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第二十二話 目的と目覚め


「その質問に答えてほしいのなら、俺が聞いた答えを聞かせて貰ってからにしてもらいたいんだがな」


強気で話しかける。

相手が何か分からない以上、本当はかなりビビっているんだが、それで相手の言いなりになることだけは避けたかったのだ。


「更には我が話しかけても恐れてはおらんか。表面上は、といったところだろうが・・・ふむ・・・悪くないな」


こちらが上辺だけ強気なのはどうやらバレているようだが、だからと言って今更下手に出ても仕方ないというかもう引っ込みが効かないといった感じでそのまま話しかける。


「勝手に納得してもらっても困るんだが、もし用がないのならもう話しかけないでもらえると助かるね。こっちとしてもさっさとこの世界から目を覚ましたいんでな」


正体不明な相手とこれ以上接していたくないという思いから会話を切り、早く目を覚まそうとするがそれを相手から止められる。


「ふっ、そう慌てるな。どの道ここは精神の世界。時間の概念など存在はせん」


「・・・・・それでもさっさと目覚めたいのさ。俺の精神衛生上の理由でな(こいつ・・・今何て言った?精神の世界?時間の概念がない?何故こいつがそんなことを?今のここはこいつの世界?)」


訳の分からないことを言われつつ、相手の正体や目的を探ろうとするもさっぱり分からず考えがまとまらない。

まるで相手の掌の上で踊らされているようだ。


「何事か考えているようだな、まぁいいだろう。我としてもまたとないチャンスではあるからな。では単刀直入に言おう。・・・・・貴様の体を貰い受けるぞ」


「!?(クソっ!そういう系か!多少話しかけてきた辺りで少しは話が出来るタイプかと思っていたんだが、甘かった!どうする?どう答える?)」


唐突に目的を告げられてしかもそれが自分にとっての最悪の展開であったことにショックを隠し切れず言葉が出なくなる。

何とかできないかと必死に考え込むが答えはなかなか出ない。


「ほう、肯定も否定もせんか。まぁどちらを答えたところで結果は変わらぬ」


「(クソ野郎が!じゃあなんでわざわざ話しかけてきやがったんだよ!チクショウ!・・・・・・待て・・・そうだよ、何で話しかけてきた?問答無用で体を乗っ取ればいいじゃないか。何か・・・ある?話しかけなければならない理由が?)」


ふと吐いた愚痴が相手の行動の矛盾を示しており、そこで何か思い当たった。

しばらく考え事をしていたため、相手からは本当に何も反応していないように感じさせたようだが。


「どうした?本当に何も喋らんのか?まぁいい。ならばさっさと・・・」


「なぁあんた、何で俺に話しかけた?あんたの言い分だと俺の体を勝手に奪う事が出来るという事じゃないのか?」


相手の発言を途中で止めるようにして「(そういえば自分が妄想していた世界でこんな展開も考えたことあった気がするなー)」と思いつつ先ほど思い立ったことを口にする。


「その通りだ。貴様の意思など関係はない」


「なら何故俺に話しかけた?俺に話しかける必要なんてなかったろう。それにあんた言ったよな?ここは時間の概念がないと。何故それを知っている?俺がこんな世界に来たのが初めてだと何故思った?(もしかして・・・これは・・・・)」


「・・・・・・・・・・・・」


矢継ぎ早に質問をぶつけていくと先ほどまで語り掛けてきた存在が急に黙り出した。


「何より一番の疑問は、何故俺が目を覚まそうとするのを止めた?つまりあんたは俺が今目を覚ますことを止めたい訳だ。違うか?目を覚まされると困る事態が現実で起こっている。だから目を覚まそうとした俺に話しかけることで無理やりこの世界に留めた」


もしかしたら別に理由なんてなくてただ最後に話しかけたとかそんな可能性だって全然ありえたのだが、そういう展開のゲームや小説を読んできたからなのかもうそれが答えに違いないと思い込んでとにかく予想を話しまくる。


「・・・・・・・・・・・・」


しかしその内容にもやはりだんまりで声を発することはない。


「他人に直接こんなことが出来るというからそれなりに力はあるんだろうが、それは俺が起きていると失敗する可能性がある、ということか?なら俺がこれからしようとすることはあんたならわかるだろ?」


思い至った一つの答え、一度そうに違いないと考えるとその答えしか思いつかなくなったのでそのまま実践しようとする。


「・・・・・・・・・・・・」


「ここまで来てもだんまりか。さっきまであんなに口が軽かったのにどうしたよ?まぁいいや。あんたが何も言わないなら、こっちもここまでだ。さっさと目を覚まさせてもらうよ」


そこで少し動揺したような気配がすると苦し気な声が聞こえた。


「・・・・・・待て・・・貴様は・・・・・」


「悪いがこれ以上の時間稼ぎはもう終わりだよ!」


だがジュナスはその発言を最後まで聞く気はない。

相手の目的は時間稼ぎに違いない!そう決めてしまったからだ。


最後に一言そう告げると目を閉じる。

すると閉じたはずのまぶたに光が感じられた。

少し短めかもしれません。


いつもご覧いただきまして、ありがとうございます。


楽しんでいただけましたら、感想や誤字訂正、ブックマークや評価などして頂けますと大変うれしく思います。これからもどうぞよろしくお願い致します。


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