罵り言葉 その1
英語で男性が女性を罵るのに「ビッチ:雌犬」は日本でもよく知られていますが。
どのくらい失礼なのかというと……。
ある日、近所に新しい家族が越してきた。
同じ年頃の子供たちがいるということで、お友達と一緒にお茶に誘われて訪問する。
やがて、ご主人が帰ってきて。
なんか口の悪いご主人だなぁと思っているうちに。
庭のホースが出しっぱなしと怒り出して、奥さんを「You bitch!」と罵りだした。
びっくりして、同席したママ友に
「ああいうの普通?」
「いやぁ、普通じゃないと思う」
とママ友は驚いていた。
数分後、その新しいご近所さんは夫婦で口が悪いということが判明した。
ママ友は「距離をおいたほうがいいわねぇ。ご主人は避けたい」
帰って夫にそのことを話すと。
「そんなひどいダンナ、なんで離婚してしまわないんだ」
ええ! 五分おきにF◎ckとか叫んでいるあなたがそこまでおっしゃるのですか?
罵り言葉ひとつが離婚の原因になるわけだ。
で、そんな私の夫がここ二年ほど「You bitch!」と叫ぶことがたびたびある。
ラブラドールとハンターウェイの交配犬を飼いだして。仔犬のころは家のなかで粗相をしたり、逃げ出して探し回ったり大変。
自分で飼いたいと言いだしたんだから、ダンナの責任。
仔犬がトイレに間に合わずに、みるみる漏らしたキッチンの薄黄色い水溜りを見て、夫が叫んだ。
"You bitch!"
私は呆れる。
「雌の犬に向って雌犬と叫んで、果たして罵りになるのかしら」
夫は溜め息をついて「ならないよなぁ」と床を拭き始めた。
以来、彼女が粗相をしたり、言うことを聞かないという理由で夫が「ビッチ」と罵るたびに
"You can't blame her for what she is."
と私は口を挟んでいる。
「意訳:雌犬が雌犬であることを責めてどうするのよ」
F◎ckはひとり言で言う分には問題にはならない模様。
誰かに向けられると、たいへん問題らしい。