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「うう……ん、……あっ……、ふ……う……」
苦しさが少しおさまってきたシャロンは、瞼をうっすらと開けた。
ふわりと、金糸のような髪が視界を掠める。
シャロンの身体の上に、レスターが覆い被さっている。
重さを感じないのは、彼が体重をかけないよう、膝と肘で身体を支えているからだろう。
シャロンは半覚醒のまま、レスターを見つめた。
すると視線に気づいたレスターが、口づけの角度を変えながら、目を細め、シャロンの髪を優しく撫でる。
ゆっくりと唇を離したレスターの視線が、口元から首筋に移り、もう少し下へと移動した。
薄いネグリジェ越しに、シャロンの形のいい乳房と、つんとしたピンク色の尖りが、レスターの瞳に晒されている。
しばらくすると再び唇が落ちてきて、柔らかな吐息と桃水のような唾液、そして清らかな風をシャロンに送り込んでくれた。
(もしかしてこれは夢……?)
あまりにも幸せなこの状況が、現実とは思えなかった。
(夢ね、夢ならば恥ずかしくないわ。
求めるだけ求めてもいいはずだわ)
シャロンは、はしたないとわかっていながらも、自らちゅうちゅうと音を立てて、濡れる唇を吸い上げた。
先ほどまでは、羞恥のあまり逃げ腰で怯えていたというのに、夢だと思えば素直になれる。
「ふぅ……、あぁ……、んっ……んっ……」
シャロンが鼻から甘い吐息を漏らし、唇と舌を淫靡に蠢かすと、愛液が流れ込んできた。
喉を鳴らしてごくりと飲み干すと、甘露のごとき深い甘みに、全身が愉悦で震えた。
幼子が欲望のまま命の糧を欲するように、シャロンもレスターの舌を求めた。
「あぁ……、もっと……、もっとください……」
レスターの手のひらが、シャロンの脇下あたり……、汗に濡れた柔肌の敏感な部位に触れた途端、身体中がぶるりと震え立った。
こそばゆいのか、それとも他人の手で触られない箇所だから慣れていないのか、シャロンは何度も何度も手足を震わせ、敏感な肌に触れた手の熱に翻弄された。
「……ん、……はぁ……、あぁ……ん、あん……」
「まるで熟れた果物のように甘い。
シャロン、わかっているのか?
自分がどれほど淫らに私を誘っているのかを。
薄い夜着ひとつで、滑らかな乳房を揺らし、こんなにも身体をくねらせ、妖艶に誘惑してくるとは罪深い少女……、いやもう女性か」
その言葉は、シャロンの耳にするりと入ってくるが、意味は理解できない。
ただ欲しいものを欲するだけ。
お互いの舌先を捏ねまわし、衝撃にも似た痺れに酔い、羞恥と愉悦の狭間を行き来する。
シャロンはもっと欲しいと願い、唇を大きく開けた。
すると、願い通り厚みのある滑った下が差し込まれた。
ぬるぬると口腔を隅から隅まで舐められ、唾液たっぷりの舌を右から左から交互に絡められ、口端から漏れた蜜を啜られ、恍惚ともいえる未知の快楽が波のように襲ってくる。
レスターが首筋にまで流れる雫を、舌でそっと掬い上げる。
「んん……、やぁ……ん……」
くすぐったいはずなのに、なぜか下腹の奥辺りがきゅんと切なく軋む。
両脚の付け根の奥がじわりと痺れてきたので、腰を揺らして火照る熱を逃そうとした。
しかし、やり過ごすどころか、もっともっとむず痒くなり、決定的な刺激が欲しくなる。
レスターの頭が斜めに移動し、シャロンの鎖骨をなぞるように唇を這わされたら、もう快楽の余波が全身をくまなく揺るがしてくる。
「やぁ……、あ……、ん……、うう……ん、も……、もっと……」
嬌声を発しながら奉仕を求める行為は、本来なら恥ずべき強欲さだろう。
しかし、夢うつつの現実と悪夢が入り混じるべッドの中、身も心も疲れ果てていたシャロンに、抑制の枷は効かなかった。
(だってこれは夢だもの、レスター様がわたくしのベッドにいるわけがない。
幻に遠慮することもないわ、欲すればいいの。
夢の中ならわたくしはもっと自由……)
「欲しい……、レスター様の……、唇……」
素直に愛欲を口にすると、すぐに願いは叶えられた。
何度も髪を撫でられ、額にも頬にも唇が落ちてくる。
「可愛い声でおねだりか」
今のシャロンは、吸いつきたくなるほどのきめ細かい肌を惜しげもなく晒し、豊満な胸を揺らし、小鳥のような愛らしい声と、官能に支配された紺碧の眼差しで、艶然と欲してくる妖艶な女性だ。
レスターが再び舌を差し込むと、シャロンの肢体はびくんびくんと素直に反応した。
どう思われてもいい。
ふしだらな女性だと思われようと、夢の中ではあまりに些細で、どうでもいいことのように思える。
悪夢から救ってくれる偉大なる軍神、黄金の美丈夫から口づけを受けている。
それだけが夢幻の真実。
「ん……、ふぅ……、はぁ……、うぅ……ん、あぁん……」
下肢の中心が、むず痒いと訴えている。
はっきりとした刺激を欲しがっている。
それが何かはわからないが、確実にシャロンは未開の快楽を切望していた。
「なんて淫らに腰を揺らすのか」
「ああ……、レスター様……、黄金の軍神様……、輝ける太陽を背負った……、わたくしのレスター様……」
シャロンは、火照る肉体の疼きを抑えきれず、無意識にネグリジェを脱ごうと胸のボタンに指を伸ばした。
「熱い……、身体が熱いの……、苦しい、胸が疼く……」
朦朧としているシャロンは、上手くボタンが外せず、何回も爪を布地に引っかけた。
「困ったお嬢さんだ、楽にしてあげるから待ちなさい」
レスターの手によってネグリジェのフロントボタンを次々と外されると、途端に息苦しさから解放される。
形のよい胸が無防備に露わになると、レスターが、シャロンの首筋を舌で舐め上げた。
「あっ……、んっ……、はぁ……ん、んぅうん……」
レスターの柔らかい唇と熱い舌先に、ジンとした疼きが身体中を駆け巡る。
華奢な肩を震わせるシャロンを、レスターは力強く引き寄せ、今度は反対側の角度から首筋を舐め上げてきた。
甘い吐息と、くねる細い身体が、レスターの情欲を煽るのだと気づかないシャロンは、感じたままの快楽を素直に示した。
「はぁ……、んぅ……ん、やぁ……、やぁ……」




