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白霜の季節

 いや、本格的な冬になってまいりました。

 何の話かといいますと。時候の話です。ちなみに、ここは日本ではありません。

 日本の冬は冬将軍ですが、こちらの冬の使者はFrost Jack(霜小僧)。

 朝、窓を開けて外をみると、地面も車も屋根も霜で真っ白。霜小僧は世界を白い冬に塗り替えるのに大忙し。

 六月が近づくにつれ、午前中は靄で視界がふさがれ、一メートル先の世界が白い闇で覆われます。

 真冬よりも冷え込みが厳しくなる冬至の前後には、一日中靄が晴れない日が何日も続き、乾燥機のない家に住んでいるのが悲しくなります。


 白くて暗い、厳寒のじめじめした世界。


 楽しみもあります。


 それは成長していく『白霜』。

 樹氷に似ていなくもないです。木の枝や、フェンスについた霜が、太陽の光に当たることなく何週間も放置されると、針葉樹の枝葉のようにどんどん伸びていきます。特に氷点下が続いた山陰や日陰の白霜は、三十センチは枝分かれしながら伸び続けます。


 で、この自然の創造した美しい芸術品をどうするのか。


 体当たりで落とします。フェンスが特に見ものです。白い樹木がバサーッといっせいに崩壊する瞬間に放出されるアドレナリンの量に、屋内に閉じ込められた鬱憤も晴れます。

 子供たちは頭のてっぺんからブーツまで、霜の結晶で真っ白。笑い声が凍りついた空気を揺るがして、霜小僧も撃退していまいます。


 誰にも先を越されないように、誰もが自分の秘密の白霜の場所を持っています。


 白霜は「hoarfrost:ホアフロスト」

 英語でも、日本語でも響きの美しい言葉。

 樹氷「rime ice」とどう違うのか、よくわかりませんが。

 霜はどれだけ成長しても結晶単位ですから、氷として膨張していく樹氷とは別物なのかなと納得しています。


 Horefrostの季節は、最も荘厳で、かつ美しい季節のひとつです。


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