狂牛病と早口で三回言ってみよう
暖炉の前でごろごろしていたら、長女(十二歳)が私の手を握ってきた。
私は「ぎゅうっ」と言いながら握り返した。
娘は「ぎゅうにゅう」と言って握り返す。
しりとりのつもり?
私は手を握り締めながら「ぎゅうどん」
娘は笑いながら「ぎゅうどん」
しりとりじゃないのか。
次には「ぎゅうにく」娘も「ぎゅうにく」と繰り返す。交互に手を握り返しながら。
長女ほどに日本語を解しない次女(九歳)は、悔しそうに私たちを眺めている。
私はちょっとハードルをあげてみる。
「きょうぎゅうびょう」
長女は「きおうぐうびょー」
「きょうぎゅうびょう」
「きおぎうびょう」
何が可笑しいのが、次女も笑い転げながら挑戦してみる。
音だけで笑いを誘う言葉というのはある。
英語圏すべてがそうなのかわからないのだけど、こちらの人たちは「ゃ・ゅ・ょ」の発音が苦手だ。
「亮・竜」の日本人名は「りお」「りう」と発音されてしまう。
さて、次女も加わって「狂牛病」の練習をした。
結構時間が潰れた。
夫が「どういう意味」と訊いてきたので「mad cow disease」と答えた。
娘たちがげらげら笑い出した。ここは笑うツボなのだろうか。