メス犬の息子たちですが何か
4月のはじめに、うちの黒ラブハンターがお母さんになった。
一度に9匹。
離乳するなり育児放棄で、フォスター親の私は創作どころではない忙しさに翻弄されている。
育児なんか二度としなくてよいと思っていたのに。
でも、ひとつだけ楽しみなことがある。
夫が「あの一言」を叫ぶのを待っているんだ。
仔犬とはいえ、大型犬。四週間目には小型室内犬の成犬よりも大きい。
歯並びは鋭く、爪はかみそりのよう。
えさを持って行けばわれ先に集まり、足に飛びつき、手には噛み付き。
9匹も群がれば、とても足を踏み出せない。
じっさい、一匹は夜のえさやりで足元が見えなかった夫の作業ブーツで踏みつけられて、一晩家の中で看護される羽目になったのもいる。
翌朝には回復したけども。
思わず踏んでしまったり、噛まれたり。
英語が母国語の夫は、いろいろと汚いののしり言葉を口走る。
こっちの人は日本的に「え?」と引いてしまうようなののしり言葉を普通の状況で、普通の人が言う。
日本人にも浸透している「Fuck, Shit, bitch, etc...」などなど。
全部並べると発禁になりそうなので自重しますが、どうもシモネタ(性器を表す隠語とか、排泄物とか、下半身とか、エロ方面な)など、下半身に集中したののしり言葉が多いような気がする。
映画「ブリジット・ジョーンズの日記」でも、うら若い女性のブリジットが「ボウシェ!:Bull shit:牡牛の糞」と叫ぶシーンなどありますが。
その中でも、ハリウッド映画でよく耳にする「Son of a bitch:サノバビッチ」
「F*ck you!」よりも強烈な罵りで、Fワードが挑発なら、こちらは怒髪天的な意味合いがあるらしい。ある意味最終通告みたいな。日本語的にどれに当たるだろう。
朝は夫がえさをやる。
「Fワード」が聞こえる。難渋しているらしい。
お座りまでは覚えたんだけど、えさをやろうとすると指にまで噛み付くのがまだ数匹いる。
「you, son of a bitch!」
とか、叫んだら笑ってあげようと思っている。
だって、現実として、雌イヌの子供たちなんだから、罵ったことにならないわけで。
しかも、娘だったかもしれないじゃない?
「Daughter of a bitch!」
ぜんぜん罵った感じじゃないな。
しかも、複数だから「Sons of a bitch」でないとねぇ。
なんでイヌの子だと最大級の侮辱になるのか、と夫に訊いたけど、そんなの知るかと返された。
まあ、日本の子供の喧嘩「お前の母さんでべそ」で、なぜか激昂してしまった子供時代とか、冷静に考えると意味不明だ。