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第七十話 旅立ち

誤字訂正しました。

ご指摘ありがとうございます。


「もう行くのかい?」

「ええ、悲しんでばかりではいられませんから。むしろ、約束しましたから。これからも人として生きていくのだと」


マザーにそう告げるジュナスは荷物を肩にかけて旅の支度を終え、修道院の出入り口に立っていた。


何人かがジュナスを見ているが声をかけられることはない。

無理もない、自分の化け物の姿を見たのは昨日の夜なのだ。


まだ一日も経っていないのだからそう簡単にこれまで通り接することが出来るはずがない。


「そうかい、まぁ皆もまだ落ち着いちゃいないが、しばらくすればすぐに元に戻るだろうよ。だからあんたもいつでも帰ってきな。いいね?ここはあんたの家なんだから」


そう言われて、一瞬何も言うことが出来ずに言葉に詰まってしまったが、言われたことの意味を頭が理解して嬉しくて笑顔で返事をする。


「はい、ありがとうございます。マザーもどうぞお体を大切に。皆の事をよろしくお願いします」


そういうと背を見せて歩いていこうとする。

そこに二つの小さな影がジュナスの両足にくっついてきた。


「わわ!私も行きます!」「・・・ん・・一緒・・・」

「は?」


何が起きたのか分からずマザーを見ると、マザーは納得したような表情で頷くだけだった。


「ちょ!ちょっとマザー!これは!?」

「あぁ、なんだあんた気付いてなかったのかい?その子たちはずっとあんたについていく気だったんだよ?あれだけ堂々と旅の支度をしていたのに気づかないなんて、あんたもまだまだだねぇ」


呆れた表情でそう言われるが、はいそうですかと言う訳にもいくまい!


「いやいや!俺の旅ってかなりハードになると思うんですよ!?まして俺って人間じゃないっつーか化け物みたいなのにそんなのに任せてどうするんですか!」

「おや?ギルバートに言われて誓ったんじゃなかったのかい?人として生きるとかなんとか」

「うぐっ!いや、そうですけど!というかなんで付いてくるんだ二人は!?」


マザーに対しても口では勝てないと判断して二人に問いかける。


「わ、私は・・自分の事を知りたくて!それで!」


そういや、以前の事が人から聞かされたこと以外わからないとかなんとか言っていたな。


二人の今までの経歴もマザーとギルバートさんから聞いていたけど、その経歴も全て「何々だったらしい」って回答らしく本当かどうかわからないとか。それを気にしてって事?


「・・・ん・・・私も・・・」

「いや、君はエルフだろう」

「・・・なんで・・・私がここにいるか・・・しらない・・・」


シロエの方は確か一緒にいた人が殺されて、逃げていたところをギルバートさんが保護したとか言っていたな。


「・・エルフ・・・他に見ない・・・私・・森にいない・・・何故か・・しらない・・・」


うーん、自分の出生の事を知りたいって事なのか?

それにしたって俺に付いてくることないだろ・・・。


「だ・・ダメですか?」

「・・・ん・・・だめ・・?」


そんな上目遣いで言われても俺はロリコンじゃないから!

でも人としての良心にズキズキと何か目に見えないものが刺さる気がする!


「その子たちが自分から何か言いだすことは珍しくてね。あんたさえよければ旅のついででかまやしないよ。連れて行ってやっておくれ」


ぐっ!?

マザーにまでそういわれると流石にこれまでの恩もあって断りずらい・・・。


(全く面倒な、どうせこの小娘共は諦める気がないであろうが。ならさっさと出発せよ。早く我の分体を探すのだ)


どこまでもマイペースなお前に言われるとちょっとイラっと来たけど、今回はこいつが正論か。


このままじゃ仮に放っていっても無理にでも付いてきてそのまま遭難してしまいそうだしなぁ。

はぁ、仕方ないか。


「わかったわかった。許可するけど、絶対に俺のいう事は聞くようにな。無理はしないこと。いいな?」


そういうとウルウルさせていた瞳をにっこりと曲げて笑顔で返事をした。


「はい!ありがとうございます」

「・・・ん・・・任せる・・・・」


はぁ賑やかな旅になりそうだなぁ。


そう言ってため息をついているが、その表情は満更でもないように口元が緩んでいた。





???


「そうか、実験は失敗に終わったか」

「はい。届いた情報によると取り込まれた人間も半端な状態にしか変異しなかったようです」

「ふん。まぁそれも止むをえまい。あのような汚らしい賊の男を使ったのだからな。それでもそれなりの成果はあったのだ。まともな宿主に使えばもっと成果が・・・」


その時、話をしていた男たちの所に別の者がやってきた。


「ご報告します!部隊の準備、整ったとの事!いつでも進軍可能です!」

「ふっ。では行こうか。新たな素材を刈り取りに」


それだけ言うと男たちはその場から去っていくのであった。


これにてジュナスの第三章は終了となります。この後少しですが、幕間で別の場所の話を少し書きます。

それが終わるとしばらく更新が止まると思います。

楽しんで閲覧下さる方がいるので本当にありがたいです。そういった方がいる限り、少しづつでも長く続けていけるよう努力します。



いつもご覧いただきまして、ありがとうございます。


楽しんでいただけましたら、感想や誤字訂正、ブックマークや評価などして頂けますとモチベーションアップにつながり、更新のペースも上がるかと思います。

これからもどうぞよろしくお願い致します。


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