ハジメノ一歩
公立の桜松丘中学校に入学してきた与謝野椛
入学式が終わった翌日に朝起きたら右手首に鍵のマークがついていた。椛は気になりながらも放置して学校に向かう。
だが、学校の敷地内に入ると、脳内に直接語りかけられる。
『コッチおいでよ』
幼い声。後から笑い声がした。椛は呆然とし、操られるように声を頼りに歩いて行く。学校という建物の後ろを回っていくと広いグラウンドがあり、椛の横にある裏口のような扉がある。
『ココだよ。開けてご覧よ』
何も言わずにドアノブを回し、ガチャと音を立てて扉を開ける。この時には案内の声が消えていた。
扉を開けた先にはーーーーー
中年の人だと思う。体格は細すぎず、太すぎず、普通な感じ。
髪はやや白髪が混じっている。左目には何かに引っかかれたような跡がある。その傷はずっと残るだろう。
服は紅色のネクタイに、細い縦ラインが入ったスーツ。スーツの襟にはここの学校の勲章がついていた。
高級そうなデスクに椅子。壁には代々受け継けついだ人だと思う…その人の写真が丁寧に掛けられていた。
ーーーーー多分ここは校長室。
何故裏口と校長室が繋がっているか分からないけど、この清楚な感じといい、豪華な感じは校長室なのだろう。
これも思わず、
「ほわぁ……すっごーい……」
と、呟いてしまった。きっとTwitterでこの部屋の写真を投稿したらバズるのだろう。
ーーーーーそう思っていた時ーーーーー
「君は、選ばれし者だ。」
突然校長が言い放った。
理解が出来ず、上の人に
「……は?」
と、言葉を投げた