言葉の意味用法の変化・日英編
三歳上の兄とおしゃべりをしました。
「日本語もかなり変わって、混乱すること多いよ」
と兄に話すと
「日本に住んでても混乱するからな。若いもんの言ってる意味がぜんぜんわからんかったりするぞ。知ってるか? 食べもんが『うまい』ってのは、いまどきは『やばい』って言うんだぞ。『これやばすぎるわー』とか言いながら食ってるのは、むちゃくちゃうまいってことだ」
「うまくて食べ過ぎてしまうから『やばい』のかなぁ」
ふと、否定語やネガティブな言葉が逆説的に肯定の強調に使われている例を英語でも思い出した。
「wicked」ウィッケッドみたいな発音。悪いとか、悪意があるとか、いやな、とか、ひどい、というのが本来の意味。
wicked man 悪人
wicked weather いやな天気
それが、
wicked tennis player になると『すばらしく優秀なテニスプレイヤー』になるのだった。
悪魔のように賢い、なんて褒めてるのかけなしているのかわからない比喩があるけど、
「映画、どうだった」と感想を訊いて「Wicked」と笑顔で答えられたり、
誕生日やクリスマスにすごく欲しかったプレゼントをもらったいまどきの若い人や子供が
「Wicked!」とはしゃいでいたら、いやな思いをしているのでなく、すごく喜んでいるということらしい。