笑ってはいけない名前
その一、
長女が誕生日の招待カードを書いていた。宛名に「エミリー・ピーコック(一部仮名)」とある。
「ピーコック? (Peacock・孔雀)すごい名前だね」
「でしょ」
思いついて電話帳を見ると、なかなか笑える名前がある。
その二、
昔、近所にすんでいた家族は、なぜか屋根の上にいつもスコットランドの旗が掲げてあった。苗字はスチュアートだ。
お母さんの名前はメアリー。
私「結婚するとき、スチュアート姓になるのに、抵抗なかったですか?」
メアリー「ちょっと考えたけどね」
私「で、息子さんが『ジェームズ』と」
メアリー「やっぱり、こだわってみようかって」
だから、スチュアートさんの家にはスコットランドの旗がなびいているのだ。*注1
その三、
長女の新しい担任の名前が「ミセス・コンダー」
長女「名前がアンなのね」
私「結婚するときに悩まなかったのかな」
長女「なんで」
私「まぁ、アンナだったらきっと悩んだろうな」
長女「だからなんでよ」
私「続けていってごらんよ」
長女「Anna Condor……アナコンダ!」
注(アンナのンは小さく弱く発音するので、アナ、と聞こえる)
ひとしきり笑う親子。
長女「でも、アン・コンダーだから」
私「早口で言うと、やっぱりアナコンダに聞こえるね」
笑い転げる母、呆れる娘。
三者面談のたびに、笑い出しそうになる無礼な母親は私。
注1.エリザベス一世によって処刑されたスコットランド女王、メアリー・スチュアートの息子、ジェームズはエリザベスの死後、ブリテン・スコットランドの国王ジェームズ一世となる。