19 R指定と本能と親心
R指定という事で,少しエロの言葉がありますが,内容はいたって真面目です。
3月。
『小説家になろう』で問題になりました,R指定問題。
私も悩みました。
その件に関して,私の叫びを少々。
先日,日曜日の夕方に私と家族は驚き仰け反りました。
某インスタント食品会社のCMに,裸の背中にペイントのみの女性がポーズをとって現れたから。
家族全員,押し黙ってしまいました。
最近,こういうの多いんですよね。
子供と和やかな時間をとろうとTVをつけても,こういう気まずいものを見せられる時が。
かといって,小学生の世界でも共通話題がなさすぎると辛いですし。
最低限のアニメとバラエティーを観ようにも,この現状。勘弁してほしいです。
といっても。
裸の女の人やエッチなシーンを世の中から失くせ! とは,言いません。
これはもう,人間という生き物が社会を営んでいく上での,必要悪ですから。
生殖にかける,生き物の情熱です。ある意味。
ネット世界がここまで急速に拡大したのは,色々な方がこっそり言うようにエッチ願望の巨大さだと思うのです。もちろん,インターネットというものは軍事目的で開発されたものですし,ビル・ゲイツも純粋に開発に勤しんだのは知ってますよ。でも,アダルト関連のサイトの存在があって,ユーザーが世界中に爆発した事は事実です。恐るべき,人間の下ネタパワー。
大前提に,人様に不快な思いや社会の規律を破らない事。それに私的な空間のみ,個人的に楽しむものであれば,エッチな画像やらは問題ないのですからね。
ただ,妄想が現実に飛躍しちゃうと危ないんですが。
それは犯罪です。
ここは大人の器量の見せ所。
だからこその,R指定でもあります。
そう。R指定って,「お子様はだめよ。大きくなったらね」という事です。
では何故,お子様はいけないのか。
ここは日本の考え方で。
海外ではR指定の中に『銃を持つシーン』や『子供の上半身裸なシーン』もあるそうですが
≪例として……映画『E・T』 上映当時は後半でE・Tを連れて逃亡する子供と一緒に映っている警察官が手にしてたのは銃。最新版では網などに変えられてます。あと,日本アニメの金字塔『鉄腕アトム』のリメイクしたハリウッド版『ATOMU』で,上半身裸のアトムが問題されたのは有名ですし≫
エロどころか,グロや銃規制やロリコンも入れると話がややっこしくなるので。ここは国内の性的な情報に関する事を書かせていただきます。
戻りまして。
何故にR指定か。
昔もエッチな画像はありましたよ。
でもインターネットがなかったのは大きかった。
せいぜい,ピンク映画とか,大人な雑誌とか。
でも,そこに行くには幾つもの難関を突破しなければいけなかった。
雑誌を買うにも,近所のおじちゃんがレジ打ちする店しかなかったし。
映画を観るにも,そういう映画はエッチな映画館でしか上映されなかったので,入館する事自体が恥ずかしかったし。
私は女なので,これは男友達からの又聞きなどですが。
そういう関門があったわけです。
けど,今はないんですよね。
エッチな画像はリビングのPCで観れてしまう。
エッチな雑誌は近所のショッピングセンター中の本屋なら,周辺の大人の注意もあまりなく買える。きっと。度胸があれば。
性的な情報が,子供の世界にも溢れかえっている。
では,なんで性的な情報に子供が触れるのがいけないのか。
では,性とはなんぞや。
生殖,という意味ならば正しい性教育の出番だ。
けど,昨今の性的な情報が正しい生殖方法ではない。激しく違う。かなり違う。
マニアックな性的な情報が,偏りすぎた情報が多すぎる。
もちろん,まともなコンセプトで描かれたものもありますが。これは少数派。
情報は派手な方が売れるに決っている。刺激が多ければ,反応も大きいに決っている。
そして厄介なことに。続く第二弾以降は最初の刺激よりも強烈なものを欲する。
これは味覚もゴシップも同じ法則。
辛いスナック菓子を食べ続ければ,もっと辛い食べ物じゃないと満足できなくなる。
二倍カレーの果てにあるのは,ウン倍激辛カレーです。元に戻れなくなる。
そういう情報の渦に巻き込まれて,子供が正常な判断が出来るのか。
否。答えは明白だ。
大体,自我というものが確立してない子供に,生殖という『生きていくうえの尊厳』を理解させずに性情報を垂れ流しにするというのは,子供に対する冒涜だと思う。
『生きていくうえの尊厳』
自分がどういう想いが積み重ねられて生まれた存在なのか。
命って,どんなものなのか。
自分って,何者なのか。
それがまったく,漠然とでも形作って説明出来ない子供に,性情報ってのは,暴力に等しい。最初の強烈な印象が刷り込まれてしまいます。
そして恐ろしい事に。
自分の尊厳が踏み躙られた,または尊重されなかった想いがある子が他者を尊重する事は難しい。自分の子供の尊厳を守ろうという意識が希薄になりやすい。
(もちろん,きちんと意識され,自分の傷口と向き合える強く優しい方も多くいらっしゃいます)
R指定を軽く見ている大人は,そういう事を考えた事あるんだろうか。
私は,こう考えていますけどね。
どんなプレイをお楽しみになっても構いません。
どんな性的嗜好でも構いません。
でもね,初めはノーマルからはじめるでしょうよ……。
ドキドキから始まるでしょうよ……。
そのドキドキを商売にしちゃあ,あかんのですよ。
するなら,良心的にやってくれなくちゃ。
社会的な責任,道徳観。
大人となった人間の,次へ繋げていく生き物の,義務。
子供は,守らねばいけない。これは人間だけでなく,生き物が当然に行っている事じゃないだろうか。
同種の,まだ未熟な子供を守る。これ,当然。
だからこその,R指定なのだと思います。
公の場に流す情報は,子供の目を意識する。
表現の自由以前に,生きるものの尊厳や意思の自由を守る為に,気をつけていかなくてはいけない。
反対に,私的な空間においては「ご自由に」。
人に迷惑をかけない。不快な思いをさせない。これが大人の世界かと思うのです。
アブノーマルでも,マイノリティーなお楽しみも,ひっそりと同好の仲間で行ってくだされば。こっそりと自室で行ってくだされば。
なーんも文句ありませんよって。
もっと簡単に言いましょう。
自分の親と一緒にリビングで観れないもの。それがR指定だと思います。
加藤茶の「あんたも好きねぇ」は,親が眉をひそめたけど。まだ笑えましたよね。
ストリップというものに対する知識がなくても笑えますが。(知らない子は,もう少し大人になるまで待ちましょう。今はあのおかしな口調と仕草に「なんかエッチっぽくて変」と笑えばOK! )
恋愛ドラマでキスが出てきたら,ドキドキしましたよね。
それは,きっと自分がこれから胸に秘める想いを予感しているからです。
とてもとても大事な行為になると,本能で知っているからです。
この想いは,親からの独立や自立も表します。大人になる準備です。
肌が大きく露出した映像に,ドキリとしませんか?
当然です。変じゃないです。
だって,自分の生き物としての本能を刺激してしまう部分ですから。
人間が動物と大きく変わった所は,そこです。
繁殖期は春のみの,生き物達。対して,年中繁殖期となって繁殖に成功した人間。
繁殖期が期間限定だから,性的アピールを体に造り必死に繁殖する生き物達。お猿のお尻が赤く大きくなり,綺麗な羽を広げ,綺麗な花を咲かせます。
人間も,その名残があるといわれてます。
女性が赤く唇を塗る事。綺麗な服を着たり,胸を強調したり。年中,してますよね。だって,いつでも繁殖期ですもん。
ただ,ここで凄いのは人間に「本能は恥ずかしい」「隠すべき」という意識が生まれた事といわれています。
よって,突然に本能を刺激するような「露出」された肌や,性器周辺や胸のあたりが出てくると,興奮してしまうんだと思います。
興奮するのは,変じゃないんです。本能だから。普段,隠しているだけだから。
人間という,社会を営んで生活している生き物が作り上げた,「隠す」「恥」「罪」という意識です。
社会で生きていく意識があるのなら,本能は隠していかねばいけない。
これが,人間が進化していく上で身につけていった知恵です。
ってな訳で。
冒頭のようにTVで女性の肌がでちゃうと困るんです。
恥ずかしい,罪,そういう意識で隠してきた本能が,表に引きずり出される。
親という,自立を目指すべき対象の前で,いきなり動物としての本能を引きずり出される。
これって,結構キツイ。
まだ自立という意識がない小さな子は,突然出てくる本能的な情報に驚くわけだし。
ましてや,正しい性教育なんて受けてなければ,本能を刺激する強い情報に翻弄されてしまう。
だからこその,R指定。
情報を規制する意味があると思うんです。
「いやんだねぇ」
「すごかったねぇ」
「すごいってどこどこ? 」
「がははははは」
といって,苦笑いして笑い飛ばすしか,ないでしょう。もう。
顔は笑って,心でムキーッと怒って。
今時の少女マンガに,ハラハラしたり。
キツイTV番組に慌てたり。
オンライン小説に頭をかしげたり。
だから,お願いです。
『小説家になろう』ではR12も作って下さい。
小学生は駄目だけど,中学生なら大丈夫。という線引きがないと困っちゃう作品も多いと思うんだけどなぁ。
今回は,私のR指定に関する個人的な考えです。
自作『見下ろすループは青』を途中でR指定をかけ直しました。
客観的にみてR12だと思いますが,R15しかないのでR指定をかけた次第です。
上記の文で納得していただければ幸いです。
でも,勝手な事をしてお気に入り登録を入れて下さっていた方,コメントを書いてくれた方,評価をして下さった方の好意を無にしてしまった事に変わりはありません。
この場をお借りしてですが,勝手な事をして申し訳ありませんでした。