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半端オタクの異世界転移(意志ある剣が存在する世界)   作者: 男将
第四章 フィーリッツ王国編
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第七十九話 検問所

ようやく第四章始まります。

しばらくお休みしていましたが、少しずつ更新をしていこうと思います。

以前と比べて速度がかなり落ちると思いますが、よろしければこれからも気長にお待ち頂ければと思います。

帝国国境付近。国境検問所


ここでは帝国に入る者、そして帝国を去る者を常にチェックして危険な人物が入ってきたりしていないか、或いは違法な移民をしたり、犯罪者が脱出したりしていないかなどといったことを見張っている場所である。


当然ここ以外にも別の国に向かう場所にそれぞれ設置されているが、この検問所の先の国はフィーリッツ王国へと繋がっている。


当然少し先に進むと今度はフィーリッツ王国側の検問所があるが、帝国側から出る場合はまずここを突破しないことには先に進むことはできない。


そこへローブをすっぽりと被った体系は大人の男一人と人物と子供が二人通ろうとしていた。

手荷物などもそれほど多いわけでもなく、どう見ても行商人ではない。

かといって旅人というにしても子供を二人も連れてというのはこのご時世ではあまり考え辛い。


最も可能性として高いのが、帝国での暮らしに耐えきれなくて帝国から逃げようとする移民目的の者たちだ。


実際、戦争が始まってから何人もそういった者たちがいた。

そしてそういった者たちが真っ先に向かいたがるのがフィーリッツ王国である。


あの国は『花と緑』という呼び名があるほどに国としては豊かで、食料なども豊富にあるからである。

移民としても逃げた後に仕事にも食べる者にもありつける可能性のある国を目指そうとするのは当然だろう。


勿論そういったことは認められていない為、全て帝国の元居た村々へ帰されることになる。

あまりに抵抗が酷い場合には一時的に牢に幽閉されるほどに。


目の前の男と子供もきっとそういったタイプの人間であろうと検問所の兵士たちは判断してため息が出る。

戦争が起こってからあまりにも多いため、嫌気がさしてくるのだ。


やれ税が高くて払えないから飢えてしまう、やれ兵士として若い者たちを取られたから土地を耕すこともまともにできない。


彼らの気持ちも理解できなくはないが、こちらも仕事。

可哀想だからと一人通してしまえば、たちまち同じような人でごった返すだろう。

結果国に民がいなくなってしまえば国力の低下は免れない。


心を鬼にしてでも通すわけにはいかないのだが、彼らとしても仕事を終えれば立場がさして変わらない。

中には辺境出身の兵士だって一定数いるので積極的に追い返すことを喜ぶようなものは一人もいなかった。


「おい!そこのお前!何者だ?荷物はそれだけか?」

「・・・そうですが?それが何か?」


見ればわかるだろうと言わんばかりの表情でこちらに言葉を返してくる男。連れている子達は特に何も喋る様子もないようだ。


「何用でフィーリッツ王国へと向かう?理由を述べよ」

「・・・用がある、ではいけないので?」


戦争前ならばそれだけの内容でも十分に問題なく通すことも出来たが今は戦時中であり、兵たちもそれだけの理由では簡単に通すわけにはいかなかった。


「何の用なのだと聞いている。それからそのフードを外せ。犯罪者を逃がすわけにはいかん。きちんと顔を確認させてもらうぞ。そっちの子供も同じだ」


そういうと少し男の方が警戒心をあらわにするように身構えた。それに釣られてか連れていた子たちも警戒して男の方に一層近づいてローブの裾を掴みだした。


「はぁ。嗚呼そうだ、貴方がたにこれを預かっているんですけど」


だが、男はローブを外すこともなく何か考え事をしていたのか思ったら、少しの沈黙の後に思い出したかのように荷物から一枚の封筒を取り出した。


「ん?何だこれは?手紙?」


何かは解らないが流石に手紙程度で危険物と言う訳もあるまいと判断し、渡された兵士はその手紙を見た。


すると途端に検問をしていた兵士たちの、いや手紙を見た兵士の態度が途端に変わる。


「こ!これは!?」

「おいどうした?なに驚いているんだ?」


急に大きな声で驚いたように目を見開いた同僚に驚いた兵士の一人が疑問を投げかける。


「・・・た!大変失礼いたしました!!どうぞお通り下さい!!」


が、同僚の言葉などまるで全く聞こえていないかのように子供連れの男に向かって急に態度が変わった兵士に、他に控えていた別の兵士たちも驚きつつ言葉を挟む。


「お、おい!急にどうした!?姿の確認と出国理由はちゃんと聞いておかないと・・」

「馬鹿!!!いいから!!・・・ささ、どうぞお先へ」


他の兵士が手紙を見た兵士の男の行動を咎めようと声をかけたが、その言葉に被せる様にして発言を止めさせて、そのまま手紙を持ってきた子供連れの男達を国境から先へと勧める。

それを見た男は警戒はまだしていたものの少し安堵したような空気を纏って軽く頭を下げる。


「これはどうもありがとうございます。あ、手紙の方は回収させてもらいますね、あちらのフィーリッツ王国の検問でも提出しなければなりませんので」


その後先へと進もうとした男が兵士が手に持っている手紙を再度受け取ろうと兵士の方へと近づいてくる。近づかれた兵士は一歩後ろに下がってしまったが、相手の目的が自分の手に持っている手紙だという事を思い出してすぐにそれを渡すように手紙を差し出した。


「こ!これは失礼いたしました!どうぞ、お受け取り下さい。それではよい旅を!」


慌てて手紙を渡し、さらにはお辞儀までして男たちを見送った。


その間、もう他の兵士達は何も発言が出来ずに唖然と手紙を受け取りお辞儀までした兵士と男たちを見ているだけであった。


「ええ、ありがとうございました。失礼いたします」


男がそう礼を言うとそのまま検問所を後にしていった。

いつもご覧いただきまして、ありがとうございます。


楽しんでいただけましたら、感想や誤字訂正、ブックマークや☆評価などして頂けますとモチベーションアップにつながり、更新のペースも上がるかと思います。


これからもどうぞよろしくお願い致します。


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