第八十一話 検問所3
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「それで?貴方たちの名前とそれからこの推薦状は誰から預かった?」
詰め所についてすぐに女性の兵士の人から話しかけられる。
「え?そこに載っているんじゃないんですか?」
どんな内容がかかれているのかは見ていないからわからないが、少なくともあちら側の検問所を問題なく抜けられたくらいなのだから差出人くらいは解るはずだ。
あっちの兵士たちも俺達が検問所を抜けた後にマザーとギルバートさんの名前を出していたし。
「貴方がこの推薦状を誰かから奪った・・・という可能性もある。故に出所やその他の事などを確認する必要があると言う訳だ」
「・・・成程。俺の名前はジュナス。こっちはシロエとソフィ。その推薦状はシスターマザー、修道院のシスターとギルバートさん司祭ですね、から頂いたものです」
確かに戦争が起こるような世界ならそう言ったこともあるのかな?とあまり深く考えずにとりあえず問われた内容に答える。
「なるほど。ちなみになんだが、この推薦状はどうも帝国の検問所向けに書かれたもののようだが、私達、フィーリッツ王国向けの推薦状は預かってはいないのか?」
女性兵士のその言葉に流石にジュナスは唖然とした表情を晒してしまった。
それ以外に預かったものはなかったからだ。
「え?いや、それしか預かっていないはず・・・」
「あ・・・・」
そこまで話しているとシロエが声を漏らした・・・ってまさか?
「・・・・・ん」
ガサゴソと自身の荷物に手を突っ込んでなにやら探してから少し、ようやく目的の物を見つけたと思ったらただ一言それだけ言うともう一つ手紙を差し出した。
ってあれ?俺それ知らないんだけど?
「やはりもう一つあったか。この推薦状ではあまりにも内容が大雑把すぎる。あの方々なら私達に向けた推薦状があると思っていた」
そういうと詰め所の女性兵士は推薦状を読み始める。
なんか所々で「ほう・・・」とか「成程な」とか「姫様の・・・」とかいろいろ聞こえてくるんだけど何が書かれているんだあの手紙に。
「ふむ。おおよそは理解したが、まずそのフードをとって貰ってもいいか?」
手紙を一通り読み終えた女性兵士が最初に言った一言はそれだった。が、その言葉にもっとも過敏に反応を示したのはシロエだ。
シロエの過去は修道院にいた時に聞いているから迂闊にフードを外したくないのだろう。
その様子を見ていた女性兵士はシロエと同じ目線まで腰を落とすと優しく語り掛けた。
「安心するといい。貴方の事情は先ほどの手紙に多少書かれてあったし、私達はマザーやギルバートさんと同じ国出身だ。私たちの国の者で貴方に害する者はいないだろう。少なくともわが国の兵士は」
そう語り掛けられるが、それでも躊躇してしまっている。
こういうのは俺から先にやって少しでも安心させる方がいいか、とそう考えて自分のフードを外して素顔を晒す。
「これでいいか?」
俺がそういうと女性兵士はこちらを見やる。と、わずかに驚いたような表情をして俺の顔・・・いや、視線が少し上だな。髪か?そっちを凝視しているけど。
え?なに?まだ別に薄くないよ?・・・ないよな?ハゲてないよな?デコは少し広いかもしれないけど・・・
「あの?」
あまりにも反応がないので思わず声をかけると急に固まっていた女性兵士がすぐに動き出した。
「えっ?あ・・嗚呼、失礼・・・しました。問題・・・ありません。感謝致します」
そう言い終わるもまだ髪の方を見ている。いやほんとに大丈夫だよな?ちょっと気になって思わず手を頭頂部に持っていく。うん。触ってる感じでは大丈夫だ。
俺が先にフードを取って少し安心したのか、多少戸惑ってはいたけれどもおずおずとフードを外す。
横ではソフィも同じようにフードを外していた。
「・・・確かに。手紙に書かれている人物像で間違いありませんね、あなた方に感謝を。もうフードをかぶって貰っても構いませんよ」
それだけ言われるとすぐにフードをかぶるシロエ、それに釣られるようにソフィもフードをかぶったのでそんな二人を見て苦笑しつつ俺も同じようにフードをかぶった。
「それにしても結構厳重ですね。帝国側の方はかなり雑に感じましたが」
さっきまでの帝国側の検問所を思い出して思わず・・・といった様子で口にするとそれに納得するように女性兵士が答えてくれた。
「あぁ、それは・・現在のわが国の事情も関係しています」
「と、言いますと?」
軽い気持ちで聞いたつもりだったのだが、女性兵士はそこまで話すと少し躊躇うかのような間の後に何かを考えるような表情をすると徐に続きを告げた。
「・・・・・部外者であるあなた方にこんなことを頼むのも何なのですが・・・どうかわが国の力になってもらいたい」
そういうと頭を下げられる。
だが何故そんなことを頼まれるのか、よくわからない俺は急に頭を下げられて慌ててしまう。
「ちょ、頭を上げてください。一体何が起きているのかも変わらないので返事のしようもないのでまずはご説明していただけませんか?」
俺が慌ててそう言ったのを聞いて少ししてから頭を上げて神妙な表情のまま口を開いてくれる。
「そう・・でしたね。あなた方はあまり外の事情には詳しくは?」
「ええ、修道院にいた時は基本的にそこの近くから移ることもありませんでしたのであまり。ギルバートさんやマザーから基本的な今の世界情勢に関しては聞いてはいますが」
「では少し補足して話していくことにしましょう。っとその前に」
そう言うと女性は一度扉の方に向かって歩いていくと、外を警備している人に一言二言ほど話してまたすぐに戻ってきた。
だが先ほどよりも少し距離を縮めてきた。
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