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むかしの話


短編を1話つくりました。よければそちらも読んでみてください。

では、どうぞ

「今から10年位前かな。僕が中3だった時だから」


〜〜〜〜〜〜〜〜


 裕一少年はその日、家族と出掛けていた。その帰り。と言っても、近所の地区会の帰りで歩いて帰るほどの距離。そんな所を両親と3人で。因みに、本当は妹がいるのだが遠くの私学に入学したために今はいない。


「あー、疲れた」

裕一少年はやや内容が退屈なものだった為、どっと疲れたようで不満そうに親に言った。

「そうね。じゃあ、早く帰ってご飯にしましょ」

「うむ、では早く行こうぞ」

穏やかな口調の母親に、やや古風な父親。しかしその父親が半袖短パンというのはいかがなものか。因みに母親は薄地の着物である。

この瞬間が裕一少年にとって最も全てがそろった日常だった。そう、この瞬間までは


バンッ!!

 そんな感じの大きな音がした気がした。否、確かにした

 そして裕一少年の体中に激痛が走る。身体から引き剥がされるような痛み。否、確かに身体から引き剥がされていた。そう確信したのは裕一自身の身体が目の前で転がっていたから。車道の真ん中で暑い日差しを受けているそれは到底自分の身体とは思えなかった。次に見えたのは同じく横たわる両親の姿だった。

 裕一はどの瞬間かは分からないが気を失った。


次に裕一が目覚めたのは見覚えのない場所だった。すぐに病院と分かった。全身がまるで熱を発しているように熱い。でも痛みは不気味なほどしなかった。たぶん左腕に刺さっている点滴のおかげだろう。


「あんな事故にあったのにな」

言ってから気付いた。自分が事故にあったのを知ってる事に、それがあの幽体離脱の決定的な証拠である事に。


「あ!目が覚めましたか?」

女性看護師そういうなり走ってどこかに行ってしまった。しばらくして、医者らしき人が来てあちこちを診ていた。


「もう大丈夫でしょう。……ちょっと来てもらえますか?」




そう言ってその医者は裕一を連れて病室を出た。相変わらず体中が熱くて歩くのも一苦労だった。

着いたのは病院でも明らかに異質な場所だった。なんというか分からないが鳥肌が立った。


「…さぁ、どうぞ」

この医者は正直過ぎた。明らかに悪い事がこの部屋の中にある。


「失礼します」

裕一少年も意を決して中に入る。

中には2つのベッドがあってそれぞれに人が眠っていた、白い布を顔に載せて。若い青年医が2人の布をそっと外す。見えたのは両親の姿。

その瞬間、裕一には違う光景がフラッシュバックした。




 幽体離脱の直後、裕一は両親を視ていた。普通の状態じゃないからか、二人の中から何かが抜けていくのが視えた。あれが抜けきったら死んでしまうのは五感ではない感覚が教えていた。そして自分が無力だとも告げている。

わずかに父親が動く。そこから大量の何かが漏れていく。相当苦しいはずなのにそれでも動き続け、幽体であるはずの裕一の方を向いた。

「…裕一、Be… ambi…tious」

 そこで父は事切れた。


「なんでやねん!!」

裕一少年は自身意味も無く使っていた関西弁で思わずツッコミをした。最期の言葉に変な事を言った父に怒りさえ一瞬感じた。だがそんな事はどうでもよかった。その時に父親の遺体に触れてしまったのだ。

 冷たかった。

途端に裕一は自分が震えているのを感じた。まるで、その冷たさが流れ込んできたように。ただ、体はまだとても熱かった。熱いのに震えていた。

 怖かった。

 そう、裕一は怖かった。これからの事が。妹がいない今、二人の死は家族を失うのと同じだった。

 裕一は泣いた。悲しみよりも恐怖心から。心のどこかの冷静な誰かが自分を卑下していた。両親の為に泣いていない自分を。

日は暮れようとしていた。


もう1話つなげる予定です。暗いんですが、明るいだけの人って本当にはいないと思うんですね。暗い経験は人を明るく、強くするというのが僕の考えです。なので、もう少しお付き合いください。


次回も、お暇書き!!よろしくお願いします

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