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裕一の思い出



もはやお久しぶりです、すいません。

とりあえずどうぞ!

 ここ最近、寝る前にふと思う事がある。優が家に来てそろそろ1年が経つ。初めて会ったのは確かちょうど1年前だった。

 直前に師匠に連れられて仕事の手伝いをした時に歩水と知り合って……ひどい目にあった。そのおかげで今の仕事があるんだから世の中は分からないものだとつくづく思う。日記をつけるようになってまだ1年経たないし忘れない為にも思い出せる範囲であの時のことを書いておこう。





「裕一、大至急だ!5分やるから出かける準備だ!」

 去年までは、月に少なくても1回はこんな感じで師匠に強制連行てつだいさせられていた。大抵は今と同じガードマン。1日だけなのは外出やパーティーに行く、つまり公に晒されなくてはならない要人が依頼人である為だ。どこに行ってもまともな人間であることを驚かれた。いかに師匠が無茶苦茶かをよく示してるなぁ、と今でも思う。話は逸れたが、この時の依頼人が歩水父こと大門さんだ。




「ふぁ〜あ」


「欠伸とは余裕じゃねぇか」

 この時までに二桁を越える仕事をやらされてきたが、1回も抜き身のナイフを使うことはなかった。銃を使わないのは、単純に持ち込めない場所が多いから。本音を言えば怖いから。師匠に教えられたのも銃火器類は一切ない。また話が逸れたが、要するに出番がなければ一日中棒立ちしてるだけの仕事。行く時に気合が入らないのも仕方のないことだ。


「今回も一日立ってるだけだろうから、眠いといえば眠いね」


「そりゃ、嫌味のつもりか?」

 ま、どうでもいいさな、と師匠は不敵に笑って高層なのにすすけた感じのするビルの屋上の部屋に僕を引っ張り込んだ。


「いやぁ、助かったよ。君が直々に引き受けてくれるとは。これで安心だ」

 そう言って師匠に手を差し伸べた小柄のぽっちゃりが依頼人の大門さん。隣に座っている可愛いというより美人な雰囲気の少女。この時は不釣合いだなぁとか内心思っていたが、ふかふかの絨毯を土足で踏む居心地の悪さで依頼内容も依頼人もその少女も気になんかしてなかった。


「――――――本当に君で務まるのかい?」

「うわぁ!!」

 足場の悪さに下を向いてしかめっ面になっていたところにいきなり覗き込むようにして言われた。はっきりと人を見下したような、小ばかにした声で。


「依頼内容はまだ聞いていませんが、ボディーガードなら護衛対象にはかすり傷一つ付けずに遂行してご覧にいれましょう」

 さっきの声に内心カチンときていたので、大きな事を言った。実際、何にも無いだろうと高を括っていた面もある。


「お、引き受けてくれたか。じゃ、アタシは帰るな」

 言うなり師匠は消えてしまった。その直後に聞かされた依頼内容は今までで一番面倒な内容だった。


「まぁ、一応あの人が推すんだからと見込んで頼んだぞ。娘の歩水の随行兼ガードマン」

 ワシは仕事でもう行くからなって必要書類を置いて去っていった。…………直後に娘に手ぇ出すなよとだけ付け足して。




 そこから先はひどかった。今回の随行とは要するにパシリのことだったらしい。まぁ、お金を貰っていたと考えれば執事といえた………いえないか。本人が寝てる時間を除けば傍で身辺警護していた時間よりも使われてせっせと働いていた時間の方が長かったくらいに。睡眠はすぐ起きて対応できるように浅いので6日後には自分でも分かるくらいよれよれになっていた。


「お前、ウチの事うざいとか思わんのか?」

 最終日の七日目にふと、聞かれた。今までの異常なまでの人遣いはわざとやっていたらしい。


「理不尽なのは慣れてるからね」

 苦笑と共に切り返す。さらに、僕の師匠は鼎さんだからと言ったらなるほどのと呟いていた。その目には明らかな同情が見て取れた。

 ガッ!

 銃声が響いた。ほぼ同時にドアが蹴破られ能面のようなものをした不審者がなだれ込む。

「4人か」

 独り言を呟いて気持ちにスイッチをいれる。銃相手に本気で戦うのは初めてだが、訓練はしている。いや、やらされた。まさか本当に役立つとは思っていなかった。


「要求は一つだ。その娘を渡せ」

 銃をこちらに向けながら無機質な声で用件を伝える。後の少女はさっきまでのふてぶてしさから一転して怯えながら僕の後ろにいる。


「そこ、動かないで」

 後を見ずに簡潔に伝えた。直後に2本のナイフを抜き後から入った2人の腕に投げる。二人とも急襲に反応できず銃を落とす。素人でこそないが、いける。

 残った2人が同時に僕を撃つ。1人目の手を狙ったのは予測済み。既に構えていた2組目のナイフに当てて相殺。だが、2人目の銃口は狙いであった僕ではなく護衛対象の少女に向いていた。ほとんど反射で右腕を伸ばした。瞬間に人体の予想を越えた激痛が走る。右手の指先の感覚が生暖かい液体を感じた。左手のナイフで予想外と言わんばかりに棒立ちしていた3人目を潰す。


「さて、ゲームセットだ」

 最初に要求を伝えた男が、後から銃口を突きつける。痛みで汗をかいてはいたが、その比でない量の汗が吹き出す。右手は撃たれた時に既に握れなくなっているし、左手を動かせば頭を撃ち抜かれるだろう。目の前がチカチカしてきて八方塞を全身で感じた。

 男に銃を突きつけられたまま、立たされる。


「そうだな、両足イッとこうか」

 この言葉、普通なら恐怖に引きつる所だが、何故かこの時はチャンスに思えた。チャンスは1度にして一瞬。


ガッ

 右足の腿に言葉にできない痛みが走った。痛みに倒れそうになるが、確かにチャンスは来た!今なら振り向いても一撃必殺となりうる部分に弾丸が当らない!

 振り向きざまに右手を銃にぶつける。痛みがぶり返し目の前が真っ白になった。その一瞬確かに意識を失っていた。二人とも倒れこんだ。次の瞬間には顔に鉄臭い血を浴びていた。左手に新たに持ったナイフが倒れこんだ時に男の喉元にささっていたらしい。

 この辺から1週間くらい僕の記憶は確かでない。師匠から

「襲撃を聞いて駆けつけたら、お前は全身を震わせながら気絶してたよ。歩水ちゃんが泣きながらお前を抱きしめてた。どうしよう!って叫んでたよ」

 と聞いた。パニックのせいで何も覚えてないだろ、とばれた。



 ここから先はどうでもいい話だし、恥ずかしいから割愛しよう。色々あって、歩水の下で働くようになったとだけ記しておく。














 もう歩水も他の人もあんな目に遭わないことを願って









 若干以上に美化されていますよ、実は。だって裕一くんの記憶ですからw

作者的にはこの書き方は難しいことはよーく分かりました。書き上げる苦労が普段の倍くらいありましたし。

 では、もう少しお暇書き!!お付き合いください

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