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第二十三話 剣との舌戦(前編)


目が覚めると周りは薄暗く狭い場所であった。

上から光を僅かに感じられることから、どうやら上から落ちたようだ。


それを確認して、ジュナスは何故か落ちたはずの自分が立ち上がっている様子に驚く。


高さがそれなりにあり、そこから落ちたにもかかわらず、何故か自身は立っている事、そして目の前にはひと振りの剣が地面に突き刺さっており、その手には・・・剣の柄が握られていた。


どうやらこの剣がジュナスの体をうまく使って、自身の剣、本体を抜かせようとしたのであろうことが何となくわかった。


ジュナスは即座に剣の柄から手を離す。

すると今度は意識はそのままに急に体に痛みが疼きだした。


どうやらあの剣が体の痛みを無理やり気付かない様にしていたようだ、と気付くとその場に座り込むジュナス。


と、今度は剣から光が発せられる、まばゆい光が目の前を支配して光が少し落ち着くと、またもさっきとは違うところにいた。

どうやらまた違う空間へと飛ばされたようだ。


今度はさっきとは違って周囲は真っ白な空間が占めているが、目の前に剣が浮かんでいる。

そしてこちらが剣を意識したと同時のタイミングで剣が言葉を放つ。


「よもや我の支配から抜け出すとは・・・大した奴だ。ふっふっふ」


先程と同じような声音の声が聞こえてやはり先程の暗闇の空間も語り掛けてきていたのもこの剣だった事を確信する。


「相変わらず自分中心な奴だな、今度はどこに俺の意識を持ってきたんだよ?」


危うく体を奪われそうになったのだ。

そんな相手に今更下手になど出ない。そもそも出てないけど。

相手が再度呼び出したという事はまた別の用でもあるのだろうか。


「先程と違う空間にもかかわらず随分と尊大な態度だ、面白い」


一人?で納得して感心するかのような声を出す。


「もうそういうのはいいから用件をさっさと言えよ、ないならもう呼ぶな」


また何をされるのか、もしかしたらまた体乗っ取られそうになっていないかと警戒しつつ相手に要件を促す。


「せっかちな奴だ。どんなに急ごうと今度は時間は変わらぬというのに。まぁよかろう。貴様、私の手足となれ」


「今度は時間は」発言にやっぱりさっきのは嘘だったんじゃねぇか、と思いつつもそれ以上に意味不明な発言が出て来たため、そっちを優先して聞いてしまう。


「は?さっきまで勝手に人の体を貰うだのなんだの言っていたのに、今度は奴隷にでもなれとでも?そう言われて誰が「はいわかりました」って言うんだよ?」


当たり前の答えを言う。

当然だ、自分の体は自分の物なのだから。


「だが貴様はこのままでは死ぬぞ?先程も自分で感じたであろう?貴様の体はもうボロボロよ。だが我ならばそれも何とか出来よう」


「体、治してもらう代わりに奴隷って、そんなもん死んでいるのと結局変わらないね。第一俺はこの程度の痛みなんてもう何度も味わっているからどうってことないさ」


一瞬(確かに死にそうかも)と考えるも、その後の事を冷静に考えると自分の意思で好きなことが出来なくなるのはもう人として終わりだと思えた。


何よりも確かに先程意識が戻った時に感じた痛みはかなりのものだったが、正直あの変な場所で受けていた痛みを思うと耐えられないでもない気もしていた。


意識の上での話であって体がもつかどうかはわからないが。


「ふっ、頼もしいことを言う」


相手の提案を蹴ったが、それでも目の前の剣は楽しそうに言葉を発する。


先程とは違って悪意みたいなのが感じられないからなのか、時間が変わらないという発言を何となく信じてしまいそうになる。


「上から目線で言うなよ。お前が最初は俺の体を奪おうとしていたのに、今度は俺に命令へと変えてきたという事はお前自身、実は少し焦っているんだろ?それにさっきふと思ったんだがお前・・俺がいないとここから出ることが出来ないんだろ?」


少し心に余裕が出来たから冷静に状況を考えると、これまでの発言を思い出してみて、同じく思いついた事を言ってみる。


「ほう・・・何故そう思う?我がその気になれば、先程の貴様のように人を操ることも出来よう、さすればここから出ることなど造作もないこと」


感心したかのような言葉と、試すような言葉を言われる。

どうやらこの状況をこいつ自身楽しんでいるようだ。

ちょっとムカつく。


「じゃあお前、何で最初に俺に話しかけた時に「ようやく我の声が聞こえる者が現れおったか」なんて言ったんだよ?」


「・・・・・」


「つまりお前は特定の人間にしか声が届かず、操ることも出来ないんだろ?しかも「ようやく」と来た。かなり長い間ここにいたんじゃないのか?」


「・・・ふむ、それで?」


何やら感心したような声で先を促す言葉が聞こえる。

それが一層イラつくなぁ、と思いつつ自身の考えを述べる。


「それでってお前・・・まぁつまりお前は今でも上から目線で俺を支配したり、脅したりしようとしているが、結局お前の方がもう後がないんだよ?わかった?」


Do you understand?などと大して得意でもないのにドヤ顔で英語を言う男ジュナス。


しかしその後小声で「(で合っていたよな確か?)という声が聞こえた辺りで、とてつもない小者臭しかしていなかった。


「・・・その言葉の意味は不明だが・・我がその気になれば、もう何百年でも待つことも出来よう」


律儀にもちゃんと返してくれたことにちょっと驚きつつも


「そうかな?お前だって気づいてるんだろ?さっきここの建物の一部が崩れたのを。つまりここは時期に埋め尽くされる可能性があるってわけだ。ただでさえ地下なのに、誰がわざわざ掘り起こしてくれるのかな?お前の声が聞こえる奴すら少ないのに?」


そういうと突如剣が大きく揺れ出した。

今回は前後編になります。

後編が少し長めになります。


いつもご覧いただきまして、ありがとうございます。


楽しんでいただけましたら、感想や誤字訂正、ブックマークや評価などして頂けますと大変うれしく思います。これからもどうぞよろしくお願い致します。



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