どういたしまして
「ありがとう」に応える日本語は「どういたしまして」なのだけど、この返礼の語源とか、本来の意味が、八文字の中からは推察できない。もともとはもっと長い文章であったのが省略されたものなのだろうと想像する。
語源や意味の分析はウィクショナリーにお任せして、英語の「どういたしまして」は実にバラエティがある。
You are welcome.
Don't mention it.
My pleasure.
No worries.
No problem.
Not at all.
自分的には「My pleasure」が好きだ。
直訳すれば「『私の喜び・楽しみ』なので、感謝されるにはおよびません」といったところだろうか。
こちらにきてすぐ、道に迷ったときに方角を教えてくれた老婦人に礼を言ったら、朗らかに「My pleasure」と返されて、妙に感動した。
なんか、いいなぁ、と思った。
人助けは、私の楽しみ。
マイ・プレジャー以外の返礼は、日本語の「どういたしまして」に似て謙遜の意味合いが強く、自分の善意を否定して、相手の問題を小さくすることでせっかくの善行をも過小なものに見せている。
ボランティアで老人や子供のサポートなど、サンキューと言われて、マイ・プレジャーと応えると、本当に、嬉しくなる。特に子供たちの場合は、彼らに新しい技術を習得する手助けをしているわけなので、そのために蓄えた知識や経験が活かされることに例えようのない興奮と喜びを感じるのだ。
人助けは、自分が楽しいからするのだ。相手の喜ぶ顔が見たいから、相手が自分の助力によって一歩進んでくれるのが見たいからするのだ。だから、礼を言われるのは単純に嬉しい。屈託のない感謝の言葉と、心からの笑顔が私への報酬。
あなたの幸せが、私の幸せ。
私の厚意を役立ててくれたことを表すあなたの感謝に、ありがとう。
感謝には、感謝で返す。
「My pleasure」には、そんな思いが込められているような気がして、よく使う。
☆☆☆
私の生まれ育った地方では「どういたしまして」よりもカジュアルな「なんが、おまえさん」とさらっと流してしまう表現がある。
訳すると「何が?(何に対しての『ありがとう』ですか)、あなたさま。(わたしは何もたいしたことはしてませんよ)」になるのかな。
これはこれで、わりと好きだ。
「なんが」にかかる方言独特の抑揚をお伝えできないのが残念。
とてもほのぼのしたキモチになる。
「どうもすみません」「なんが、おまえさん」
若い人に受け継がれているといいなぁ。
「どういたしまして」は意味的には「わたしは何もたいしたことはいたしておりませんよ」になるらしいです。