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プロローグ《改造人間》

 |《改造人間》(サイボーグ)、文字通り人間を改造して誕生した新たな種族だ。

 世界初の改造人間は十代の少女だった。

 彼女は全てにおいて常人を超越していた。

 超人的な身体能力で世界一のアスリートとなり。

 超人的な頭脳で世界の常識を覆した。

 そして、超人的な美貌は世界中の心を掴んだ。

 全能なる改造人間の辞書には不可能の文字は存在しない。

 世界は彼女無しでは回らなくなっていた。



 しかし、そんな彼女にもできないことがあった。

 例を挙げるなら、『会話』だ。

 会話とは言葉と表情、聴覚と視覚による意思の疎通だ。

 会話は自分と相手の最低二人で行われる。自分が相手が話し手と聞き手を交互に入れ替わる。

 つまり、会話には相手が必要不可欠。

 一人で言葉を発したところでそれは独りごとだ。

 彼女は会話をあまり好まなかった。

 話し相手ならたくさんいたが、全能なる改造人間にとっては、普通の人間の話は酷く退屈で、耳にすることが苦痛でしかなかった。

 それでは、逆はどうだったのか。

 全能なる改造人間にとって常人に話に合わせることなど容易いこと。彼女は誰にとっても最高の話し相手になれた。

 それが彼女には苦痛でしかなかったというのは皮肉なことだが。



 彼女は孤独だった。

 彼女はあらゆる面で人類を超越していたがために対等な存在がいなかった。

 彼女を生み出した科学者たちはそれなりに優秀だが、全能なる改造人間の足下にモ及ばない。

 そこで彼女は思った。

 ――対等な存在がいないのならば、作ってしまえばいいのだ。

 彼女は自身の細胞を基に『種』をつくり、世界中にばら()いた。

 本来改造人間とは、素体となる人体に幾多の改造を施し、生体と人工細胞の結合が安定して初めて完成を迎える。ただ細胞の結合が必ずうまくいくという保証はない。

 しかし、彼女の種は人体に植え付けるだけで、改造の過程を飛ばして物の数時間で完成する。しかも細胞結合の安定性が極めて高く、リスクは限りなくゼロに近いという代物だ。

 やがて世界各地で種は芽吹き、新たな改造人間が誕生した。

 彼等の誕生で世界は沸き上がった。誰もが彼女のようになれるのだ。

 人々は種を求め、彼女のもとへ殺到した。

 

 

 

















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