ヒント
ー雅也ー
俺は敵の男のことも忘れて葵の家(火事状態)に飛び込んだ。
「ちょ、まてマサヤ!!。」
というウィクの声は、とりあえず無視。
「くそ、前が見えん。よし、即席魔ほ~う!!。」
俺はポケットから最後の1枚、水の魔法陣を取り出す。
「たのむ、俺に力を。」
紙から大量の水があふれてくる。
Qこれで消せるか?
Aもちろんさ
というわけで、消火には成功あとは葵を、あの雷にあたって死ななかったら奇跡だが
―奇跡は起こったー
家の家具やら屋根やらに下敷きになっている葵を見つけた。
「葵!!。」
「ま・・・さや?」
葵は驚いていて苦しそうって下敷きになってるから当たり前か。
「待ってろ、今どかすからな。」
家具やら屋根やらを謎の怪力(たぶん堕天使の力)で投げどかす。
周りの家に当たってるかもしれないけど関係ない。
「うわ・・・・葵・・・。」
葵の体は、家具やら屋根やらの破片(大)が突き刺さりまくっていた。
「葵!!。」
葵はほほ笑みながら。
「そうしたの?そんな顔しないでよ。」
おい。
「こんな時に、他にどんな顔すればいいんだよ!!。」
「はは・・・ほら、いつ、もみたいに、さ、ヘラヘラし、ててよ。」
「こ・・・こうかよ!!。」
無理やり笑顔を造る。なんか頬に熱いものが流れたが、多分気のせい。
「ぜ・・んぜん違うよ。泣いてるし。」
「泣いてねえよ!!。」
「いや、泣いてるし。」
「泣いてねえって、言ってんだろ・・・。」
「ふふ、そんなことよりさ・・・お、ぼえてる?」
「何を・・。」
「ほら、今年の春は夏と間違えて台風がきちゃってさ。は、なみ。できなかったでしょ。」
「ああ。」
「その日、さ、やく、そく、した、でしょ?来年の・は、る。また花、みいこう、って。」
「は?」
この状況でそんなこと言われても。
「忘れちゃ・・・たの?私は、憶えてるのにな・・。」
「お、憶えてる、憶えてるよ!!。だから死ぬな!!。」
「う、ん。あ、私鯛焼きたべたいな。」
「分かった、俺はクリームだ。約束破ったら、ぶっ殺すからな。」
「あ、あと、あの時いえな・・・。」
・・・・・腕に体重がかかる。
「葵?」
脈はなかった。
だから返事をしないのか。
「馬鹿野郎!!約束破ったらぶっ殺すって言っただろうが!!。」
しかたがない。あの世にでもどこにでも行って葵をぶっ殺すか。
「感動的だね。」
「あ、カタコト治ったの?」
「まあね、って君の友達死んじゃったね。」
「アハハハハッハハ。まあな。」
「君、壊れちゃったらだめだろ。」
「アハハハッハアッハハハハハ。」
「駄目だこいつ。早く何とかしないと。」
男は大剣に電気をためる。
「これが俺の必殺技、クトネシリカ!!。」
大量の電気を一転に向けて放射、まあ威力高そう。でも、今のおれには
「アハハハハハハハッハ。!!。」
「な・・・。」
なんども撃つ。
「アハッハハハハハハハッハハハハ?」
「どう見ても無駄、ではないね、おもいっきり君の体に当たってるし。肉焦げてるし。」。
男は笑うが。
ジャマナモノハケスダケダ。
俺の背中から。
「でもさ、悪いんだけどさ。ここで雅也君の出番は終了ねじゃあしん・・・・。」
―男視点ー
またまためんどくせえな。あいつの背中から羽が生えやがった。こいつは完全に堕天使になった。俺も堕天使だがおそらくルシファーも目覚めちまってる。めんどくせ。
「俺は何も失わない。」
こいつは泣いてはいたが目は怒りで燃えている。
「もう、何も。」
「だったら。死ねよ!!」
大剣を振りおろす。
「なっ。」
「もう・・・何も・・・・・。」
―雅也ー
俺は意識があった。ちゃんと力はコントロールできる。
男が剣を振りおろしてくる。俺は片手で受け止めた。
「なっ。」
俺はのどから声を絞り出す。
「もう・・・何も。失いたくない。」
そうだ。
「力がほしい。もう何も失うことのない力が。」
「ごちゃごちゃうるせえ。離しやがれ!!。」
「その力が手に入るなら、俺は堕天使にだって、魔王にだってなってやる。」
結局何も変えられなかった。俺は葵を助けられなかった。
「なあ、俺たちとこないか?俺のボスと一緒に行けば思いどうりの世界が造れる。」
「黙れ。」
俺は右手に力を加える。すると大剣にひびが入った。
「おい、そんなのありかよ。」
「邪魔なんだよ。お前は。」
さらに力を加える。
大剣は砕けた。
「くそ・・・。」
男が悪態をつく。俺は右手を突き上げ。手を広げ剣の名を呼ぶ。
「インフェルノ・・・。」
俺の右手から生まれた闇から、インフェルノが出現した。
「おいおい、冗談だろ?」
男は笑う。別に冗談じゃない。
「すべてを飲み込み拒絶する虚の闇・・・闇は俺の力になる。」
なんとなく頭に出てきた言葉。
「何だと!?」
男は驚いたような顔をする。そんなのはどうでもいい
「インフェルノ。」
俺は妖剣を振りおろした。
炎の刃が男に向かって飛んでいく。男はネフィリムを出し、身を防ごうとするが刃はネフィリムごと男を切り裂いた。そのまま刃は飛んでいく。おそらくこのまま進めば直線状にあるものすべてを切ってくだろう。でも俺には関係ない。
―男ー
くそ。まさか、やつのポケットの中で黒く光ってるあれは・・・・闇のアトンか・・・。
なら、最終手段と行こうかな?
「デュランダル。」
男は自分の妖剣の名前を呼んだ。
葵の家も、何も見えなくなった。
ー雅也ー
急に何も見えなくなり、あたりを見回すと、歯車が何個も繋がり、回り続けている。
「ここは?」
不意に当たりが明るくなり、俺の体は歯車に叩きつけられた。
俺の体には巨大な歯車がめり込んでいる。
「ここは、デュランダルの中だよ。」
俺が壊したはずの妖剣を構えて男が、遠く歯車の上に立っていた。
「ここまで来れるかい?」
俺は黙る。
俺は飛べる、しかし、飛んだところでどうなる?あの妖剣に防がれて終わりだ。
だったら、使うしかないだろ。
神抗能力って奴を。
デュランダル内部の、すべての歯車が、止まった。
男も動かない。
動いているのは、雅也一人。
雅也は、男の体にインフェルノを突き刺した。