四話
同居を初めて一週間私達は一緒の生活に慣れて楽しく生活しています。
今日も白ちゃんをパソコンの前に起きもふもふしながらYouTubeや小説を読んでいます。
「おみゃーは白を撫でるのが好きだにゃー」
少し呆れたような顔をしながら優しい猫パンチを手にポスポスとし私の顔を見てため息を吐きます。
「ダメでしたか?」
「別に良いにゃーよ。白が可愛すぎなのがいけにゃいにゃ」
白ちゃんは名前が気に入ったのか一人称が白になっています。微笑ましい気持ちになっていると最近やらなければ禁断症状が出る悪魔的行動をしたくなってきました。
「えい!」
顔を白ちゃんの体に埋め大きく鼻からスーハースーハーと深呼吸をします。そうですよく猫飼いの中で呼ばれている猫吸いと言うやつです。
白ちゃんは幽霊なので猫の香りなどせず無臭なのですが唐突に毛に埋もれたくなるんですよね。
「そろそろ仲間探しに行ってくるにゃ」
白ちゃんは毎日仲間探しという名のお散歩に行っています。幽霊などのお仲間さんが見つかるまで同居するというルールでしたので、勤勉なのはいい事なのですがあまり探して欲しくない気持ちもあります。
正直に言うとずっと一緒でも良いなと思っています。でもそれは私のわがままなので我慢です。
「行ってらっしゃい」
手を振ってスイーと空中を飛んで壁をすり抜けお外に行く白ちゃんを見送ると少し寂しい時間が始まります。
YouTubeを再生しようとパソコンを少し弄っていると白ちゃんが早すぎる帰宅をしてきました。
「一緒に来るかにゃ?ずっと部屋にいるのも良くないにゃ。ここ一週間トイレとご飯以外部屋から出てないにゃーよにゃ」
確かに私はほとんどお部屋から出ることはありません。毎日朝と昼ごはんは家族が誰も居なくなってから食べますし、夜ご飯は寝静まってから部屋に持ってきて食べます。
いつもお皿に綺麗に盛り付けラップをして準備してくれるお母さんには感謝しかありません。
あとはトイレに行く時しかお外には出ないので一日をほとんど部屋の中で生活しています。
うーんと唸りながら考えていると白ちゃんから追撃が来ました。
「陽の光浴びないと良くないにゃ。カーテンも外から見られないように締め切ってるし尚更にゃー」
言われている事はもっともな事なので私を悩ませます。分かっていても引きこもりにはなかなか難しい選択です。
現在は十四時学生はまだ学校で勉強中の時間。でも早終わりの日ですと言えば補導されそうになっても逃げ切れる、社会不適合者の私がお外に出るにはうってつけの時間です。
よし!決めました!
「私も、お供します!」
「よく行ったにゃ!行くにゃー!」
白ちゃんは空中浮遊を辞めて地面におり、スタスタと歩いて私の部屋を壁を透過して出て先に玄関まで向かいました。
「ちょっと待ってください!」
私は急いで久しぶりにオシャレをします。お外行きの服を着るのはいつぶりでしょう。
たまにはスカートを履きましょうか。
あとは暑くなってきたので白のシャツにしましょう。
あっ!日焼け止めも塗らないとですね。
全身に塗りたくり少し小さいバックを持ちこれで準備完了です!
「まだかにゃー」
「もう行きます!」
私は急いで廊下を駆け玄関で靴を履きます。本当はサンダルが良いですけど今日は白ちゃんの仲間探しですからね。
「行ってきます」
誰も居ないお家へ短い間のお別れをし私はお外に出ました。
「気持ちぃ」
久しぶりの直射日光に私は活力を貰いつつ、引きこもりで凝り固まった全身の筋肉を伸ばします。
たまにはお昼にもお外へ出ないとですね。
「心と体の準備はできたかにゃ?」
「はい!できました!いきましょう!」
私達は白ちゃんの仲間探しの旅に出発です!