第八十三話 内情2
少し本文の改行の仕方を変更しております。
色々試しているため、読みづらかったら申し訳ありません。
「・・・どういう事でしょう?」
目的がわからないってじゃあ何故武装蜂起なんてしたんだ?
「理由に関しては本当に不明で・・そもそも前兆すらなかったのです」
「前兆もないって・・・水面下で上手く動いてという事でもないのですか?いや、そもそも数は女性の騎士団の方が多いはず。それなら早く鎮圧するべきでは?」
前兆がないってのもあまり考えにくいが、うまく立ち回ればできなくもないのかもしれない。
まぁ国の事情や状態すら知らない俺ではゲームとか小説とかでの展開で予測するしかないんだけど。
・・・来てくれって頼まれた国がまさかの内戦とか、こんな展開は流石に予測できるわけないけどさ。
「ええ、勿論最初に報告を聞いた際にはそうする予定でした。ですが・・・」
「何か問題が?」
数で勝るならいくらでも鎮圧可能だと思うのだが。
いたずらに内戦を長引かせても国力低下を招くだけだろうし、勝っても負けても失うものしかないなら個人的な感情は抜きにして国としての判断は鎮圧だろう・・・と思う。
「はい。武装蜂起した者の中に、王配殿下がおられたのです。いえ、むしろ王配殿下を旗頭として武装蜂起したという方が正しいでしょうか」
流石にその言葉はさらに予想がつかなかった。
「な!?王配って・・確か国王・・・だよな?」
確か王配っていやぁ女王の配偶者、旦那さんだよな?それってどうなるの?
「わが国は女王を中心とした国家ですので当然権限は女王陛下の方が御座いますが、王配殿下も政治を始めとしたことは行っておりましたのでその人気も決して低くはありませんでした。その王配殿下自らが武装蜂起したとなれば・・・」
途中で言葉を濁したがその先の展開は何となくわかる。人気者が武装蜂起したらって展開はゲームとかでもあるあるな展開だしな。しかし・・・
「男性を中心とした騎士団や民衆、農民などはそちらに向かうという事ですか?ですがあまりに無謀ではありませんか?いくら王配とはいえ国相手に無策で立ち向かおうにも物資も拠点も何もなくては成功するとは思えない」
「そこです。何故か我が国と隣接していた土地で勝手にロブスナッチと名乗っていた土地をいつの間にか奪い取り、敵対関係になってしまったのです」
ロブスナッチってどっかで聞いたような?
!?
あのかませ犬野郎の国がそういえばそんな名前だった気がしないでもないような気がすると思わなくもない。
つまりあのかませ犬野郎やハゲー!野郎はフィーリッツ王国の王配に国を奪われたって事か。
それは解ったが何故そんなことをしたのかが不明なのが不気味だな。
というかいくら何でも話しが出来過ぎじゃないのか?
そこまで物資や拠点なんかを用意していてそれを女性の方が多く存在する国で気取らせないなんて・・・普通じゃありえない。
特に王配までかかわっているとなると尚更・・・。
「流石にある程度の拠点と物資を手にした状態で更にそこにもともと住んでいた者たちも合流してしまったことによって数の上での有利な状態は白紙に戻ってしまいました」
「となると、迂闊に攻めることが出来ない・・・ですか」
「その通りです」
「相手から何か要求などはあったのですか?」
「一様はですが・・・女王の地位を捨てること、そして女性騎士団の廃止、兵士になることすらも禁止するなどほぼ女性差別の内容です」
ギリッと歯を食いしばるような音が聞こえてきた。
そりゃそうだ。
これまで誇りをもってしてきた仕事をいきなり辞めろと言われて素直にうなずける人なんてそうそういる訳がない。
しかもそんな理不尽な内容で。
「なんというか、あまりに急すぎて釈然としませんね。何故そんなことになったのか」
「・・・・・ここからの話しは特に要注意事項になります。決して口外しないように注意してください」
それだけ言うと女性兵士は周囲を一層警戒してから少し体を此方に傾ける。
俺達も思わず少し女性の方へ体を傾けて言葉の先を促した。
「実を言うと、今回のこの事件の背後には帝国が関与している・・という話しがあります」
!!やっぱりあの国が何かやってやがるのか!
「というのもあまり詳しくは話すことが出来ませんが、ある方が調べていてほぼ確実と思われます。ですが物的証拠がないため公には出来ないと言う訳です」
成程。
確かに証拠もなく犯人扱いしても意味はないだろう。
そもそも帝国は宣戦布告してるんだから、問い詰めようものならむしろ今すぐに兵士を差し向けられてもおかしくはないか。
何故それをしないのかがわからないけど、戦線が広がりすぎているのかそれともそのフィーリッツ王国の王配を使って何かするつもりなのか。
「そういう理由からなかなか解決が出来ずに膠着状態だった訳です。ですが最近になって遂に女王も制圧に乗り切るという話しも出てきております。最悪の可能性も勿論考慮して・・・」
最悪の可能性・・・つまり王配、夫の排除・・・という事になるのか・・それは辛い判断だな。
「そこで是非とも力を貸して頂きたい。マザーからの手紙にもあなた方は信頼できる人間だと書かれてあります。何とか女王様に、姫様の力になって下さい」
この通りです。
というと頭を下げられる。
この人だって帝国の国境を任せられるくらいだ。かなり優秀な人だろうに、そんな人がマザーからの紹介があったからとはいえ、出会ったばかりの、しかも男に頭を下げるなんてよほど国の状態は良くない・・という事か?
「あ、あの!頭を上げてください!その、どれくらい力になれるかはわかりませんが、出来る限りはやりますので!元々そのために来ましたし」
そう声をかけると少ししてから頭を上げてくれた。
その表情は多少先ほど帝国の話をしていた時よりは幾分かよくなっているようだ。
投稿が相変わらずスローペースですみません。
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