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第0話 プロローグ

 § 第0話 プロローグ §

 

 

 

 

 真夜中の出来事。

 

『凪、準備はできてるか?』

 

 耳につけてるインカムから音声が流れてくる。

 

「いつでもいいよ父さん」

 

 とある豪邸の屋根の上で誰かと話している人影がひとつ。

 

『よし、最終確認だ。対象は伊集院 誠。性犯罪、薬物取引等を行っている、だが警察とも繋がっているため法では裁けないと被害者からの情報が入ってる』

 

「よって我々鳴上家が裁きを下す。対象は現在自室で映画鑑賞をしているため窓から侵入したのち暗殺して再度窓から脱出。でしょ?」

 

 予定の計画をスラスラと復唱してるのは鳴上 凪(なるかみ なぎ)。インカム越しに会話してるのは鳴上 努(なるかみ つとむ)

 

『完璧だな。流石は鳴上家で依頼数1位を保持してるだけある』

 

「父さんや周りのみんなのサポートのおかげだよ」

 

 彼らは通称鳴上家。その名の通り鳴上家8人で構成されてる暗殺一家である。主に凪、兄、姉、弟と妹のデュオで対象を仕留めるのだがその中でも凪の実績は群を抜く。成功率99%、クライアントが求める情報は必ず入手する天才なのだ。

 

『はっ、言ってくれるじゃねぇか。ほらそろそろ映画も大詰めらしいぞ』

 

「おっけー、行ってくるよ」

 

 ひらりと屋根から飛び降り、腰に付けたワイヤーで対象の部屋の窓まで近づく。幸い対象は窓を背にして映画に没頭してるため侵入しても気づかない。

 

「はぁ……嫌になるな」

 

 最初はこんなことはしたくなかった。

 僕みたいな暗殺一家の子供はそういう子供だけで構成された施設に入れられる。心得やら武術やらそういうものを学ぶためだ。

 俺はその施設から早く出たいから頑張った、頑張れば早く出れると思ってたけど、逆にその手際が評価されてさらに仕事が増えた。幼かった僕は認められて嬉しくなっちゃってまた頑張って結局今でもやってる……

 これが終わったら父さんに言おう、暗殺を辞めますってちゃんと言えば認めてくれるよね。でもとりあえず今は目の前の仕事に取り掛かろう。

 

 窓の外から開けて侵入する。そして──

 

「あ〜、よかった! 特に女優さんが可愛かったんだよなぁ……あのやわらかそうな唇、大きすぎず小さすぎない胸、あぁ、今度はこの子にしようかな!」

 

「確かにこの子可愛いよね。ちなみに映画に関する感想は無いの?」

 

「映画? 覚えてるわけないだろ? あの子を目で追うのに精一杯だっ……ってお前はだr」


「鳴上家」

 

 叫ぶ前に口を塞ぎ首を掻っ切る。

 

「ごぷぁ……あが……」

 

 口、喉の切り口から大量の血が流れ出る。確認するまでもなく対象は死亡した。


『終わったか?』

 

「うん、今回も技は使わないで済んだよ」

 

「あれは使う機会が滅多に来ない、というか頻繁に使う機会がある方がおかしいからな」

 

「それもそうだね。じゃあ脱出するだけだね」

 

『おう……ま……って……が……』

 

「ん? 父さん?」

 

 電波が悪くなったみたいに音声が途切れる。すると、

 

「はぁーい! 凪くーん!」

 

「あ?」

 

 バァンと勢いよく扉が開かれ出てきたのは1人の男性。

 

 誰だこいつ……というか父さんになにが……?

 

「まず君の中で出てきてるだろう疑問に答えるとするよ。1つ目、君の無線はこっちでジャックしてるから繋がりませーん! 2つ目、俺は同じ暗殺家業の天神 透(あまがみ とおる)でーす! 覚えなくていいよ〜」

 

 何を言ってるんだこいつは? うちの無線は特殊な周波数でやってるから下手なジャミングには引っかからないはず……

 

「実はねー君が優秀過ぎちゃってうちが儲からないわけなんだよね。だからどうにかして君を始末したいなーって思ってたら君んとこのお兄ちゃんが協力してくれてさ、スムーズに事が進んだよね!」

 

「あぁ、クソ兄貴が……あとで始末するか」


「えー? ここから逃げれると思ってんの?」

 

 言い終えると同時に腰から銃を抜き凪の額ど真ん中に撃ち込む。が、弾丸は凪の頭を貫かなかった。

 

「っぶねぇ……」

 

 凪の額には少しのかすり傷とその後方でランプが割れてるのが見える。

 

「それが鳴上流ね……銃に反応できるもんなのかね」

 

「お前が腰に手を回した瞬間に狙った、どうせ(ここ)狙ってくるだろうしな」

 

「やっぱりバケモンだな……でもさすがに後ろに目は付いてないよな」

 

「なに?」

 

 振り向こうとしたが胸の方に違和感を覚えたので先に自分の胸を見てみるとそこには刀らしきものが生えていた。後ろを振り向くとそこには先程殺したはずの伊集院が刀を持って立っていた。

 

 ……詰みか。

 

「それうちで作ったロボットなんだよね、結構リアルでしょ」

 

「……俺を殺したあとはどうする」

 

「あれ、意外と落ち着いてるんだね。別に凪くんを殺したあとは何もしない、別にこっちがなにかしなくても鳴上家(むこう)が勝手に破滅してくれるさ」

 

「……そうかよ」

 

 立ってるのも辛くなって来たのかばたりと倒れる。

 

「じゃ、死体には興味ないから。ばいばーい」

 

 その言葉を残し部屋の外に出る。

 

 でも、これで終わるんだ……

 もう人は殺さないで済むんだ……

 来世は人を殺さない人生がいいな……

 

 その日、鳴上 凪は死亡した。

評価、感想お待ちしております。


初の連載作品です。拙い部分もあるかと思いますがどうか暖かい目で見守ってください。

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