謎の生物
この話しはクトゥルフ神話を元にしていますが、オリジナル設定や自己解釈がかなり含まれています。
読まれる方はご注意下さい
その光景を間近で見た長門は、なんとも言えない気持ち悪さを感じた。それもそうだろう、間近で人間の顔が180度回転したのだ。長門自身いろいろな経験をしてきている、少なくとも、普通の人生を歩んでる人では経験できないような事を経験してきた。しかし、今目の前で起きた現象は説明できない、こんな事あり得ない、あり得ない、ありえない、ありえない、ありえない、ありえないありえないありえないありえないありえないありえないありえない…………
「「「しっかりしろッ!!長門ッ!!」」」僕らは叫んだ。そいつは腕なのか触手なのかわからないものを振りかぶって、それを長門目掛けて、降り下ろそうとしているのは、誰の目から見ても明らかだった。
その声を聴いた時自分が今どういう状況なのか、自分が怪我をしたら残された大和、川内、響が確実に怪我を、いや下手したら死んでしまうかもしれない……。
瞬間長門の目の色が変わった。いつもおちゃらけて笑っている長門の目が真剣な眼差しに……
いや、真剣という言葉では足らない。例えるなら…………そう、殺意、こう表現するのが一番だと思う。
元が腕だった何かは思いっきり振り下ろされた。その瞬間ズゥゥゥゥンという地響きをたて地面を抉る。長門がいた場所はクレーターのように陥没していた。
「「「長門ッ!!!」」」人間の形をした何かは僕らの方に首を向ける。ソイツはゆっくりこちらへ近づこうと、身体を動かそうとした瞬間。
「Hey!、コッチミナサァイィッ!!!」とヤツの後ろから声がする。こんな時まで、笑いを取りにこないでほしい。響も川内も笑いを堪えている、本当に心配させておいて笑いを取りにくる長門を見て、こいつは本当にバカだと思ったよ。真面目に……。
さっきの一撃を最小限の動きで回避していたらしい長門が、ヤツの後ろに回り込んでいた。
長門は相手の脇の下に頭をねじ込むように入れ、両腕で相手の胴体に腕を回し両腕でクラッチして持ち上げたかと思うと、「お前にもったいない一撃をくれてやるゼェェェェ!!!」そのまま自ら後方に反り返るように倒れ込んで、地面に相手を叩きつける。
「「「決まったァァァ!!!」」」長門が放ったバックドロップは誰の目から見ても綺麗に決まった。
「早くここから離れようよ、うちはこの場所に居たくないよぉ……」こんなに弱気な川内を見たのは、クラスでワックスがけをやってる時思いっきりすっ転んだ時以来だ。あの後の怒り狂う川内を止めるの苦労したなぁ……。
「……早く移動しよう……」確かに今やる事は一刻も早くこの場所から移動することだ。
後ろから「テケリ・リ、テケリ・リ」という声が聴こえてくる。おそらく、さっきの戦いの音を聴かれたんだと思う。
「なんなんだよォ!!あいつらはッ!!!、訳が分からないよ……、どうなってるんだよォッ!」軽くヒステリックを起こしかけている川内……。
僕だって、叫びたいさッ!!!でも……………。
テケリ・リ、テケリ・リ、テケリ・リ、テケリ・リ……………
この鳴き声が徐々に周囲から近くなっている。みんな焦りが頂点に達しようとしている。
突然、風景が揺れ始めた。違う。これは木なんかじゃない。これは……………。
「僕らは、初めから囲まれていたんだ……」周囲のものから虹色の泡のようなものが吹き出して、その泡が一つの生き物として集まる。それが10匹以上はいると思う。
化け物は僕らが絶望しているのがわかったのか、嬉しそうに近づいてくる、僕は思わず叫んだ!!
「助けてッ!!兄ちゃんッ!!」
化け物は僕のその叫びを合図にしたのか、一斉に飛びかかってくる。誰もがこれで終わりだと思った。
僕らは、すぐに来るであろう最後に思わず目を瞑った。
しかし、いくら待っても最後が来ない。おそるおそる目を開く……。
そこには、男が立っていた。男は化け物と僕らは間に立ち化け物に向かって静かにこう言いはなった。
「当然、覚悟はできてるよな?、クソ野郎ッ……!」