コンタクト
この作品はクトゥルフ神話を元にしてますが、オリジナル設定や自己解釈がかなり含まれています。
読まれる方はご注意下さい。
僕らは、ゾッとした。少なくとも、僕と響は聴いた事ある。
正確に言えば似たような音と言った方が良いかもしれない。その似たような音を聴いたのは……………ホラーゲームで出てくる、ゾンビが人間を食べてる時に使われていたSEに果てしなく近い音だった。
「ここから離れよう、って本能が言ってる」僕の発言にみんな首を縦に振った。極力音を立てないように、音とは反対方向に向かって移動しながら少し振り返って、耳を傾けた………。
ガリッ……バキバキッ……!、グチュリ……クチャ……クチャ……クチャ……クチャ……クチャ……クチャ……ゴクッ……!、もう限界だった、聴かなければ良かったと後悔してしまう、今すぐに走り出そうとする脚を必死に抑える、顔から冷や汗が止まらない。そんな僕をみて隣の長門が心配になって話しかける。
「大丈夫か?、しっかりしろ。あともう少しだ」と僕の身体を支えながら励ましてくれる。
「……みんな静かにしろ……あそこに誰かいる……」響が小声でみんなに伝え、みんなが響が見てる方角を見る。そこには、人が立っていた。
「やっと、人に出会えたな!」と少し嬉しそうに声を上げる長門、確かに人を見つけられただけで、こんなに嬉しい事はなかなか無いと思う。
「でも、見つかったら警察や学校の先生に連絡入れられるんじゃないか?、それはそれでマズいと思うぜ」川内の一言に僕らは本来の目的を思い出した、そうだ、僕らは立ち入り禁止区域に入っている、当然見つかったら警察ないしは先生に連絡されるのは火を見るより明らかだ。
「俺が、締め落としてやろうか?」などと物騒な事を言い出す長門を放置して、考える。
「……実は、ここに来るときにコンビニでマスクを買っておいたんだけどなんとか利用できないか?……」マスクかそれはそれで良いけど、全員マスクは危ない集団にしか見えないよなぁ……。
「なら、1人だけマスクしてあそこの人に話しかけて案内させて、残りのメンバーは隠れながら、その後を付いて行く、出口が見えてきたら全力疾走して逃げるってのはどうだ?」
川内にしては珍しくまともなアイデアだったし、他の方法も思い付かない為それで行こうということになった、それで、誰が話しかけるか?という事になったのだが、長門が「俺が行くよ」と言ってきた。
確かにこいつはいつもふざけているが、普段僕達といない時は、かなり丁寧な喋り方をする。その事を知っている僕と川内は長門にその役割を頼む事にした。
「すいません、自分この辺りに詳しくないので気がついたらこのような場所に迷い込んでしまいました。よろしければ、出口まで案内していただけないでしょうか?」簡単な変装もどきで話しかける長門にその人は顔を向けた。
いや……向けたというより首だけが180度回転した。
そして、口を開けるという行為より口が裂けるように開いて、言葉を発した。
「テケリ・リ、テケリ・リ」