第4話 王都の夜と魔法の閃光
王都セレストリアの王宮北門。
夜闇が城壁を覆う中、セリーヌ・ローゼンブルク、ロイ、シンラ、リアンの四人は潜入の準備を整えていた。
「この門を通れば、貴族たちの陰謀の核心に触れられる」
セリーヌは魔法球を手に掲げ、視界全体に街の動きを映し出す。
「だが、警備は厳重ね。魔力だけで押し切るのは無理よ」
リアンは小さく頷き、指先に魔法陣を描く。
「ここは私に任せてください。魔法で視界を封じ、足音も消します」
シンラは剣を軽く揺らし、警戒心を解かない。
「油断は禁物。王都の貴族は手段を選ばない」
四人は静かに門を抜け、王宮内部へ。
廊下を進むごとに、王都の権力者たちの影が蠢く。
「貴族たち……これは想像以上に動きが早い」セリーヌの瞳が光る。
突然、廊下の角から数名の貴族の兵士が現れた。
「悪役令嬢を捕らえよ!」
ロイが前に出る。剣を振るうと、闇夜に銀の閃光が走る。
同時に、リアンが魔法陣を展開し、兵士たちの動きを封じる。
「前世の力を見せる時ね」
セリーヌの手のひらから、稲妻のような光が閃き、兵士たちは一瞬にして戦意を失う。
「これで道は開いたわ」
セリーヌは廊下を進みながら、心の中で計画を練る。王都の貴族たちの陰謀を暴き、力を奪うには、単なる力押しではなく、情報と策略が必要だ。
その時、廊下の奥で異世界の気配が強くなる。
「……異世界の門か」シンラが鋭く呟く。
リアンも頷く。「封印が弱まっています。もし開けば、前世の魔王が復活しかねません」
セリーヌは冷静に魔法球を掲げる。
「なら、開く前に阻止する。私が帝国を築くには、魔王の復活だけは避けたいところね」
廊下の奥、王座の間にたどり着くと、そこで待ち受けていたのは、王都の重鎮である貴族長――セレストリアの陰謀の中心人物だった。
「悪役令嬢……まさか生きているとはな」
その冷笑は、王都に隠された暗い闇を映している。
「生きているだけではなく、私は強くなった。あなた方の計略も、魔法も、全て無駄よ」
セリーヌは言い放つ。手のひらの魔法球が光を増し、王座の間を輝かせる。
その瞬間、王都の夜空に稲妻のような光が走り、異世界の門の予兆が現れる――。
「くっ……!」貴族長が叫び、後退する。
「これで王都内部の動きは、少しだけ掌握できた」
セリーヌは魔法球を小さくし、深く息をつく。
「だが、これで終わりではない……これからが本当の戦いよ」
夜空に光の魔法が舞う王都。
セリーヌの目には、前世の痛みと知識を乗り越えた、揺るぎない決意が宿っていた。
「魔法帝国への礎は、ここから始まる――」