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IF:ラスボスが主人公になる世界線  作者: 音無 なの
あるラスボスだった男の話
6/6

エピローグ:ズレた世界線の主人公とラスボスは―

―もう一人の時間停止能力者を国家権力にお任せした翌朝。

俺の部屋のベットで起きると……



「ふにゅぅ〜…むにゃむにゃ…。」


「………。」



同じベットには一糸纏わぬ俺と風花、身体は気怠いのに心は満たされる感覚。



「…風花。」


「……にゅふふ〜♪」



隣で眠る風花の、サラサラの髪を梳くように撫でると嬉しそうに微笑む彼女。 



「あぁ……



なんだろうな。

何かが、足りなかったあの日々とは違う。



「ともぁ…お兄しゃ……だいしゅきぃ〜……♡」


「ははっ…俺もだよ、風花。ありがとうな。」


「にへぇ〜♪」



今の俺は、幸せだと言える。

今、俺はつまらなくない。

きっと今日からも、この先も、会社に行けば心すり減らす日常が待っているんだろうが。


でも、風花が家で待っててくれてるなら、風花が一緒に生きてくれるのなら。



「あぁ、そうだな。俺は、まだ頑張れる。

風花が居るこの場所に帰ってくる為に。」



………俺には、愛とか友情だとかが分からなかった。

クダラナイモノだと切り捨ててきた。

が、今なら分かるさ。

俺みたいな奴にこそ、四乃森風花みたいな、愛情たっぷりの人間パートナーが必要だったんだ、ってな。


だが、未だに疑問なんだが、なんでそんな風花は俺の事をこんなにも好いてくれるんだろうか??

でも、俺は何かが頭に引っかかる。


そう言えば、風花のお気に入りである桜の香りの香水。

その香りをかつて、何処かで………?
















 







Side:四乃森 風花


時間停止なんて奇妙な事が起こったあの日、わたしが智昭お兄さんと出逢ったのは偶然だった。

なぁんていうのはウソ。

本当はね、6年前に会ったことがあるんだよ?

まだ高校生になったばかりの時のあの日、わたしは電車で痴漢されていた。

そんなわたしを庇う様にさりげなく間に入り、わたしを格好良く助けてくれたのが智昭お兄さんなんだ。


何故か、お兄さんはその事を忘れているけれど。

3年間、平日は毎朝同じ電車に乗っていたのにね?


あの日からわたしは、当時はまだ名前を知らなかったお兄さんの事が好きだった。

毎日同じ電車になるし、その度にわたしの後ろに着いて守ってくれたお兄さん。

ついつい寄りかかって甘えちゃった事もあるんだよ?


毎日同じ駅で乗るからこの辺りに住んでいるのは知っていた。

だからね?時間が止まっちゃったあの日、実は最初からお兄さんを探して歩いていたんだ。

せめて、動いてないお兄さんでも良いから会いたくて、時間が止まってる間だけでも抱き着きたくて。


そしたらそのお兄さんが動いてるんだもん!

ビックリしちゃった!!けど、同時に嬉しかった!

だって、お兄さんもわたしと同じトクベツな人間ってことなんだから!!


大学生になってからは電車を使う時間が合わなくなったから、お兄さんに会う事もなくなっていたけど、

でも、まさかおじいちゃんが管理人をしてるマンションの住人だなんて思わなかったよ!

わたしは神様に感謝した!!


だから…だからね?お兄さん……

わたしは恩返しをしたいんだよ。

高校に通う3年間、朝の憂鬱な時間に楽しみをくれたお兄さんに……

電車での安心感をくれた、大好きなお兄さんに!!

けどきっと、そんな事を言ってもお兄さんを困らせるだけ…だからこの気持ちは、大切に大切にしまっておくんだぁ〜。

いつか思い出してくれる、その日までは…ねっ♪


ねぇ、お兄さん?

わたしを、わたしの事を忘れていても、わたしを好きになってくれてありがとう♡

愛してくれてありがとう!!


わたしをこれからも、お兄さんの彼女として、将来はお嫁さんとして…ずっと一緒にいさせてね……?















 



Side:才城 智昭

あれから、俺達は特に異能力バトルとかに巻き込まれたり、なんて事は無く。

普通で、何の変哲もない日々を過ごしていた。

まぁ、俺は風花が家に居る事を原動力に仕事を張り切った結果、益々上に上がった訳だが。

その後、俺は風花と結婚して子供もできた。

風花そっくりな銀髪に、緑がかった黒目の可愛い女の子だ。

その子は今、最近設立された異能力者達が通う学校に通っている。

……普通の青春ってヤツとは程遠いかもしれないが、娘は楽しそうに学校の話をしているから楽しいのだろう。


…だがなぁ!?お父さん、彼氏はまだ早いと思うんだが!?

こら風花!たおやかにくすくす笑うな!!

智花(ともか)も若い時の母親そっくりに無邪気にくすくす笑うな!!!

と言うか何なんだよその、聞いた話的にギャルゲー主人公みたいなヤツ!?

お父さん、そんなスケコマシ野郎は絶対認めないからな!?


…え?

なんか争奪戦になってて面白いから自分は直接参加しないで高みの見物だし、そもそも、お父さんとお母さんみたいに“最初からこの人を恋人にする”って決めれない様な優柔不断な男は友達目線でからかって笑いながら見るには良いけど彼氏にしたいとは思わない??


…だよなぁぁぁっ!!さすが俺の娘だぁぁっ!!

でもちょっとそうゆう愉快犯的な所はお父さんに似なくて良かったんだぞぅ!?


なんだって?

お母さん譲りのタロット占いやアドバイス(笑)で引っ掻き回しつつ親友の恋人になる方へ誘導するのもリアルギャルゲーしてるみたいで愉快??

お父さん譲りで短時間とは言え時間も止めれるからラブコメ作り出せるのも愉快痛快??


…ハハッ、俺の娘がマジでトリックスター過ぎるッ…!

だからそうゆう所はお父さんに似なくて良いんだよ智花!?


見た目が風花の若い時にそっくりで可愛い女の子な分、中身が俺と同じとか見た目が天使なのに悪魔過ぎないか俺の娘!?

あ、俺が妻の風花と娘の智花以外に対しての性格が最悪なのは自覚してますハイ。



………なんて、そんな感じで、オッサンになった今も、年相応な落ち着いた雰囲気になった風花と一緒に娘の話を聞いて楽しみながら過ごしている。

きっと、これからも妻の風花と、娘の智花が居れば俺は退屈しないで過ごせるだろう。


だから、今なら言える。


人生って案外楽しいな。ってさ。


















IF:ラスボスが主人公になる世界線

End

今回は短い話でしたが、エターナルしなかっただけマシかなぁ……。



気が向いたらこのまま娘の話に行くかもしれません。

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