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自殺的なブロンド
夫の狩猟雑誌をぱらぱらと見ていたら、プラチナブロンドの美女が獲物を前にライフルを構えて写真におさまっていた。
「どんな雑誌でも、必ず妙齢のブロンド美人がポーズをとってないといけないっていうのが、こちらのお約束なのかしら」
「その女性は本物のハンターだよ。彼女のお兄さんが狩猟事故で亡くなってからも、ひとりで続けているってんで取材されてるんだ」
「へえ。それにしてもきれいなホワイトブロンドだね。本物かな」
「染めただけだよ。眉毛の色が違うだろ。『suicide blond:金髪自殺』だ」
「何それ? 染料が毒物だとか」
「She dyed herself (=>She died herself)」
(dyedとdiedまったく同じ音:彼女は自分で染めた=>彼女は自分で死んだ)
「なるほど~」
英語のダジャレには、納得するだけで笑わない私の反応に、夫は慣れている。