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29.再会

 マレイは涙をぬぐうと、にっこりと笑って、「一緒に行きましょう」とささやいた。その途端、ロティアの心臓がバクバクと大きく鳴りだした。


 とうとう会えるのだ、リジンに。

 夢にまで見た、リジンに。


 マレイはそっとロティアの手を取って立ち上がった。フフランはロティアの肩にとまる。

「きっと驚くけど、一番は喜ぶわ。大丈夫」

「は、はい……」

 ロティアはうつむいたままヨタヨタした足取りで、マレイの後について歩き出した。




「おかえりなさい、父さん、リジン。早かったわねえ」

「雨が降って来たから、早めに切り上げたんだ」

「あら、濡れてるじゃない。今タオルを持ってくるわ。ロエルー、タオルを用意してくれる?」

 マレイはロティアとつないでいた手をそっと離して、廊下の奥に消えていく。


 ロティアが恐る恐る顔を上げると、リジンの祖父の隣に、濡れそぼったリジンが髪の水を絞っているのが見えた。 

 濃紺の髪から、涙のように美しい雫がぽたぽたとこぼれ、その先にリジンの美しい顔が見える。


「……リ、リジン」


 消えそうな声で、そうささやく。

 すると、下を向いて髪をつかんでいたリジンがピタリと動きを止めた。そしてゆっくりを顔を上げた。


 ふたりの目が合う。

 その途端ふたりの世界から、雨が地面を叩く音も、色とりどりの花の色も、水っぽい雨の匂いも消えて行った。

 互いの存在だけが、暗闇の中で灯した火のように光って見える。

 ロティアはその光景を目に焼き付けるのに必死で、他には何も考えられなかった。

 口を動かすことすらできなかった。


「おや、見知らぬお嬢さんとハトさんだ」

「お邪魔してるぜ」

 フフランは祖父のそばまで飛んでいき、お行儀よく頭を下げた。

「ロティアさんとフフランさんよ。リジンの誕生日をお祝いしに来てくださったの」

 マレイにそっと肩を叩かれると、ロティアはようやくリジンから目をそらすことができた。

「ね、ロティアさん、フフランさん」

 マレイは片目をパチンと閉じて微笑んだ。ロティアは小さくうなずいて、リジンに向き直る。

「そうなの。ごめんね、突然」

「いや、それは、うれしいけど。驚いちゃって……。ごめん、俺こそ」

 リジンの方はまだぼんやりした目をしている。そんなところも懐かしく、ロティアはクスッと笑った。

「ううん。……おかえりなさい、リジン」

「おかえり、リジン!」

「……ただいま、ロティア、フフラン」


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