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第十四話 始まり

本日三話目となります。

一話、二話が先に御座いますのでそちらを先にご覧いただければと思います。

「・・・・・・・・・・・・・行ったかな?痛ててっ」


そういうと体を起こす男。

その後ベッドの方へと視線を向けると首を縦に振って合図する・・・がなかなか出てこない。


伝わってないかなと心配になりだした頃に先に女性、アグスティナが出てきて周囲を確認し、その後に少女も出てきた。


と、二人はそのまま目の前の男に視線を送ってくる。

その視線にどういった意味があるのかわからない男はとりあえず笑顔で頷いておく。


「(とりあえずは助かったか、この男、どうやら敵意はないみたいだが、どちらにせよ何を考えているのかはよく分からない。我々を助けた理由は何だ?礼か?先ほどの追手共の話を聞いていると、どうやら我々のせいで入れられた訳ではなさそうだが・・・)」


アグスティナが男を見ながらそう考えていると少女が男へと礼を言う。


「ありがとう。貴方のお陰で見つからずに済みました」


そう言って頭を下げる少女に対して少々うろたえながら両手を振って同じように頭を下げている。

その様子を見ていたアグスティナだったが、ふと我に返り、


「姫様、ひとまずは何とかなりましたが、とにかくここから脱出致しましょう。今ならば周囲に追手もいないようですし、道を出しても見つかることはないでしょう」


「そう・・・ね。アグスティナ、お願い」

「はっ!」


そういうとアグスティナは周囲を警戒した後にベッドの奥、ちょうど隠れていた場所の辺りの壁に向かって何やらむにゃむにゃと唱えている。

それが終わると少し大きな音を立てて壁が動き階段が現れた!


「ふぅ・・・姫様!準備が出来ました!急ぎましょう!」


いうが早いか先に階段を少し進み、先の安全を確認するアグスティナ。

少女がその後を追うように向かうのだが、階段に差しかかる寸前で何故かこちらの様子をうかがって足を止めた。


「姫様?」

「ねぇアグスティナ・・・彼を連れていくことは出来ないかしら?」

「姫様!?いくら姫様の頼みといえどそれは難しいかと思います」


突然の姫様からの提案に流石に慌てて、だが毅然とした態度で返事を返すアグスティナ。

だがそんなアグスティナに対しても怯むことなく言葉を続ける。


「どうして?彼は私達を助けてくれたのよ?それに帝国の人間からあのような扱いを受けているということは敵じゃないんじゃないかしら?」


「それはどうでしょうか?先ほどの追手達の話を聞いていましたが、彼はあの魔魂人ウルベの関係者だとか・・・そのような者、いつ敵になってもおかしくはない。そうでしょう?」


ウルベの関係者、それだけでもう世界怪しい人ランキングの最上位にランクインするくらいには、ウルベの名前も残虐性も世界中に知れ渡っていた。


「では何故今この場所にそのウルベはおらず、彼はここにいるの?もしかすると実験されそうになっているだけかもしれないわ。そうだとしたら私達は彼を見捨てることになる。彼は私達の敵じゃない。それはさっきの行動から解るでしょう?」


少女はなおも彼を擁護する言葉を紡ぐが、そう簡単に認めるわけにもいかずアグスティナも言葉を続ける。


「味方でもありません。何よりその者の素性が知れません。いえ、場合によっては私達を監視するためにここに送り込まれたという可能性も・・」


「つい先ほど私達を捕まえることが出来たのにわざわざそれを逃してまで監視する必要がどこにあるというの?」

「それは・・・・・」


少女の正論にアグスティナは思わず言葉が出なくなる。


「それに・・・もしも、もしも彼が実験体にされて生物兵器になってしまった場合、後で後悔するのは私たちかもしれないわ。あの魔魂人がわざわざ一人だけ別の牢に入れたという事実が彼を「特別」だと見ているという事なのではないかしら?」


「・・・・・・・(遥か先に起こるであろう禍根の芽を今の内に摘んでおく・・・ということか。確かにこの男は姫様の言うとおり奴らにとって「特別」なのかもしれない、そうなるとここで見逃せばいずれ我らの脅威になってくる?それならいっそのこと・・)」


姫様からの正論に反論の言葉を失ったアグスティナは姫様の言葉を反芻した後に、男に向けて殺気を放つ。


それは先に起こるであろう脅威を、今この場で自分の手で取り除くことを考えたが故の結論であったが、そんな彼女の判断に彼女の主は怒りを露わにする。


「アグスティナ?まさか彼をこの場で殺そうなんて考えていないわよね?どんな理由があれ、彼は私達の命を救ってくれた。その事実は変わらないわ。貴方は自分のそして私の命の恩人に対してそのような行いで報いるのかしら?」


「で・・・ですがそもそもあの者がいなければあの様な事態に遭遇することは・・・」


「確かにそうかもしれないわ。でも彼がいなければ私達がここから脱出したのは敵に知られていたわ。そうなればきっと追手がすぐに放たれる。でも今の状態なら少なくとも私達がここから脱出したと気づかれるのはかなり遅れるはずよ。彼のお陰で・・・ね?」


「・・・・・(確かにこの男がいたからこそ、私達がここに来ていないという証明が出来た。この男がいなければ先ほどの兵士共は牢に入り、そして我々の足取りを掴んでいただろう。そうなれば、追いつかれていたのも時間の問題だったということか・・)」


「アグスティナ、私が甘いという事も我儘を言っていることは理解しているわ。でもこれ以上の問答は無用よ。私は彼を連れて行こうと思う。・・・いいわね?」


言葉では姫様からアグスティナへ許可を求めるような物言いだが、実際には拒否することは許さないという迫力があった。


「・・・・・わかりました。ですが彼がそれを求めたらの話です。もしこの場に残るという選択をするのであれば、その時は私の手で・・・今後の脅威を排除します」

「ありがとう。それでいいわ」


そういうと少女は男に向かって笑顔でその手を伸ばす。

そして一言


「私の名前はオフィーリア。オフィーリア・フィーリッツ。貴方の名前は?」


・・・・・・・男「ジュナス」の異世界物語がようやく始まる・・・・・・・・

ようやく序章が終わりになります。

基本的にご都合主義というか無理やりな展開が多いかもしれません。

また、ストーリーの進行がかなり遅めです。


今後は更新のタイミングが時間が出来次第上げる予定ですので、0時ではなくなると思われますが、よろしくお願いします。


いつもご覧いただきまして、ありがとうございます。


楽しんでいただけましたら、感想や誤字訂正、ブックマークや評価などして頂けますと大変うれしく思います。これからもどうぞよろしくお願い致します。



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