第八十四話 内情3
一通りの重い会話のやり取りも完了して少し空気が軽くなる。
そこで女性兵士の人が感謝と共にあることを聞いてきた。
「感謝致します。そういえば手紙にも書かれておりましたが、元々フィーリッツ王国に来る予定だったとのことですが。どういった御用で?」
今度の質問はこちらを疑って、というよりは純粋な疑問といった感じだ。
「以前にこちらの人に命を救われまして、その恩返しのためにフィーリッツ王国を目指していたところをギルバートさんやマザー達に助けられたというところです」
「そうでしたか。・・・本当はこんな事態でもなければ歓迎させて頂いたのですが・・今は一人でも戦える人が必要ですので・・・この手紙の内容からして、おそらく国の方からもお力をお借りさせてもらえるように要請されると思われます。申し訳ありません」
そう言って悲痛な表情を浮かべてはまた頭を下げられる。
「どうぞお気になさらないでください。元々オフィーリアやアグスティナさんに命救われたも同然なんですし、俺でよければいくらでも・・・」
と途中まで話していたところで女性兵士がとても驚いたように顔を上げた。
「ひ・・姫様?それに騎士団長!?あのお二人に・・命?」
どうやらそれ以上の言葉が出ないようで唖然とした表情をしたまま固まってしまった。
が、ちょっと待て、なんか今聞きなれない言葉が聞こえたような?
「姫様ってオフィーリア?そういえばアグスティナさんも姫様って言ってたような・・・」
言葉がわかるようになったのが穴倉の底でコイツ(ネームレス)と出会ってからだから殆どわからなかったけど・・
っていうか騎士団長って・・アグスティナさんが?え?あれ?という事は?どっか良い所のお嬢さんとかじゃなくてもしかしなくてももしかして?
「姫様はフィーリッツ王国の第一王位継承権を持つ『オフィーリア・フィーリッツ王女様』です」
「・・・・・・・・・・・」
ちょっと何言ってるのかわからない。
待て!待て待て!!って事は俺は姫様に助けて貰ったって事?え?あれ?なんか膝枕してもらったり抱き着いたり(これは敵の攻撃を避けるためだったけど)してたんだけど。
あれ?俺もしかして不敬罪とかで殺されるんじゃね?いやいや!アグスティナさんも近くにいたんだしそれはない!うん!ないない!!・・・ないよね?
ちょっと問答無用で一撃で消されていったゴブリンモドキ共の光景が脳裏に浮かんだ上に何故かその顔だけが俺になってたけどきっと大丈夫だよね?
「姫様に騎士団長のお知り合いとは知らず大変ご無礼を!!!」
「あ、いやいや!本当に一方的に助けられたって感じなのでお気になさらないでください!ほんとにお願いします!」
それからしばらくは頭を上げてくれなかったが何度も説得してようやく頭を上げてくれた。
もうシロエとソフィは暇になったのか半分眠りかけてるんだけど。余計な話をし過ぎて長くなってしまったな。
「とにかくまぁやれるだけお力にはなりますのでどうぞご安心してください」
「ありがとうございます。長々とすみませんでした。とはいえ、お連れの二人はどうもお疲れのようですし良ければここで一夜明かされてはどうでしょうか?部屋もありますしベッドもあります。その間に本国にジュナス殿のご到着もお伝えしておきますので」
この提案は結構ありがたい。二人もだいぶ眠くなってるみたいだし、かくいう俺も大分疲れてたしな。
「ありがとうございます。ですが早くにフィーリッツ王国に向かわなくても大丈夫でしょうか?」
「それは問題ないでしょう。仮に戦闘になることがあるとしても通達は必ずあります。女王様が決意されたといってもすぐに即戦闘と言う訳でもありませんので今は準備期間です。一日二日程度で状況が動くことはありません」
そうなのかな?まぁ確かに数か月は修道院にいたしそこからたった一日で状況がってのも考えにくいか。
・・・・・ちょっとこの人のセリフがフラグっぽくて怖いけど・・・
「ではお言葉に甘えさせて頂いてもよろしいでしょうか?・・・ほら、二人も今日はベッドで休めるぞ」
俺がそういうとウトウトして舟をこいでいた二人が「「ベッド!」」と急に目を覚ました。
ここしばらくは野宿だったからベッドが恋しかったのだろう。俺もそうだが。
「ふふっ、それではご案内いたしましょう。どうぞこちらへ」
そう言われて女性兵士の後を俺達三人で付いて行くのだった。
投稿が相変わらずスローペースですみません。
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