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彼女は、母にご指導ご鞭撻のほどをお願いしたが、それを後悔しつつあった。

さすが社交界の百合と呼ばれた母なだけある。家庭教師に習っていた倍厳しいし、細かい。


「リディー!考え事をしない!ステップがワンテンポずれてるわ」

「はいぃ!」


王都から帰って来ていた弟と父も、私のダンスの練習に付き合ってくれていたが、私が何度もやり直しをさせられるので流石に付き合うのは無理だと音を上げた。

母は、情けないわね…と呟くと父とヴィタリーを休憩を言い渡し、代わりに執事のヘルが召喚された。


彼は、体力お化けだ。引き締まった細い体のどこに、そんな余裕をぶちかます体力があるんだろうか。


「お嬢様、音楽をよくお聞きになってください」

「聞いているのだけど、足が言うことを聞かないの…」

「魔法の特訓とやらで鍛えた体力とは、その程度でございましたか?」


ヘルは、よーーーーく私のことを理解している。

それはもう、私の負けず嫌いの精神に油を注いで火をつけるように。


「…あら、ヘルこそ…汗をかいているのではなくて?」

「はは、お嬢様。汗?天井が雨漏りでもしてんじゃないですかね」

「そんなわけないでしょ」

「お嬢様こそ、息が上がってきてますが?」

「おほほ、何をおっしゃっているのかしら?これは、あなたの周りの空気を奪ってるのよ」

「なんと、さようでしたか。その割にわたくしは息が苦しくないですねえ」

「そうなの?ヘルってば、真剣にやっていないのではないの?」

「…リディアお嬢様に言われるなんて心外ですねえ」

「あらあら、苛立っておられるの?ヘルくん」




結局、負けず嫌い二人はダンスのレッスンを馬鹿みたいに続けて、足がガクガクになっても踊り続けたそうな…。




***




「姉さんも、ヘルも…何をやってるんですか」

「…」

「申し訳ありません…ヴィタリー様」

「姉さん!」

「…ごめんなさい…ヴィー」


二人は、リビングのソファーに座らされて弟に説教を食らっていた。

どうやら、休憩から戻ってきた時に二人があはは、おほほと笑いあっている理由が手に取るように分かった彼は、音楽を止めても、お母様がやめなさいと怒っても、聞く耳すら持たないというか聞こえていない私たちを正気に戻してくれたようだった。


__でも、ちょっと実力行使すぎやしませんでしたかね…?


「別に負けず嫌いが悪いとは言いません!それは二人の長所でもありますからね。ですが、貴方たちの短所でもあります!一回吹っ掛けられると、明確な勝敗がつくまでやり続ける。その根性は素晴らしいですが、その後に来る支障についてはなんっにも考えていない!馬鹿ですか!?姉さんは、約二か月も練習をしなければいけない!ヘルは、まだ仕事があった!体を壊しては元も子もないでしょう!」


あうあう、とヴィーの怒りように身を縮めた私たちは寄り合っていた。無意識に、身を寄せていた。それくらい怖かった。

正論をぶつけられて何も言えないのはもちろんだが、ヘルの仕事に支障をきたしてしまったことに申し訳ないと思った。


「ご、ごめんねぇ…へる…」

「いいんですよ…俺は…体力だけはありますから。それよりも、お嬢様に無理をさせてしまって…」

「ううん!それは自己責任だし…歯止めを利かせなかった私も悪いから…」

「お嬢様…」


フリウム家の体力お化けヘルと、フリウム家の脳筋リディアは、昔から弟に怒られてしっかり仲直りするというのがテンプレになっていた。


____幼馴染で、一番の悪友。それが、ヘルダ=キース、御年17であった。

休日ですので、書き溜めることに専念したいと思います!

ブックマーク等、ありがとうございます!!

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