なぜ?
「誰だ。こいつを倒せば金がもらえるんだ。邪魔スンナ。」
「いやいや。僕の大切なネフィリムをこれ以上傷つけてほしくないんでね。」
「お前の?この巨人はお前のものなのか。」
「そうだよ。君の攻撃でかなり弱ったみたいだし。」
というと男は巨人に歩み寄って頭に手を置く。すると巨人は小さな球体になってしまった。
「こいつは、僕らが人と契約すると生まれるものでね。魔力の塊なんだ。だから、こうやって魔力を込めれば。」
そこまで言ったら元巨人の球体が強く光り出した。ポイステするように男が投げると球体は巨人の姿に戻った。
「さっきよりも、炎が・・・強い。」
俺は気づいた
「そうなんだよね。僕が魔力を込めるだけで、こいつは、回復する。」
「でも、回復する前に消しちまえばいいんだろ。」
「おっと、そうは、僕がさせないよ。君が何回こいつを消しても、僕が生きている限り、球体になって僕の元に戻ってくる。そして僕は・・。」
「そいつを回復させる。」
「そうそう。君は僕のネフィリムを殺そうとしてるみたいだし。僕にとっては邪魔なだけだし。死んでもらおうかな。」
男は背中に背負っていた。ケースを降ろすと、その中から抜き身の大剣を出した。
「これはね・・デュランダルという雷属性の妖剣でね。お気に入りなんだ。」
「妖剣を持ってるのは。お前だけじゃないんだぜ。」
俺はインフェルノから炎をだす。
「その炎はぼくのネフィリムの栄養になる。」
「そう・・・薬は毒にもなるってな。」
「何!?」
男の後ろにいる巨人が膝をつく。
「どうしたんだ。ネフィリム。」
あわてている様子で巨人に話しかける。
「お前がのんきに話している間にずっと俺はこいつに炎を送り続けてたんだ。その結果。そいつの器が限界になって。いま倒れかけている。」
~・・・~
「そんなの・・。」
ありえない。と俺は言いかけて。やめる。なるほど、こいつも同じか。間違いなくこいつは。
人じゃない。
人にはネフィリムの限界まで魔力を与える力はない。人なら妖剣に魂を吸いつくされて死んでしまうはずなのだから。
~・・・~
「そんなの・・・。」
と男はいってハッ。とした顔になる。
「どうした。」
「ふ・・・君は馬鹿だなってね。」
男は何かがおかしいかのように笑っている。
「なんだと。」
男はやけにまじめな顔になり。
「君は僕を怒らせた。」
と言って妖剣に電気を帯らせる。俺も黙って炎を出す。
互いに間合いを取りながら回り出す。男は本気で雅也を殺すつもりだ。しかし、雅也は
(くそ。巨人を倒せば金がもらえるのに。なんで邪魔すんだ・・・)
なんてことを考えていた。
先に動いたのは男の方だった。男は一気に間合いを詰めてくると右から左からと大剣をふるってくる。
重い鎧などを着てない俺は余裕があったらそれを交わす。なかったら剣で受け止めていく。
どんどん俺の余裕がなくなってくるのでこっちも攻める。
男はインフェルノを大剣で受け止め地面に大剣を振り下ろした。
インフェルノは抑えられているようになるがこっちにはまだ力がある。
「インフェルノ。」
妖剣から炎が噴き出し地面を焦がした。
「すごいな。」
男は後ろにまわっていた。
「いつの間に。」
「まあ威力はあるけど君は戦闘技術がないね。」
どっかで聞いたことをまた聞いた。
「ほら・・。」
男の剣から雷の玉がでてくる。バチバチいってる。すげえ。なんて感心していたら。玉は勢いよくこっちに飛んできた。
「ふん。」
剣で球を真っ二つに切る。俺すげえ。
「そっか。」
と言ってさっきよりもでかい玉を出す。玉はまた勢いよくこっちに飛んでくる。今度も剣で・・・
「切れないよ。」
確かに切れなかった。剣で受け止めたのはいいが全く切れない。
「くそ。」
そして、巨大な雷の玉は爆発した。
~・・・~
吹っ飛んでいく。雅也を見ながら男は。
「あーあ、死んじゃったな。ボスに言ったら怒られるだろうな。なるべく同類を殺すなって言ってるしな。」
と言って煙草を取り出す。一服したいのだ。
?。違和感に気付いた。おかしい、何かが変だ。あたりを見るがあいかわらずの焼け野原・・・・男は気づいた。時が止まっていると。