時路さん
Q、アーシャがテリーとの初対面で広まった悪評に、乳母や世話係が加担しているか
A、力添えをする、手を貸すという意味であれば一端は担っている。
当時の世話係から見れば、生まれの上で敵対関係にある第一皇子が横にいて、第二皇子が泣いている状態。手を見れば怪我をしているとなれば、報告は必須。事実を伝えても、第一皇子が側にいて第二皇子は怪我をして泣いていたとなる。これが人口に介せば、第一皇子が第二皇子に怪我をさせて泣かせたになるため、発端は世話係だが特段の悪意があったわけではない。
初対面でのアーシャへの対応は、目を離して職務上失態を犯した自覚があったため、できる限り危険なものからテリーを遠ざけようとした結果。
その後は意地悪をした、乱暴をした、妬みから、元の性格が悪いからと尾ひれがついていく。噂をする者からすれば、結果の間にある謎の経過を自分に納得できる形で捕捉しているに過ぎないため、誰も悪評が正当だと疑わない上で、批判や悪評を喋り広める際にあるのは、悪意ではなく正義感であることも多かった。
世話係は皇子を怪我させる状況に置いたとして、辞めさせられている。宮中警護たちは保身で嘘の報告をしたことが露見し、イクトからも教育的指導をされて心折れる。
テリー側の当事者は全て辞めさせられていることもあり、悪評は既成事実化し、その中でテリーは育った結果、先入観が育った。
Q、当時の世話係について妃殿下、テリーがどう思っているか
A、皇妃は皇帝の嫡子に怪我をさせた粗忽者として辞めさせ、テリーは記憶にない。
世話係一名、宮中警護三名で庭園に出たのは、三歳のテリーが気まぐれを起こして突然出たいと騒いだため。本来よりも少ない人員での散策で、すぐに戻るつもりだった。ドレスや礼服の死角を突いて勝手に走ったテリーにより、世話係たちと一時はぐれ、結果としてアーシャに見つけられる。
皇妃はその経緯も全て世話係から報告された上で、世話係に皇子の怪我の責任をとらせ辞めさせた。テリーにも上に立つ者として我儘で周囲を振り回してはいけないと厳しく躾けさせる。
結果、周りが忖度し、第一皇子に長子である優位を誇示できないよう完璧な皇子であることが求められ、第一皇子は争う相手であるとテリーは教育された。
テリーとしては、次の皇帝として相応しい教育をされているという形なので、その一端に今は辞めた世話係が関わるとも知らないので、思うところはない。
Q、ラトラス、ネヴロフ、ウィーリャの兄弟関係
A、ラトラスには双子の兄弟、ネヴロフは三つ子の兄弟、ウィーリャは一人で生まれた。
ラトラスの兄弟は、幼い頃に病気で死んだ。なんでもない風邪であり、珍しいことではないため、特に話もしない。薬を用意して飲ませたが、回復するだけの体力もなく、薬も高価で手に入ったのは一回分。一度の服用では大きな効果がなかった。
ネヴロフの兄弟は、一人は衰弱、一人は事故で死んでいる。衰弱した兄弟は生まれた時から弱かったので、十歳にもならない内に亡くなった。回復するだけの体力を得る食料がなかったことが大きい。事故死した兄弟は、足を滑らせ打ちどころが悪く。どちらも村内では珍しいことではないため、学園で話題に出すことはない。
ウィーリャの上の兄弟たちは双子もいたが、風邪をこじらせて看護の結果、治らず死なず肺炎にまでなって亡くなる。長患いだったため、家族は死を悼んでいるが、病気が移らないようあまり会っていなかったウィーリャに死んだ兄弟の記憶は薄く、話題にしない。