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まだ続きますよ(*´ω`*)

 行事が大好きな琉雨(るう)ちゃんのために、用心屋には定休日の他に行事休業日がある。

 ぶっちゃけてしまうと、用心棒が商品の用心屋では、大抵の場合、店番がお茶とお菓子を消費するだけで一日が終わる。

 またまたぶっちゃけてしまうと、用心屋が行事休業日を作ろうと、営業利益には何ら変化はない。

 つまり、1日や2日余計に休んで支障が出るほどの客足は用心屋とは無縁ということだ。




 今年もクリスマスがやってきた。

 昨晩は琉雨ちゃんと(くれ)の作ったクリスマス料理とケーキを食べ、ボードゲームやトランプ、映画を見てクリスマスイブを満喫した。

 洸祈(こうき)が一人で準備していたクリスマスツリーもリビングのど真ん中に設置してキラキラ輝いていた。


 クリスマスみたいなクリスマス。


 実家では父さんが先頭になって晴滋(せいじ)さんや真奈(まな)さんを指示していた。しかし、父さんはもういない。

 昨日はプレゼントを買った後、洸祈はプレゼントを積んだ車で由宇麻(ゆうま)に郵便局に寄ってもらった。

 実家にいる皆へのクリスマスプレゼントを郵送するためだ。


 そんなこんなで、一仕事終えた俺はいつも以上に眠たかったが、

「葵サンタや、洸祈サンタはおめめばっちこいやぞ」

 どこの方言が混じっているのやら、赤い帽子と赤いマントで白髭のない洸祈サンタが寝ていた俺を揺り起こしてきた。

「洸祈サンタや……葵サンタはもう年なんや……寒くて起きれんのよ…………後は頼んだ……」

 俺はサンタ語で対応したが、洸祈サンタは俺から毛布を問答無用で剥ぐ。

「ああああ……洸祈、寒いっ!」

「葵サンタ……洸祈サンタがこんなに頑張っとるのに、年下の分際で何様だっちゅーのん?」

 …………洸祈の語尾が支離滅裂になってきたような。

「洸祈サンタはブルーじゃぞ。ブルーベリーじゃぞ。悲しみの涙をプレゼントしてまうぞ」

 意味不明。

 しかし、洸祈が癇癪起こして手が付けられなくなる前に葵サンタにならないと。

 それに、体は既に冷えてしまったのだから、サンタセットという名の防寒具を着た方が良さそうだ。



「俺、司野(しの)と琉雨と葵。葵は呉とちぃと俺。葵サンタ、プレゼント配りよろしく」

「うん」

 何故、サンタが二人なのか、理由が分かるだろうか。

 理由は極単純で、サンタが二人はいないとサンタにプレゼントが配れないからだ。

 つまり、洸祈サンタだけだと洸祈サンタは洸祈にプレゼントを配れない。しかし、俺サンタがいれば、洸祈にプレゼントを配れる。

 そんな面倒なことをする必要があるかって?


 『大いにある!』by.洸祈


 大いに必要があるそうだ。

 因みに、由宇麻はもう大人でサンタに騒ぐ年齢ではないが、用心屋のプレゼント買いに有休を取ってまで車を出してくれたのだ。

 だから、秘密裏にプレゼントを用意した。


 俺達サンタは物置に隠していたプレゼントを1階のオフィスに並べる。

 大小様々な大きさのラッピングされた箱達。

 リボンの色で誰にあげるものかは決まっており、ピンク色が琉雨ちゃん、緑色が呉、水色が千里、金色が由宇麻、赤色が洸祈、青色が俺だ。

「それじゃあ、葵サンタ、3プレよろしく」

 もしかして、“プレ”ってプレゼントの単位のつもりかな?

「洸祈サンタも3プレよろしく」

 洸祈は白い布袋に3プレ入れると、用心屋の出入口へ向かって行った。

 由宇麻は夕食は一緒だったが、寝るのは自分の家にした。洸祈はそんな彼のもとにプレゼントを持って行こうとしているが、鍵が掛かっているだろうに、どうやって由宇麻宅に侵入するつもりだろうか。

 洸祈だからどうにかするのだろうけど、由宇麻へのプレゼントより由宇麻宅破損の弁償費の方が高いなんてことにならなければいい。

「とにかく、俺は俺で配らないとな」

 俺はプレゼントを手に二階へと上がった。

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