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第六十話 人質救出作戦1

続編になったため、サブタイトルちょっと変更しました。


あまりの状況にまともに言葉を発することが出来なくなっているアイナは必死に口に手を当てて驚いているのか悲鳴を殺しているのか成すがままになっている。


砦というだけあり最上階にも当然見張りのためのスペースが存在するがそこには誰もいなかった。


おそらく夜というだけあり、二階からならば砦に近づいたものは見えても最上階からではほとんど何も見えない為、夜に見張りは置いていないのであろう。


現在砦に残っている人員の数も少ないというのも要素に含まれているかもしれない。


ともあれ、誰にも気づかれることなく、最上階にたどり着くことに成功したジュナス(ネームレス)とアイナ。


とここでジュナスが再度アイナに小声で問いかける。


「この扉の先がどうなっているかは解りますか?」


アイナは一体何が起こったのかを理解するのに時間がかかっており、今までずっと無言であったが、ジュナスに問いかけられたことによりようやく固まっていた動きを取り戻す。


「えっ?あれ?え?えっと・・・ここは・・・・・・あ!はい。大丈夫です、確か私たちのいた階層で外に向かってある扉は二か所しかなかったはずだから、わかると思います」


もしかしてなんかすごい人だった?とか小声で聞こえてきていたがそれはスルーして道案内を頼む。


「では行きます、私が先頭を行きますので後ろから場所を教えて貰えればそれでいいですから、敵は可能な限り私が倒しますが、念のため」


そういうとジュナスは魔法の袋から今度は剣を取り出してそれをアイナへと手渡した。


「(ネームレス、もし仮にこの人が不意を突いて俺に斬りかかってきたとして、問題ないか?)」

(うむ、この小娘程度であればどれだけ不意を突かれようとやられることなどあるまい、万が一そうであったとしてもこの小娘の力では、今のお主の体に致命傷を与えることなど出来はしまいよ)


その言葉を聞いて「よし」と一人頷いてからアイナの方へと振り返り一つ頷く。

するとアイナもその意味を理解してか無言で頷くのを確認して扉を開け放った。


ジュナスが扉をそっと開けると、中からはカビのような、微妙な臭いが漂ってきたことからあまり掃除などをしているようには感じられなかった。


周囲を見渡してみるも特に誰かがいるような気配はなく、すぐ近くに松明のようなものが点々と置かれていることから足元が見えないという事はなかった。


「まずどちらへ向かえばいいですか?」


ジュナスはアイナに静かに声をかける。

扉を開けてすぐに左右に道が分かれていたためだ。


アイナはジュナスの横に並ぶようにして少しの間場所を確認するかのように何度か周囲を見渡した後、「こちらです」と左方向を指さした。


「ここをまっすぐ行ってすぐに中央に十字路があり、その四か所全てが部屋になっています。そのうちの二か所に私たちが捕らえられていて、残りの二か所のうち一つは食料庫のようです。もう一つはすみません、わかりません。」

「こっちの右に行くとどこに?」

「そちらは下の階層に繋がっています。何度か連れられていましたから・・・」


そういうとアイナが顔を下に向けて少し震えている。今は武器も持っていることもあるからなのか、その声色は恐怖というよりは怒りの方が強いのかもしれない。


「では一か所ずつ行きましょう。まず扉の前までは私が行きます。その間に敵に遭遇した場合は私が処理します。扉まで着いたらまずはアイナさんが入ってください、その際扉は開けたままにして頂いて、それと武器は一旦預かりますので代わりにこちらをお渡しします」


そういうとジュナスは小さめのナイフを取り出してアイナへと渡した。


「もし敵がいた際は、複数なら隙をついて一人を、多少声を出して斬りかかって下さい。その声と共に私も突入します。もし敵が単体で且つ他の方が人質に取られるようなことがなさそうならすぐに声をかけてください」


そこまで話して内心「(ほとんど同時突入でも変わらなそうな気も・・・)」とか思ってしまうが、元々ボスを倒しに来るつもりでいたので、人質たちは倒した後にゆっくり探すつもりだった。


なのでこういった展開を予想していなかったため、特に策がなかったのだ。

相変わらず半端な知識しかない為、唐突の出来事にはまともに対応できないでいるのは変わらなかった。


そんな話をしながら特に敵に遭遇することもなく扉の前にたどり着いた。

ここでアイナから一旦剣を預かって準備をする。


アイナがこちらを無言で見つめて来たので一つ頷くと彼女はゆっくりと扉を開いた。

アイナが扉を開いて真っ先に目に映ったのは複数の男が人質の女性のすぐそばで座っている状態であった。


これを見てアイナはまずいと実感する。

話していた予想に反して、人質となりえる人と相手の距離が近すぎる状態のため、どうすればよいのか固まってしまった。


だが固まったのは相手も同じようで、まず女性の傍にいて座っていた二人の男が動きを止めてこちらを見ており、怪訝そうな顔でこちらを見ている。


その後もう一人、唯一女性とは少し離れて休憩しているような男がこちらに近づいてきた。


「なんだ?お前は確か・・下に連れて行ったはずだが、何でここにいるんだ?というかその服はなんだ?なんでそんなもの着てやがるんだ?」


その言葉を聞いたアイナは返事を返すことなく一つ頷くと、すぐに来た扉を走って出て行った。

それを見た男たちは「?」と頭に浮かんだようだ。


「もしかしたら逃げ出したのかもしれねぇ、おい!お前行って捕まえて来いよ!」

「あ?なんで俺がそんな面倒なことを」

「お前はさっきまで楽しんでいただろうが。俺たちはこれから楽しむところなんだ。さっさと捕まえて来いよ」

「チッ!仕方ねぇなぁ」


そういうと男は開け放たれたままの扉の外を出て行った。

そして女の向かった方向を見るとまるで待っていたかのようにこちらを伺っていた女が路地の先で男が追ってくるのを確認した後に曲がっていった。


男は「なんだ?アイツ・・何の真似だ?」といいながらもぶつぶつと女の曲がった先に向かっていった。


ちょうど曲がり角に来た瞬間に何か黒いモノが目の前にいたかと思うと「あ?」と一言発しただけでそれ以上男の意識は保つことが出来ずに視界が暗くなっていくのだった。


いつもご覧いただきまして、ありがとうございます。


楽しんでいただけましたら、感想や誤字訂正、ブックマークや評価などして頂けますとモチベーションアップにつながり、更新のペースも上がるかと思います。

これからもどうぞよろしくお願い致します。


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