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ロバ耳!!  作者: 木村薫
11/24

 11 音楽は選択すべし

 私の好きな音楽話です。幾つかのアーティストや作品名が出てきます。が,罵倒するつもりはありません。どれも好きな曲で私のプレイリストに入ってるものばかりです。

 愛あって書いてますが,気分を害されたらごめんなさい。

 執筆の友。人によって様々なものがあると思う。

 芥川賞を受賞した川上未映子氏は,ミネラルウォーター4リットルとか。これはすごいけど……まぁ,よく聞く。大抵,コーヒーやお茶が傍にあるとか。

 でも,なによりも大きな影響力があるのは音楽じゃなかろか。

 漫画家の浦沢氏は某大作のタイトルにもなったT.REXを愛用しているらしいし。アカデミー賞とったアニメ作家はビートルズとか。

 頭の中の妄想を表現したり引っ張り出したり動かしたりするのに,なくてはならないリズムや旋律ってのが,あると思う。もちろん私も。今回はそんな話。


 ファンタジーを書いていた。異世界ものだ。けど,どこかしらモデルはある。しかも音楽や音自体に魔力がある,という設定。となると,頭の中にイメージがいる。

 基本,雅楽のような万物に語りかけるように。特に呪術系では動きは雅楽の舞をイメージ。旅する楽師達が奏でるのは,中東の遊牧民が奏でるものを。砂漠のキャラバンだ。唄う感じは,イスラムの祈りの呼びかけの声をイメージ。あぁ,すっごく私の好み,突っ走ってます。


 そもそも,私の書き方は少し変っているようだ。幾人かの『小説の書き方』を書いたのを読んでみたが,音楽でイメージを膨らます人はいなかった。

 PVを観て聴いて妄想することをしていたからか,私はキャラや話の起承転結的な主軸を決めると音楽を聴きまくった。いわばテーマソング探しのような感覚だ。

 主人公は10代半ば。となれば,スピッツの『春のうた』やBUMP OF CHICKENの『K』『天体観測』とか。

 作品のテーマはブロードウェイミュージカル『RENT』の『Serson of Love』を使用した。

 こうなると,ぐぐんと話に肉がついていく。妄想も膨らむ。次々と,他のキャラにも曲がつきイメージや設定が固まっていく。

 が,私は歌詞は基本聴かない人です。すみません。作曲者のイメージをぶち壊したかも。


 さて,ここまで音楽に頼っていると失敗もある。

 例えば,20前後の女性キャラ。基本,生命力あるおてんばな女性をイメージした。そうなると曲も元気な女性ボーカルを選ぶ。で,探したのはAvril Lavigneの『Girl Friend』。カナダ出身の,キュートなピンクロック。

 そして同時に男性キャラの曲も探していた。同年代の,それでいて皇子様なので落ち着きと包容力ある大人っぽい声を。選んだのはElliott Yaminの『Wait For You』。動画サイト出身の男性ボーカルのヒット曲。

 さて,賢明な読者の皆様はオチが判ったでしょう……。二つのキャラは,恋に落ちてしまったのです。作者の必死の抵抗をものともせず,勝手に動き出し,勝手に恋に落ちていった。

 選曲の時に,もう少し配慮すべきだった。いくら歌詞を聴かなくても曲調というものだある。だって,Elliottoの方は『君を待ってるよ』ですよ。どっかいった恋人を待ちわびる歌詞じゃないか! でもって『Girl〜』っすよ。これで恋しない訳がなかった……。想定外の出来事だった。

 

 まだあるぞっ。失敗談には困りません。ふははは。

 二十代後半の支配者層の男性を書こうと思ったときでした。大体の彼の設定はあった。がっちりした体格で,腹は据わっていて,正義感で先走ってしまう若さがまだあって,異母兄妹の女性に惹かれていると。

 さて。曲は何が合うかなぁと,漠然とプレイリストを彷徨っていました。男性ボーカルで,迷う感じのイメージが欲しいなぁと。

 出てきたのはSnow patrol の『Signal Fire』。『スパイダーマン3』の曲といったほうが判る方もいるでしょう。聴くと判ると思いますが,なんとなく『葛藤』をイメージさせられたので「これイケル」と決定。けど……彼が作中にとった初登場の場面は,宙にせり出した木の枝にしがみついての覗き見。

 曲聞く前に映画見てたからかもしんない……。いや,映画のせいじゃない。スパイダーマンは覗き見なんかしないぞ……。なんで,よりによって『宙ずり』のイメージだけ活用してしまったんだろう。完結した今,最大の謎はこれだったりする。ごめんなさい。

 ただ,明記しておきます。これはSnow patrolのせいでもなく,『スパイダーマン』のせいでもなく,おそらくは私の妄想の偏りのせいです。どちらも良い作品です。これで偏見もたないでくださいね。

 

 が,うまくいく事も。イメージが膨らまなくなった時に,大好きがバンドが新曲を発表してくれたときには,もうっ!。

 Coldplayの『Viva La Vida』。08年の春にヒットした洋楽です。CMで観た方も多いかも。今や彼らの代表曲。これが物語の主軸をドドーンと立ててくれた。展開に困った途端,彼らの曲がプレイリストから飛び出てきた。もう,何度助けられたか。『Fix You』に『Yellow』もだ。

 曲の存在を思い出して生まれた場面がある。今回はCOldplayなしでは,完結しなかったと思う。聴いててよかったぁ……本当。


 そして,どうしても台詞に困った時も。

 ここがキメ台詞というときに限って,手が止まり頭もフリーズ状態になる。まぁ……自分が浅いからなんだけど。

 こうなる時に助けてくれたのが手蔦葵だ。某アニメ映画のテーマ曲をしっとり,かつ,力強く歌った女性ボーカリスト。

 彼女の歌声は,不思議だった。がけっぷちだった私の頭に,光を差し込んでくれる。

 そう,かの二時間サスペンスの名俳優 船越英二郎氏も言っていた。

 サスペンスでは,絶壁に立つと何故か犯人が自白を始める。そう,あの有名シチュエーション。

 あれは俳優にも当てはまるそうで,台詞がどれだけ長くてもNGが少ないそうだ。流れるように喋れるらしい。曰く,『絶壁には,人を喋らす力がある』と。 

 という事は……手蔦葵の歌声には,ものかき魂を刺激する何かがあるのか。『岸を離れる日』は,色んな意味で私の名曲です。


 さてさて。最近の私のヒットは何か。勝手に書きますよ。引いてもいいっすからね。

 ずばり,中田サウンド。

 以前からCapsuleは好きだったんですが,昨年の春先からパフュームが気になってしまって。知らない人の為に,少し書いておきましょう。広島出身の三人の現役女子大生アイドル。なんと結成から苦節8年を経て武道館と紅白出場を果たしました。今はアイスのCMしてます。で,彼女達へ楽曲提供しているのが,Capsuleの中田ヤスタカ氏。で,中田サウンド。

 いやね,Capsuleのボーカルこしこの声が好きなのと,『アイドル』ってことで気後れしてたんですよ。いけませんね,偏見をもっては。彼女達の唄はすごい。パフォーマンスもすごい。もっと早くに聴けばよかったぁ。覆水盆に返らず。

 あと,MEG。彼女も中田サウンドです。最初に聞いた時は「声が甘すぎるかなぁ」とも思った。けど,これがジワジワと中毒のように私の頭を侵略しています。今,ヤバイ事に7割はMEGとパフュームです。

 中田氏の曲を一度聴いて下されば,きっと今の私の脳内妄想が想像できると思う。現代のラブコメ風になってます。とてもじゃないけど,異世界ファンタジーは書けませんっ。可愛いんですよぉ。美しいんですよぅ。神々しいほどにかっこいいんですよぅ。

 とりあえず,はまってます。先日発売されたGREEN DAYの新アルバム,あれにはまるのがいつもの私なんですが。今回の曲も,待ってた甲斐あって最高!なんですよ。本当。

 

 音楽と小説。

 書き手も翻弄されますが,読むときも翻弄される。

 『鴨川ホルモー』を読んでてメンデルスゾーンの『真夏の夜の夢』をかけてしまった時は,後悔した。片方ずつならいいんですよ。両方一度に味わおうとするからいけない。食い合わせの悪さ? 

 伊坂幸太郎では,音楽はかけません。あえて。だって,あの作品中の空気が壊されそうで,もったいないじゃないですか! 話の構成もかっこいいんですが,なによりあのふううんわりしたリアルな空気。あぁ,表現でいないもどかしさっ。

 あ,思い出した。以前,宮部みゆきの『魔術はささやく』を読んでいた時の悲劇……。この作品は,大好きなんです。暇があると手に取ってしまうんですが,その時シャッフルでかけていた音楽で唐突で流れてきたのは『たらこ・たらこ』。あの,たらこの着ぐるみが次から次と出てくる,一昔前のCMです。

 ……。それまで集中して読み込んでいたのに,現実に引き戻されてしまった。よりによって,『たらこ・たらこ』! 以来,しばらく『魔術はささやく』を読めなくなりました。だって,たらこが出現しますから。しかもエンドレス。タイミングが悪すぎたんですよね。よりによって,『魔術はささやく』と『たらこ』。やっぱり食い合わせ,いや……組み合わせの悪さ。


 音楽の選択は,難しい。本っ当に難しい!

 

 

 

 どれも好きな作品ばかりで書いてあります。特定の作品を嫌う事ではありません。また「これ以外は聴かないわよっ」という話でもありません。

 私のおバカ話であって,曲をおバカにしている訳ではありません。念のため。

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