第十七話 帝国の将軍
ちょっと短いです。
その頃ウルベの研究所では・・・・・
二人の男が椅子に座っている。
一人は鎧を身に付けた長身の男で一目見ても戦うことを前提とした戦士であることがうかがえる。
大してもう一方は白衣にボサボサの髪、身長は対面している男とそう変わらないがどう見ても戦士というタイプではなく学者としての印象を窺える。
そして鎧を着た男の方が、ある程度周囲を窺った後に言い放つ。
「・・・ではこの惨事は実験の過程で起こった事故だと?」
「えぇ、勿論そうですよぉ。むしろそれ以外に何かあるとでも?」
真剣に答える気がないのかそれともそれが普通なのか、とぼけるような言い方で説明をするウルベ。
それに対して周囲を、そして何故か地面をしばらく見つめた後に一つ頷くアークウェル。
「・・・・・・いや、それならば良い。地下の方も問題はないようだ」
「相変わらず覗き見が早いですねぇ・・・・魔眼、是非調べたいものですねぇくっくっく」
魔眼という単語が出たことで、少しアークウェルが反応を示すがそれ以外は特になんも動きも肯定もなかった。
「・・・・・・・・・」
「まぁそういうことならばもう良いでしょう、アークウェル。貴方はこの後どうなさるので?」
アークウェルから特に反応もなかった事を別段気にした様子もなく、ウルベは続ける。
「・・・・城へ戻って陛下へ報告だ」
「そうですかぁ、相変わらず真面目ですねぇ。ではアミーラに送らせましょう」
これで話はおしまいだ、さて私は実験実験♪と言わんばかりに浮かれつつあるウルベに対して再度アークウェルから声がかかる。
「・・・ウルベ、貴様も来い」
「んん~?要領を得ませんねぇ、私が何故城へ?」
些か不満げに、だがそれ以上に何故?という疑問の表情で問いかけるウルベ。
「・・・陛下がお呼びだ。用件は陛下から直接聞け」
「おやおやぁそれはそれはぁ、貴方は何故ここに来たのでしょうかねぇ?陛下が直接私から聞くのであればぁ、貴方の来る意味はなかったように思いますがねぇ」
皇帝からの呼び出しともなれば流石に断ることは出来ないので仕方ないことではあるが、それでも実験の時間を削られることに辟易として、ついアークウェルに対して八つ当たりのような発言をしてしまう。
「・・・少し見慣れない魔力を感じる・・・その真意を確かめるためだ。」
だがアークウェルのその言葉にそれまで余裕の態度をしていたウルベの表情に若干の変化が生まれる。
「そうですかぁ、気づいていましたかぁ。問題ないなどと言いつつも・・・食えない男ですねぇ」
やれやれと肩を落としながら首を振り手を上に向けてお手上げといった反応を示すウルベ。
だがアークウェルのその後の言葉に流石のウルベも動きが止まってしまう。
「・・・貴様の事だ、私がそう問うたところでまともに答えを言うまい・・・更に言うなら陛下がお呼びなのは今回の件ではない・・・・戦争の件でだ」
「・・・・・・・・なるほど。どうやら貴方にハメられましたねぇ、今の私の発言のお陰で私は陛下にお答えしないといけなくなってしまいましたねぇ。いいでしょう。私も城に向かうとしましょうかぁ」
自分からボロを出してしまったこと、アークウェルにうまく乗せられてしまったことに本当に参ったといった様子で、肯定の言葉を口にする。
「・・・・・・・・・・・」
「アミーラ。出かけますよぉ?さっそく準備をお願いしますねぇ。」
いかにアミーラがウルベの部下とはいえ、上司同士の会話に口を挟む訳にもいかなかった為、しばらく喋っていなかったがウルベから振られて流石に言葉を返す。
同時に出かけるための準備をしようと頭の中で算段をつける。
「かしこまりました。私も参りましょうか?」
「えぇ、私だけで説明するのは面倒ですからねぇ」
「はい、ではすぐに支度を致します。」
どのように報告を上げるか、とアミーラは頭の中で考えるのだった。
今回は短めなので、本日中にもう一話上げられると思います。
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