仔犬の名前
我が家の黒ラブハンターが初出産。
11匹生まれ、9匹が生き残った。
三週間で二倍以上の大きさになる。
まりつきしたくなるほど、ころころしている。
「名前、どうしようか」と夫。
私は一匹づつ指差しながら
「ブラック、クロ、ヘイ、シュヴァルツ、ノアール……」
夫が変な顔をする。
「どうしてそうなるんだ」
長女がしたり顔で口を挟んだ。
「みんな『黒』って意味だよ、お父さん」
黒ラブラドールハンタウェイの母と、黒ラブラドールの父親から生まれた仔犬はみんな真っ黒なので、みんな黒って名前にすれば間違えずにすむかと思ったけども。
私は腕を組んでちょっと困った。
「スペイン語はまずいよね」
長女も首を傾げて「うん、まずいね」と同意した。夫は「なんで?」
「『ネグロ』だから、英語でニガーとかニグロとか、差別用語になってるじゃん」
「だな。それからほかには?」
「う~ん、品切れ」
日本語なら「ぬばたま」とか「黛」「漆」「玄武」とか。
ちょっとマニアックなことを考えていたら、いつのまにか子供たちがテキトーに名前をつけてしまった。
四つ足が薄茶色のは「オータム:秋」
前足が茶色いのは「トワイライト:黄昏」
つま先が白いのは「ホワイトソックス:白い靴下」そのまんまじゃないか……。
ほかのは見分けがつかない……。
どれも母親のハンタウェイのしるしである、首の下に白い衿のような楔模様をつけていて、ますます見分けがつきにくい。