第百三話 幼女VSオタク(キモい方)決着
いつもの2.5倍くらいあります、ほんとにすみません。
インキャキ・モーオタVSフィーリッツ王国騎士 第五師団団長 スズネ&副団長ナユカ
「もろんぱぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
謎の悲鳴を上げて吹き飛んでいく男と男が吹き飛んだ場所にいる小さな少女。
そんな奇妙な光景が先ほどから何度となく繰り返されている。
「効きません!効きませんぞ何度やろうとも小生には効かないと言っているではありませんからべらぶるふぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!」
吹き飛ばされては起き上がるものの、会話中に再度小さな少女に吹き飛ばされてを繰り返していた。
「凄い凄い!!こんなにスズネと遊んでくれるのはジュナスお兄ちゃんくらいだったのに!」
「ええ、確かに。ここまでの回復力はなかなかのものです。一体どうやっているのでしょうか‥魔力で回復するにしては魔力量があまりにも多い気がするのですが・・・」
少女と共にいる女性が興味深く殴り飛ばされている男を観察する。その様子から男を心配することは皆無のようだ。
そして同じく今の彼のように少女、スズネの犠牲になった者がもう一人いるようだ。
「な、なんですとーー!!!!!小生以外に天使とくんずほぐれつ(ひたすら吹き飛ばされただけ)遊んだ男がいるというのですかー!!許せませんですぞー!!(怒)」
男、インキャキ・モーオタは相変わらず吹き飛ばされてもさして気にもせずに、全く別の事で怒りを露わにしているようだ。
あまりの変化のなさにどうしたものかと考えていた女性、ナユカだったが僅かにだがようやく違う変化を見つけてそこを突いてみる。
「いえいえ、隊長。あのような気持ち悪い男よりも、ジュナス殿と遊ぶ方がずっと楽しかったのではありませんか?彼は隊長のこうげ・・コホン!追いかけっこを上手く躱したり受け流したりしておりましたし。」
「うーん、そうかも!おじさんはずっと飛ばされるだけだけど、ジュナスお兄ちゃんはすっごく速かったしずっと遊んでくれたね♪」
その一言がインキャキ・モーオタの琴線に触れたようだ。
「フ、フヒョーー!!!許せんですぞ!よりにもよって天使との触れ合いを受け流す!?ましてや回避などと・・・このインキャキ・モーオタ、『イエスロリータ、イエスタッチ』の信条に置いて今の一言はとても許せるものではありませんぞー!!!!(怒)」
何やら方向性は違うが、どうやらこの吹き飛ばしては起き上がるを繰り返しての進展無き状況にようやく変化を得られたようだ。
「ならば小生が、その愚かな男の代わりに是非とも天使とのフェザータッチタイムを楽しんであげましょうなのですぞンブラベェェェェェェ!」
再度気持ち悪い発言の途中でスズネの一撃が決まって吹き飛ぶ。この辺りもやはり先程とは変わらないかと思いきや、起き上がってきたキモオタの腕に変化があった。
「アレ?おじさんの腕が一つなくなっちゃったよ?どこかに落としちゃったのかな?」
「ムム?(おかしいですね、先程まであれほど打撃を受けても一切変化がなかったのに、今の一撃だけで一気に腕が無くなるなど、今の一撃もそれまでとそれほど大差のない威力だったはず、これは一体?)」
二人の疑問には特に答えずキモオタは相変わらず「フヒヒ・・ヒヒヒ」と笑いながら起き上がってゆっくりとスズネの方へと向かってくる。
「フヒ。さぁ、小生のターンなのですぞ!行きますぞぉ!」
言ってからスズネに向かって走り出してくる。スズネは同じように迎撃しようとして足元に違和感を覚えた。
スズネが足元を見ると先ほど飛ばしたキモオタの腕がスライムのように青い半透明となってスズネの両足に絡みつき動けないように地面に固定されていた。
「フヒヒヒヒ!(喜)これでうまく踏ん張ることが出来ないのですぞ!力を入れられなければ体が吹き飛ばされるほどの威力は出せないはずなのですぞ!さぁ!小生のフェザータッチを受けるのですぞぉ!フヒ!フヒヒヒヒヒィ!!!(狂気)」
一気に襲い掛かろうと飛び上がってスズネに向かってダイブを試みる。その姿はどう見てもフェザータッチというものではなく、まぎれもなく某怪盗アニメの主人公がベッドにいるヒロインに向かって行うル〇ンダイブであった。
「フヒヒィ!捕らえましたぞォロロロロロロォォォォォ!」
キモオタがスズネの上空に位置した途端にスズネの肩から更に二本の腕が現れてキモオタの両側の腹にプレスするように殴りかかる。キモオタはその衝撃で落下しそうになるがそこでキモオタに変化が起こる。
両側面の腹を殴られたキモオタの下半身が分離、スズネの足元にある腕のようにスライム色となってスズネに向けて落下し液体のようにスズネを包み込んだ。
「フヒ!フヒヒヒヒ!(歓喜)やった!やりましたぞ!これで天使の体を小生に液体まみれに・・・ウッ!・・・・ふぅ。危なかったのですぞ。小生の体はこれでもスライムのようにもなるのですぞ!この液体は酸性にも変えられて自分の好きなように酸度の濃さを変えられるのですぞぉ!フヒ、フヒヒ!これで遂に天使のお洋服を・・・ようやくお医者さんごっこが出来るのですぞぉ!!フヒョーー!!!(悦)」
キモオタの言う通りスズネの体にスライムのように粘度の高い液体が降りかかってしまっている。どうやらキモオタの趣味なのか顔には一切かからずに体だけを覆っているようだ。
「アレー?上手く動けないなぁ。それになんだか変な臭いもする気がする、おじさん臭いね。」
実際には一部が酸性で溶けた際に出ている匂いなのだが、スズネはキモオタが臭いと感じたようだ。その発言にショックを受けつつも残った上半身は歓喜で目を燦然とさせてスズネを見ていた。
「フヒヒ!さぁさぁさぁ!小生の事などどうでもいいのですぞ!ついに天使の柔肌を拝む瞬間が来たのですぞぉ!フヒョヒョ!さぁ小生の分身体よ!天使の衣服だけを溶かすのですぞぉ!あ、ゆっくり、ゆっくりですぞ!じっくりねっぷり拝みたいのですぞぉ!フヒョヒョヒョヒョォォォォ!!!(歓喜)」
・・・・・・・1分後・・・・・・
「あ、アレ?何故なのですぞ?何も変化がないのですぞ?お、おかしいですな?いくら小生がゆっくり拝みたいと言ったとはいえいくら何でも遅すぎますですぞ!少しくらい変化させてくれなければ全く意味がないのですぞぉ!(怒)」
キモオタが困惑顔でスズネを見上げているが、当のスズネ本人はというと、
「何か面白い遊びがあるのかと思ったけど何にも起こらないし臭いし、もう嫌!カゲちゃん!これ取ってー!」
スズネがそういうとスズネの顔が何かに覆われて衣服が急に光り出し、魔力の爆発を起こす。
「フヒョォォーー!!!!??」
すぐ間近で見ていたキモオタは爆発に巻き込まれて再度吹き飛び地面を転がっていく。
少しして現れたのは魔法少女の様な衣服に着替えたスズネであり、先程まで顔を覆っていたものも今は無くなって髪に可愛らしいリボンが結ばれていた。
「おじさんと遊ぶのも飽きちゃったし、おじさん臭いからもう遊ぶのはおしまいね。」
スズネがキモオタに向かってそういうのと同時くらいにキモオタも必死の自身の分身体を元に戻しており、自分の体が再度構築されていた。
「ウヒョヒョー!!なんですぞ!?なんですぞ!?その見た目は天使なのですぞぉ!(歓喜)。あ、いやいや、それよりも先ほどの服が溶けなかったのはもしや衣服そのものが聖剣だったのですぞ!?しかもいろんな形に変化できると!?という事はロリスク水やメイド服、体操服姿なんかも・・・神アイテム(゜∀゜)キタコレ!!ですぞぉ!(感涙)」
キモオタが何故か涙を流して気持ち悪い発言をしていたが、それを無視してスズネが一気にキモオタに接近する。
「じゃあねおじさん、バイバイ。えーい!」
一瞬で目の前まで現れたスズネに一切反応が出来ずになすがままになるキモオタ。そのキモオタをなんと両手で持ち上げて上空へと投げ飛ばした。
「ウヒョホォ!(驚)なんですぞ!?急に何なのですぞぉぉぉぉ!?」
かなりの上空に飛ばされたキモオタが一定の距離まで飛ばされたのちに自由落下によってもう一度落ちてこようとしているところへ、スズネが何やら可愛らしい杖の様なロッドのようなものを両手に持って上空のキモオタに向けている。その武器からはとてつもない魔力と光が集まり出していた。
「あ、あれはヤバそうなのですぞぉ!?・・フ・・フヒ!」
「・・・アレは・・・」
「いくよー。スズネとカゲちゃんの合体あたっく。すずかげうるとらすーぱーまじっくふぁいあー!」
杖の先端からとんでもない光が光速でキモオタに向かって飛んでいく。
「ど、どう見てもファイアじゃなくてレーザ・・・っ!!!」ジュッ
その一言を最後に本来の着地点に自由落下していたはずのキモオタが、地面に落ちてくる事はなかった。
「わーい!なっちゃん!終わったよー!お菓子♪お菓子♪」
すぐにナユカの元に戻りお菓子をねだるスズネ、姿もどうやらいつもの状態に戻っているようだ。
「はい隊長、お疲れ様でした。こちらに簡易の椅子と机を用意しております。お菓子も机の上に用意おりますのでこちらに座ってお食べ下さい。」
「アレ?なっちゃんは食べないの?それにみんなの所に戻ってから食べるんじゃないの?」
「・・・所用がございます。すぐに戻りますので隊長は少しこちらでお待ちくださいませ。・・・それでは。」
そう言うとナユカがその場から姿を消した。
「しょようってなんだろう?うーん・・あ!これスズネの好きなケーキ!」
それだけ言って自分の好物をナイフとフォークで食べているのだった。
・・・・ここはスズネとキモオタの戦った場所からほんの少しは外れた森の中。そんな森の中に何やら子供の拳大くらいの大きさの禍々しい珠が落ちていた。更に珠はわずかに粘度の高い液体が少しだけ付いている。
「フ、フヒ!フヒィ・・・(あ、危なかったのですぞ、危うく消し炭になるところだったのですぞ!ですがなんとか離脱が間に合ったのですぞ)」
なんとスズネの魔力と極大の光から危険性を察知して逃げ出したキモオタことインキャキ・モーオタであった。
「(か、体が殆ど無くなってしまったのですぞ。こうなっては小さな生物を取り込んで何とか少しずつ元の大きさに戻るしかありませんぞぉ、一体どれだけの時間がかかるのやら・・)」
そんなことを考えているとガサッと森をかき分けたような音が間近に聞こえた。
「確かこの辺りに、嗚呼、コレでしたか。」
「!?」
そこに現れたのはフィーリッツ王国騎士、第五師団 副団長のナユカであった。
キモオタは必死に息を殺して様子を伺っていたが、相手の狙いが明らかにこちらであることは間違いなかったようだ。
「隊長の攻撃から逃げ切るなどとなかなかに逃げ足だけは速いようで驚きました。まぁ隊長はまだ幼いので詰めの甘さはやむを得ないでしょう。その為私が補佐としてついている訳なのですが・・。」
ナユカは相手がこちらの声が聞こえていることを理解しているかのように禍々しい珠に語り掛けつつ近づいていく。その行為にキモオタは今は存在しえないはずの冷や汗が止まらないのだが、そこでふと思う。
この女は確か戦闘には一度も参加せず、隊長と呼ばれた天使のスズネに何度もお菓子をねだられていた。という事はもしや、この女は・・・ただの従者で戦闘能力がほとんどない、或いは低いのではないか?と。
「(もし、もしもこの女の体内に入りさえすれば小生の肉体は一気に復活、いやいっそのことこの女になりすませば天使とのくんずほぐれつのやり取りも思うがまま!?フヒ!?フヒヒヒヒヒヒヒヒヒ!(狂乱)来ましたぞ!まだ小生を見守る神は小生を見捨ててはおりませんでしたぞ!小生にも運が回ってきたのですぞぉ!(歓喜))」
「私はこれでも料理人でして、料理というのは簡単そうに見えてそうでもないのですよ。ほんのわずかな材料の量の違いで味はとてつもなく変化してしまいます。その時の気温や湿度なのでも食材というものは味が変わりますし。ましてや異物混入などともなれば目も当てられませんので、ですのでこれでも目はいい方なのですよ。」
ずっと語りつつ少しずつ近づいてくる。だがキモオタはもはやナユカの会話など耳に入っておらず、ただひたすらに距離を測っていた。
「(げ、現在の小生の動きで何とかあの女の口にさえ入り込めれば、そうすれば全てが小生の物に・・まだ、まだもう少し遠いのですぞ、ですが何やら話し込んでいるため、口はずっと空いているのですぞ、これはやはりチャンスなのですぞぉ!!)」
「貴方が隊長の攻撃を受ける直前にご自身の体のほんの一部をこの場所に飛ばしたのが見えました。あまりにも時間がなかったからか、この一部以外は全て消えたのは確認しておりますので、貴方の本体はこれで間違いないでしょう。そしてその禍々しい珠、それが貴方の体を元に戻すための核といったところでしょうか。話の流れからして魔人になるための核でしょうかね。確か魔剣と融合したと仰っておりましたので。」
少しずつ二人の距離が縮まっていく。
「(もう少し、もう少しなのですぞ!慌てない、慌てないのですぞぉ!!)」
「どうやら貴方は隊長から体を消し飛ばされるほどの攻撃をされた際にはその核を消し飛ばされない場所に移動させていたのですね、どおりで上半身だろうと下半身だろうとどちらを吹き飛ばしても戻る訳です。また一定距離の自分の分体を操る力もあるようですね、千切れた腕をスライム状にして動かし、隊長の足を固定させるなどがそうでしょうか。ですがその力はある程度核の近くにないと無理なようですね、だから隊長に向かって走っていったのでしょうが。」
ナユカはインキャキ・モーオタの企みには気が付いた様子もなくゆっくりと先ほどの戦いを分析した結果を語りながら近づく。そしてついにほぼ間近にまで来た。
「その逃げ足、ずる賢さはある意味称賛に価すると言ってもいいのですが・・・」
「(キタ!のですぞ!!!行くのですぞぉ!!!)」
そこまで言ったところで急に珠が弾けた様にナユカに向かって飛んできた。
「(フヒ!フヒヒヒヒヒ!やったのですぞ!!やってやったのですぞぉ!コースは完璧!ただの料理人にこの速度は反応できるはずがないのですぞぉ!)」
「・・・ですが・・・」
そう言うと次の瞬間にはナユカが先ほどまでいたはずの場所より2メートルほど先の地面にいた。
「(フ・・フ?ヒ?)」
ピシッ!と何かの音が聞こえたと思うと禍々しい珠が空中に投げ出されており、そしてその弾に亀裂が入っていた。
「相手の力を見抜く能力があまりにもお粗末すぎますね。私がただの料理人というだけで第五師団の副団長に慣れるとでもお思いでしたか?」
そういうナユカの両手には明らかに料理人を思わせる包丁が握られていたが、その見た目はただの包丁というにはあまりにも業物のように輝いていた。
「料理人は食材の声を聞くのですよ、貴方の声も実際には聞こえてはおりませんが、その雰囲気から狙いは解っておりましたよ。そして、どんな食材も完璧に仕上げるために、料理は戦闘も当然。食材探しに戦闘を行ったり、時には食材と戦うこともあるのですから、戦闘能力が皆無など、あり得ませんよ。」
「(そんな・・小生が・・小生の夢、ロリータパラダイスがぁぁぁ!!!!(絶望))」
亀裂の入った珠が地面に落ちると同時に砕け散り霧散していく。
それを見届けてから、ナユカは敬愛する隊長の元へと戻るのであった。
オタク(キモい方)VS幼女と女性
勝者 フィーリッツ王国第五師団団長 スズネ&ナユカ
今回もご閲覧頂きまして本当にありがとうございます!
今回の敵キャラ、インキャキ・モーオタもスズネちゃんもナユカちゃんも書いてて楽しいキャラだったために、色々と展開を考えて書いていたらいつの間にやらとんでもない文字数になってしまっておりました。
申し訳ありません。
なかなか展開が遅いかもしれませんが、これからも少しずつ更新をしていこうと思いますので、どうぞ長い目で見守って頂ければと思います。
また、急いで書いたため、誤字脱字があるかもしれませんのでいつでもコメント、修正の受付は行っておりますので皆さま、もし見つけたらどうぞよろしくお願い致します。
少しでも評価やコメントが頂ければやる気が出ますのでどうぞよろしくお願い致します!
具体的には☆☆☆☆☆を★★★★★にしてもらえたらもう感激しまくります。
★☆☆☆☆でもとっても嬉しいよ!!
ブックマークもしてもらえたら嬉しいです!
評価は下の星を押してね!
こちらは気まぐれで書いた小説です。評価が上がれば追加も書こうとか考えてますが、しばらく更新はしておりません。それでも良ければどうぞそちらもよろしくお願い致します。
テンプレ異世界に飛ばされたけど、こんなのテンプレっぽいけどテンプレじゃない! ~適当テンプレ神に流されずに頑張って抵抗ツッコミしていこうとするお話~
https://ncode.syosetu.com/n1008gw/




