再会!
読んで字の如くです! では、どうぞ!
ガッターン!
「裕一、いるんやろ?出て来いや!」
はい!?何このドスのきいてる声は?ごく普通の1日の終わりにはほど遠い、もっと言えば無用でしょ…
「ご用件は?」
警戒しながら尋ねた声は思ったより低い声になった。……目の前にいたのは師匠だった。
「よ。驚いたろ?なぁ?武装までして」
そう言って師匠はニヤリとした。獲物は完全に死角に隠してたのにあっさり見破る辺りは人間離れしてるなぁと感心する。……ちょっと恥ずかしいけど。
「んで、今度こそご用件は?」
「飯、まだ食ってないよな?2人前追加してくれ」
「はいよ。でも、優がいるからこれからはあんまり呼ばないでね」
師匠が2人前追加って言う時は今までもたまにあった。そして見知らぬ客を連れて来て一緒に呑む。前回は強面の明らかにヤバい感じのお兄さんだった。あの時は生きてる心地がしなかったなぁ。
「今回は大丈夫だって」
師匠は何故か自信満々に言い切った。
料理も追加分まで出来上がり、師匠がふらりと戻ってきた。以前、どうやってタイミングをみてるか聞いたら料理の匂いで分かると胸を張って言われた記憶がある。どんな化け物だよ。
「ただいま。裕一、飯にすんぞ」
「こんばんは」
一つは師匠の声。つまりもう一つの女性の声は今日の訪問客のものだろう。
「はい…よ…!?」
そこにいたのは長い間記憶の中の住人となっていた僕の妹―――――紗奈。
「あっはっは!驚いたかこいつがお前の妹、紗奈ちゃんだ!」
師匠が言う事も耳に入らない。ただただ僕らはお互いを見ている。
「兄…さん?」
覚えていてくれたんだよね?ただ呼ばれただけで全身に喜びが走る。他人の空似さえありえないくらい記憶のままで、本当にあの時のままで………まんま過ぎじゃないか!?突然いなくなったのが紗奈が小2の時だけど、今の見た目じゃせいぜい小5,6くらいだろ!?
「紗奈なんだよな!?」
「兄さん!!」
この流れは2人で抱きしめ合うところだ。実際、今まさにそれを実行し…
「裕一、誰が来たの?」
ガッターン!
紗奈がこけた。それはそれはびっくりするくらいの勢いで。
「だ、誰ですの!?」
なんか覗き魔の対応みたいだなぁ、と関係ない事を考えてみる。さて、何て説明しようか。
「それは飯食いながら話そうぜ。紗奈も嫌だろ?せっかくの裕一の手料理が冷めるのは?」
「む〜、そうですね」
ではお邪魔します、と言って家に上がった。とりあえずは時間を稼げた事を師匠に感謝すべきだろう。
「で、結局誰なのさ?」
優は無視されて不満そうに独り言を言った。
「で、結局誰ですの!?」
感動の再開もほどほどに、と言うか食事もほどほどに紗奈は捲し立てる。言い回しを考える時間は結局無かったらしいね。
「う〜ん、一応僕の娘なんだろうね」
「!?」
聞いた瞬間から紗奈の表情がめまぐるしく変わった。驚きと絶望したような顔と若干の軽蔑。凄い久しぶりにあった妹に軽蔑されるのはかなり落ち込んだ。
「ふぅー、ごちそうさまっと。じゃあこういうのは家族で話した方が良いだろ。と言う訳でじゃ!」
それだけ言って師匠は風邪のように消えた。
「説明すると…」
もう観念して全てを正直に話した。元々、家族に隠し事をする気は無いけど。
「…じゃあ2人共自己紹介して」
説明に茶々を入れる優に制裁を入れるのとそこで生じる誤解を解くのですっかりぐったりしていた。はぁ、疲れた。
「じゃ、わたしからね!優です!裕一は2人っきりになるとわたしにあんな事やこんな事を「ちょい待った!!違うだろ!?」」
僕は思わず遮った。もう紗奈の目が怖くて振り向けない。
「兄さん、覚悟してくださいね?」
さっきの見た目のままの声じゃない声が聞こえる。今日何度目かになる覚悟をして……はて?
「え、紗奈…だよね?」
目の前にはさっきまでいた紗奈ではなく、僅かに面影が残るばかりの紗奈(大)がいた。おそらく年相応なのはこちらなんだけど……驚き過ぎて若干他人事みたいに感じる。と言うか事態が理解できない。
「当たり前じゃないですか!っとでも、兄さんには説明してませんでしたね。実は…」
余談だけど、我が妹は説明が昔から苦手だ。故に僕自身に前情報が無いとほとんど意味が分からない。今回も例に漏れずさっぱり意味が分からない。分かったのは小さくなったり大きくなったりする事だけだった。
「紗奈ちゃん、それ何語?」
優が耐えきれなくなったようで話を遮って尋ねた。でも、一応日本語だったろうに。
「失礼です!こんなにわかりやすく説明してるというのに。大体ですね……」
ここから更に話は20分ほど続いた。こうして我が家の夜は更けていく。
この話、まだ続きますよー! ちなみに優の発言については裕一君の師匠こと鼎さんの入れ知恵がありました。無視されたことの小さな復讐(本人談)です。
では、次回もお暇書き!!よろしくお願いします。




