危険が危ない
男が気づいた時には、時が止まっていた。これは俺たちの力じゃない。魔王の力だ。あの男はまさか。魔王。なのか。
「もう何も失いたくない。」
たぶん魔王の男。真朋雅也は立ち上がっていた。
「ちっ。」
男は舌打ちした。俺に勝ち目はなさそうだ。俺があいつを殺さなければあいつの力は目覚めないままだった。
~・・・~
俺は夢を見ていた。夢だが3年前実際にあったこと。俺は火事の現場にいた。そこでいろんなものを見た。助けられなかったんだ。あいつを。
~・・・~
男は雅也は見る。雅也は泣いていた。覚醒時にはよくあることらしい。俺のボスはそう言っていた。
頭をかきながら。めんどくせえな。あの探究者よりも厄介だ。とぐちってみる
「じゃ、ルシファー。死ね。」
今度は。玉でなく。雷を落とす。しかし雷は雅也が出し始めている黒い霧の前で消えてしまう。
「・・・神抗能力。」
男は知っている単語を口にする。たしかルシファーは神によってバラバラにされたが、地上にいる堕天使に宿ったはず。こいつが同類の堕天使であるということは分った。しかしおれよりもはるかに強い。
時が止まったのから考えてあいつの神抗能力は時を操作するものと考える。そして俺の雷はおそらく時の力で消された。しかし完全には目覚めていない。
!?。
鋭い痛みを腹に感じた。ゆっくりと体を見下ろすと。さっきまで雅也がもっていた妖剣が体に刺さっていた。あいつの妖剣は町の外れまで吹っ飛んだはず。でも俺の体に刺さっている。どうやら今のこいつには勝てないらしい。逃げるか。
俺は体から妖剣を引き抜いて全力で逃げた。
~・・・~
俺は目を開けた。
「起きたかのか?あんな怪我してたのにすげえな。」
「あれ?巨人は・・・あの男は・・・。」
「巨人ならあんたが倒したじゃねえか、俺は見てたからな。あんたが男に吹っ飛ばされたら立ちあがっ
て巨人を魔法で消しちまったじゃねえか。男は逃げたけど。」
どういうことなの。
「意味が分からないって顔してるね。雅也。」
懐かしい声がした。3年前からもうきけなくなってしまった声。
「葵・・・。」
「久しぶり。3年ぶりかな?」
「お前はあの時死んだはずなのに、なんで。」
「え?雅也があの時助けてくれて、それで私は異世界に来たんだけど。」
???俺は混乱した。
3年前
俺は友達と遊んだ帰り。道を歩いていたら。俺の家の方と葵の家の方が赤く見えていて。俺の家には家族がいたが葵の両親は今海外に行っていたので葵の方を先に見ようと思って行ってみたら、まあ葵の家が燃えていて、飛び込んでみたのはいいものの結局何もできないで気を失って、目が覚めたら病院で、家族が死んだってのと、葵の家からは遺体が見つからなかった。けど放火魔は捕まえたということを聞かされた。
なんてことがある。気づいたら俺に話しかけていた男は、空気を読んだのか部屋から出てってしまった
「俺は今までお前を助けた覚えはない。」
「えー、でも雅也だったよ。顔も見たし、でも今の雅也じゃないかも。」
「どういうことだよ。」
「なんか、私を助けた雅也は、なんか、すごかった。」
なんじゃそりゃ。でもまた葵に会えてよかったか。助けに行くつもりだったけどその必要がなくなった
「そんで、俺はどうやって巨人を倒したんだ?」
「それは、力が覚醒したんだよ。異世界にこれるのは堕天使だけだから。」
「じゃあ、あの男も。堕天使?」
「そう。」
嬉しそうに笑って言う。
「そっか。」
「生き生きしてるね。雅也君。」
部屋に入ってきたのはさっきの男じゃなくて茜さんだった。
「!?」
葵は驚いている。
「茜さん。どうしてここが?」
「ん~。まああの巨人を倒した人がいて、その我らの救世主の名前はマサヤ!!。なんて町の人が騒い
でたからかな。」
「へ~。雅也も有名になったんだね。ってそんなことより茜さん。あなたはこの世界の入り口を塞いで
るはずじゃ。」
「あ。それは無理になっちゃった。相手が意外と魔力の強いやつでさ。無理やり入口をこじ開けてけんだからびっくりして殺っちゃった。」
やっちゃった。て。
「茜さんも堕天使なんですか。」
「一応。君と同じ魔王だよ。」
「なんすかそれ。堕天使の次はるしふぁー。なんて知らない単語が出てくるなんて。」
「ルシファーってのは、堕天使ルシファーのことで、神は堕天使になったルシフェルが想像以上に強かったからバラバラに切ったんだけど。強い願いを持つ人間に宿ったりする訳。」
「はー。」
よく分からない。
「ルシファーには神抗能力があるんだけどね。その力は、ルシファーがもってる力のことで、いろんなのがあるの。」
「たとえば?」
「え~と。君がもってる力はたぶん時間操作能力だね。私のは魔力無効化能力でしょ。ほかにもいろいろ。レイナントは堕天使が誰でも持てる力じゃないから君はすごいってこと。」
「ほ~。でも魔力無効化能力って最強じゃないですか?」
「ん~。そうじゃないんだよね、矛盾って話あるでしょ?」
「はい。」
中1の時に習った気がする。ゆとりだから分んねえ。
「どんな盾でも貫ける矛。どんな矛も通さない盾。矛はは君の時間操作、盾は私の魔力無効化だと考え
てみて。」
考えるって言ったて想像できない。
「想像できないんですけど。」
「ふむ。このレイナントの力がぶつかり合うとお互いを打ち消しあって、中和しちゃうのね。」
「そうですか・・・。」
と言っていたら。
プルプルプルプル。
俺の充電が切れたはずの携帯が鳴る。
「はい。誰すか?」
~・・・~
私は雅也の方を見る。
「はい。誰すか?」
間の抜けた声を出す。笑いそうになってしまうのをこらえる。
「ああ。」
適当に頷き。
「分った。」
雅也は私の方を向いて、
「俺は今から、葵、お前を助けに行かねえと。」
「ネフィリムの男なの?」
と茜は雅也に聞く。うなずく雅也。
「そう。面倒ね。手伝う?」
「いや、俺は、力を手に入れたんだ。もう俺は、一人じゃない。守りたい気持ちが俺を強くしてくれたから、恩返しだ。俺を強くしてくれたことのな・・葵。ってことで、茜さん。元の世界の行き方教えてください。」
真剣な顔で雅也は言った。