向かう。

 

「見えてきた……って、なんだ?」

 

 また昨日と同じような人だかりが校門前の掲示板に人だかりが出来ていた。

 その掲示板には受験者の名前が張り出される公開処刑制、名前だけならまだしも点数まで貼られるのがこの掲示板の嫌なところ。

 ただおかしいのはそこではない。掲示板に人が集まるのは当然なのだが、合格した者の雄叫びや運が悪かった者の嘆きなどは聞こえず、ヒソヒソとした話し声がするだけだった。

 

「え、みんな静かすぎない?」

 

 などと思ってると、

 

「ナギ!」

 

「ん? ユムじゃん、どうかした?」

 

 人だかりの中からユムとガウェインが出てきた。

 

「ユムじゃん、どうかした? じゃねえよ! お前やばいぞ!」

 

 そんなこと言わないでよ……やばい? 落ちたのか? まあ団長とやりあったのがやっぱりお気に召さなかったか……筆記も問題ヌルすぎて油断したしケアレスミスが多かったんだ……

 

「えっと……ナギ・ロードはどこだ……は?」

 

 掲示板には、3位ユム・シュール 188点 2位ナズナ・ガーデン 198点 1位ナギ・ロード Error

 

「………………」

 

「何したんだよお前」

 

「こっちが聞きたいわ! なんだよエラーって!」

 

「いくらなんでも夜中の学園に忍び込んで改竄は汚いぞナギ」

 

 いつのまにか横に居たガウェインにも言われる。

 

「てめぇもかガウェイン! なんでそんなめんどいことするんだよ!」

 

 エラーって……改竄するんだったらバレない程度の改竄するわ。

 

「あー、失礼。通るよ〜」

 

 校門から人混みをかき分けて出てきたのはヴァーミリオン学園の校章の刺繍が背中に大きく施されてるジャケットを羽織った髭の生えた大男だった。

 

「校長っぽくね?」

 

「校長だね」

 

「校長だな」

 

 いかにも校長っぽい見た目の男は掲示板の前に立ち……


「えーどうもヴァーミリ校長、ガンドルフです。えー色々聞きたいことがあるとは思うが、まず合格者はおめでとう。落ちたものはとっとと帰って来年の準備でもしてろ」

 

「うわ、きっついなぁ」

 

「その人なりの優しさなのかも」

 

「ただ口が悪いだけだろ」

 

 聞かれない程度の小声で話す。

 

「えー、次に掲示板の自分の名前の横にA〜Eまでの文字があると思うが、それはクラス分けの結果だ。この話の後はAが出てるやつは1-Aに行く、そんな感じで進めてくれ、ほいじゃあ解散」

 

 なるほどな、俺は……


「Aだ、お前らは?」

 

「お、同じだ」

 

「俺様もだな」 

  

 全員同じとは運がいいな。さて、みんなはもう自クラスに向かってるな、俺も向かうとするか……

 

「あの、お時間いいですか」

 

 複数の生徒が解散してる中、1人の女生徒が校長に声をかけた。

 

「なんだ?」

 

「ナズナです。そこの掲示板に乗っている1位の結果についてなにか言うことがあるんじゃないんですか?」

 

 ナズナ……2位か。そりゃ1位が意味分かんない結果でそれに負けてるんだから納得しないよな。実際俺も質問しようか迷ったし。

 

「ふむ、やはりこれに関して質問が来るか。ここではあまり詳しくは言えないが、お前よりも優秀であり不正は一切無いということ、これだけは言える」

 

「そんなっ、納得できません!……いいでしょう、また後で伺います」

 

「考えておこう」

 

 そう一言言った後、誰に向けてする訳でもなく手話のような素振りをした。

 

「それはなんですか?」

 

「いや、なんでもない」

 

「そうですか」

 

 不服そうな顔をして自分のクラスへ向かう。

 

「えー、だっる……」

 

 僕は誰にも聞かれない小声でそう呟いた。

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 昼休みになり俺はとある扉を叩いた。

 

「……ナギです」

 

「がはは! よく来てくれた、ナギくん!」

 

「勘弁してくださいよ……なんのつもりですか『どうせ見てるだろ? 昼休み、校長室で待つ』なんて、よりにもよってあんな方法で」

 

 そう、校長が行った手話のようなジェスチャーはジオウが考案した所謂暗号のようなもので、それを理解してる人はナギを入れて数人だと言う。

 

「まぁ確認みたいなものだな」

 

「確認?」

 

「筆記はボロボロのくせに実技はウィルと引き分けたと言うもんだからな。本来ホルダーに筆記試験とか必要ないから実力があれば多少目を瞑ってやるが……筆記の酷さは過去1、さすがに疑うだろ? だからあのErrorは確定した1位ではなく暫定1位なんだ」

 

 あのERRORはそういう……

 

「けど、これでちゃんと1位になったわけだ。お前ジオウさんと繋がってるだろ」

 

 やっぱりか。本当はこれ無視してユムたちと優雅な昼食を楽しんでも良かったんだけど、暗号に気付いたことに気付かれたから無視出来ないんだよなぁ……

 それにジオウと関わりがあることあんまり言うなって口止めされてるし……

 

(キュナク、ジオウにガンドルフって人に勘づかれたって伝えといて)

 

(りょーかい)

 

「どうなんだ?」

 

「あ、その……」

 

 なんとか時間を稼がないと……

 

 その時コンコンと扉を叩く音がした。

 

 完っっ璧なタイミング! 誰か知らんけどナイス!

 

「失礼します、ナズナです」

 

 良し! 君帰って良し!……はぁ、めんどくさいことになりそう。

 

「先程の件について……っと、その方は?」

 

「先程の件の生徒だ」

 

 思わず校長を睨みつけてしまう。

 

「あなたがErrorの……直接聞きたかったところだったら丁度いい。どういうこと?」

 

 ……時間を稼ぐにはちょうどいいか。

 

「え〜、どういうことってどういうこと?」

 

「そのままの意味よ」

 

「いや〜、俺も理由を聞きたかったからここに来たところだから分からないんだよね」

 

 ニヤついた顔で校長に視線を向ける。

 

「……はぁ、他言無用で頼むぞ?」

 

「勿論です」

 

「うっす(笑)」

 

 先程と同じようなエラーの原因を述べる校長。

 

「まさか本当に団長と引き分けたなんて……噂は本当かしら」

 

「噂?」

 

「知らないの? 新入生に他国からのスパイがいるらしいって、その実力は騎士団長様を打ち倒せるんだとか」

 

 おい印象ガタガタじゃんか、これじゃ仲間なんて集まらねぇぞ……

 

「正しくないな。スパイでもないし団長様にだって勝ってない。新入生相手に本気でやるわけないだろ? 手を抜いてもらっただけだよ」


 『ウィルは本気でやってナギくんに勝てなかったんだよ』と手話をするガンドルフ。

 

「なんか釈然としないわね……ま、これから同じクラスなんだし納得するしかないわね。改めてナズナよ、よろしく」

 

「ナギ、よろしく」

 

 お互い握手を交わしたと同時に──

 

(ナギ〜、ジオウから返事来たよ〜)

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