第六十二話 人質救出作戦3
楽しみにしてくれている友人が誕生日という自己都合で頑張って投稿。
ちょっと短いです。
中ではあまり大きな声を出さないようにアイナが指示しているのか、話し声はあまり聞こえない。
何やらボソボソと聞こえる気がするという感じだ。
それからしばらくはそのまま待機・・するのも何なので、下層から敵が来ないかと階段の辺りを警戒していたが、特に何事もなくしばらくしてアイナが呼びに来た。
「ジュナスさん、お待たせしました。皆さんにはご説明しましたので大丈夫です。今はすぐに動ける人達には先ほどの乱暴されていた人たちの方へ行ってもらいました。他の人達は食事をとって貰っています」
「そうですか、食料や水、布やローブ等は足りていますか?足りなければまだありますので」
「いえ、そちらは大丈夫です。ただやはり皆それなりに疲労がたまっているのか、思ったよりもすぐに動ける人は多くないです」
「ちなみに何人くらいの方が?」
「元々の部屋に2人いて閉じ込められていた部屋に8人ほどですので私を合わせて11人です。本当は男性の方も合わせるともっと多くいたのですが・・・」
俯き気味にそこまでいうと言葉が詰まるアイナ。
「そう・・ですか。せめて今いる方達は無事脱出させなければ。皆さんの体調や、その・・精神的に問題があったりする方はいますか?」
本当はもっといい言葉をかけて上げられたらよかったのだろうが、咄嗟に弱いジュナスは相変わらず特別な言葉を発することも出来ず、せめて今は脱出に前向きになってもらおうと、せいぜいそんな言葉をかけるだけで精一杯であった。
「少しすれば他の皆さんも動けるとは思います。その他、介抱に向かってもらっている人たちが3名動けますので、私を合わせて4人はすぐに動けます」
ふむ、4人が動けるなら最悪一つの部屋で立て籠っておいてもらえば、その間に下の階層の奴らを片付けることも出来るかもしれない。
「(ネームレス、仮にさっきクラスの敵が10人いたとしてどれくらいの時間がかかる?)」
(ふむ、先ほど程度の相手であれば精々30秒もあれば十分であろうな。あれより多少強かろうとも1分はかかるまい)
マジか、こいつ一人3秒で倒すって事?
あれ?ネームレスって実はかなり凄かったりするのか?
なんか話している感じそんな風に感じないんだけど。
あ、でも変な触手とか禿とデブとかは瞬殺してたっけ。
よくよく考えたら苦戦したことってあんまりないよな。
実はすごい奴だったのか。
(どうした?あまりの我の凄さに驚いておるのか?これを機にもっと敬っても良いのだぞ?ん?)
何で関心した後に・・・そのすぐに調子づく辺りに、そこはかとない小者臭が漂っちゃうんだよなぁ。
根が小者ってことか。
(お主・・また何やら失礼なことを考えておるのではないだろうな?)
だからなんで自分がディスられてるときはそんなに敏感なんだよ。
「(さて、な。しかしそれならここは一旦俺達だけでさっさと下を制圧に行った方がいいかもしれんな。わざわざ動けない人達の体調を回復するのを待つ時間ももったいないしな)」
(うむ、ここで時間を無駄にする必要もあるまい。)
よし、そうと決まればさっさと制圧するか。
といってもネームレスに任せるんだけどさ。
「アイナさん、私達は今から下を制圧してきますので、それまでここで待機しておいてもらってもいいですか?万一敵が来た場合は動ける方4人で何とか耐えてください。声を出してもらえればそちらに向かいますので」
「(私達?)わかりました。では誰を連れて行くのでしょうか?出来れば私を・・・あれ?でも4人で耐える?あれ?」
嗚呼、しまったな、ついネームレスの事を数に数えて「達」って言ってしまったか。
「すみません、行くのは私一人ですね、言ってなかったと思いますが、私の剣は聖剣でして、こいつの事を数に数えてしまっただけですので、お気になさらずに皆さんはここを守っておいてください」
「せ・・・聖剣!?」
それを聞いただけで回りの人達は随分と騒ぎ出した。
何?聖剣ってそんなに珍しいものなのか?
アグリアスさんも持ってたし、ギルバートさんもマザーも特別驚いた様子はなかったんだけど。
「あ、あの・・・聖剣をお持ちという事はもしや教会の聖騎士の方なのでしょうか?」
聖騎士?なんだそれ?そういう存在がいるって事かな?よくわからん!
「いえ、私はそういうのではないですね、ギルバートさんと訳あって知り合った程度ですので。とりあえず武器をお渡ししますのでここは任せます。では!」
これ以上下手に喋って何かボロが出てもマズい気がしたので、さっさと武器を渡して下の階層へ向かうことにする。
後ろではまだざわざわとしていたが無視して進むことにした。
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