異変
この作品はクトゥルフ神話を元にしてますが、オリジナル設定や自己解釈がかなり含まれています。
読まれる方はご注意下さい。
「確かに禁止区域は広いけど、それにしたってこんな建築物が建ってるなんて噂でも聞いたことも無いな、そういう噂を聞いた事ある人いる?」黒い石碑を観察するように見入ってる三人に僕は尋ねると、三人共お互いの顔を見合わせて、「「「知らんッ!!!」」」クソ!本当に仲が良いな……。
「何で僕ばっかりこんな目に遭わないといけないんだ……」
「「「ドンマイ」」」うるさいな!、チクショウ!!
「……でも、本当にわからないな、ぱっと見ただの黒い石碑だよな……、長門ちょっと攻撃してみて……」
「いやいや、流石に長門でもそんなこ……『ユニヴァァァス!!!』せめて僕が話し終えるまで待てよォォ!」なんて、バカな事をやってるうちに辺りが暗くなっていた。
「あれ?もう、そんな遅い時間なのか?」と川内が聞いてくるので、時計を見るとまだ午後の3時半辺りを指していた。この禁止区域に入ってまだ1時間半しか経っていないし、それに何かおかしかった。
「……なんかおかしくないか?……」響が口を開く。
「……何でまだ午後の3時なのに月が出てるんだ?……」
「そこより、もっとおかしいところがあるだろッ!!!」怒鳴りながら川内が叫ぶ。
「何であの月、真っ赤なんだよッ!!!?」
確かにおかしい、今日は特に気象情報でおかしなところは無かったし、そもそも夏のこの季節、まだ午後の3時半辺りなのに月がしかも赤い、いや紅いって言った方が良いかもしれない、その様な状況だ。流石にみんな焦っている。
「戻ろうッ!」僕はこの理解出来ない状況に堪えきれず叫んだ。
「あ、あぁ」川内がハッとしたように反応した。僕達は、元来た道を戻って立ち入り禁止区域であるこの場所を抜け出して、家に帰る……………はずだった。
「おい!俺たちたしかにこっちから来たよな!?」長門がとうとう叫ぶ。それもそうだ、僕達は今走っている。さっきの黒い石碑が建ってる所まで歩いても、30分もかからないはずだった。なのに、僕らはおそらく30分以上走っているはずだ、なのに一向にこの雑木林を抜ける気配は見えない。流石にもう長門以外のメンバーは体力の限界に達していたため、少し休憩することにした。
「ごめんな、少しいらいらしてたみたいで…」長門が口を開いた。
「いや、大丈夫だよ、流石にこんな訳のわからない状況になれば、誰でも焦るさ」と川内が長門に対してそう返した。
「……懐中電灯とか食い物を持って来て良かった……」と自分のバックを漁りながら、響はこちらに目を合わせずに言う。
「確かに……、こんな事になるとは思わなかったけどね」みんな少しずつ落ち着いて来た。
その時、近くの茂みで嫌な音が聴こえてきた。