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第十五話 脱走

今、俺ことジュナスは薄暗い地下道を走っている。

おそらくだが王族とかが緊急で使う抜け道のような?


その先頭を走るのはおそらくアグスティナという名前の女性。

正直、言葉がわからないためそれ以上の事はわからない。


そしてその後ろを走っているのがオフィーリアという名の少女・・・だと思う。

少女といっても15~16歳くらいはありそうだが、彼女のお陰で、俺はあの地獄のような場所から脱走を図っているといったところだ。


おそらくは彼女達も何か事情があってこの場所から脱出しているのだろうから、それに便乗させてもらっているってところだろう。


本当なら得体の知れない男を連れていくなど考えられないのだろうが、少し前のやり取りを見るに彼女、オフィーリアのお陰でこうして一緒に連れて行って貰えているのだろう。


もしかしたら何か裏があるのかもしれないが・・・でもまぁ、あの場所より酷い事態にはなるまい。


ただ当然と言えば当然だが俺に対する信頼は低い。

オフィーリアからは信頼が低いというよりは言葉が通じないせいか、子供扱いされている気がするんだが・・・


アグスティナさんはきつい。

何がキツイって俺に向ける視線はかなりキツイものがある。

言葉が通じない分、態度ですごくよくわかるんだが、まぁそれは仕方ないか。


そうそう、言葉が通じないのに何故名前を知っているかなんだが・・・なんというかその・・・あの後の展開がなぁ。


「私の名前はオフィーリア。オフィーリア・フィーリッツ。貴方の名前は?」

「???」


「・・・・・姫様、彼に言葉は通じないのでは??」

「えっ?あっ・・・」


「・・・・・・・・・・・・・・・」

「???」

「え・・え~っと、私!オフィーリア!オフィーリア!」


彼女はそういうと自分を指差して必死に名前を何度も呼んでいる。

更にその指をアグスティナに向けて


「彼女はアグスティナよ!アグスティナ!」


そういってアグスティナを指差す。

アグスティナは何とも言えない表情でオフィーリアを見ている。


「私、オフィーリア。貴方は?」


再度自分を指差し、今度はその指をジュナスに向ける。


「(なんだ?何度も同じようなことを・・・ん?指差してる、あれ?あの女性の人を指差した時の言葉、牢にいた時にも何度か聞いたな。もしかして名称?いや名前か!?名前を聞いているのか?)」


そう考えたジュナスはひとまず少女を指でさして問う。


「オフ・・・オヒィ・・・おふぃーりあ?」


こちらの世界の発言がうまく出ないため、そんな感じでしか言葉に出来ないがどうやら合っていたのか少女ことオフィーリアは嬉しそうに何度も頷いている。


「そう!!オフィーリア!!オフィーリアよ!あっちはアグスティナ!」

「アク・・・アング・・・あぐすてぃな?」

「そう!アグスティナ!!それで貴方は?」


再度自分に向けて指を差し、更に首をかしげている。


「(これはやっぱり名前を聞いているんだな。名前ね、俺の名前は・・・あれ?名前・・・名前?なんだ俺の名前・・えっ!?いや、あれ!?名前だよ!なんだ!?ド忘れとかそんなレベルじゃない!名前だぞ!なんで出てこない!?なんだ!?なんでだ!?この世界に来たときは確かに覚えていた・・・と思う)」


戸惑いながらも苦悩する男の姿にオフィーリアは慌てて名前を言うことを一度やめ、男を見ている。


「(なんで名前が出てこない?わかんねぇ俺の名前誰だよ!いや待て、他の記憶はちゃんとあるんだ、日本人だし住んでた場所も家族も友人も思い出せるのになんで名前だけが出てこないんだ?あの変な実験でおかしくなったのか?でも名前だけってそれはそれで変じゃね!?)」


何故か自分の名前が思い出せず必死になって思い出そうとする。

他の記憶はあらかた出てくるのに名前となると何故か出てこない。


「(いや待て、確か・・・ジュナスって呼ばれてたような、って違う!これは確かゲームとかのニックネームだろ!日本人でジュナスとかどんな漢字だよ!でもどうしても思い出せない。わからん、そのうち思い出せるといいが・・・どっちにしろ今は名乗らないことにはどうにもならないか。まぁ日本名よりもジュナスって名前の方がこっちの世界にはあってそうな気もするな。オフィーリアってのが名前だとしたら・・だけど)」


「・・・・ジュナス。俺はジュナスだ」


自分を指差してジュナスという単語を何度か言う。


「じゅ・・・なす・・?じゅなす・・・ジュナス?」

「そう、ジュナス。ジュナスだ」

「ジュナス!貴方はジュナスというのね!」


そういうと踊るかのように嬉しくはしゃぐオフィーリア。

その様子にとうとうしびれを切らしたのかアグスティナが少々苛立ちつつ声をかける。


「ひ、姫様。そろそろよろしいでしょうか?いい加減急がねば、せっかく撒いた敵に見つかってしまいます」

「あ、そうね。ごめんなさい。急ぎましょう!」


そういうとオフィーリアが手を差し出してくれる。

その手を取ろうとするが・・・・


キッ!!!!


っととんでもない殺気に満ちたような視線が飛んできたため、流石にその手を取ることをためらう。

そんな事とは知らずにオフィーリアは「?」といった顔で手を出しているが・・・・。


俺も手を出してその手を・・・取ることが出来なかった。

そんなものなくても大丈夫だ、といった感じで先を進もうとする。

オフィーリアは再度「?」といった顔をしていたがアグスティナが


「さ、姫様。先を急ぎましょう」


と言ってオフィーリアの手を取ったため、ジュナスとオフィーリアの手が繋がることはなかった。


ようやく第一章ですが、相変わらずスローペースなストーリー展開です・・・。

サブタイトルを変更しました。


いつもご覧いただきまして、ありがとうございます。


楽しんでいただけましたら、感想や誤字訂正、ブックマークや評価などして頂けますと大変うれしく思います。これからもどうぞよろしくお願い致します。


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