アレイさん
Q、番外編の後の結婚事情
A、掌編にしようと考えていましたが、質問が多いのでちょっとしたあらすじで。
・ルキウサリアルート
学園を卒業後、ディオラは国の政略により婚約、そして結婚と共に他国へと嫁いだ。一度アデルは「本当にいいのか?」とロスに聞くも、臣下として答える言葉はない。ロスも貴族家に養子に入り、貴族令嬢と政略により結婚。ルキウサリア王太子の側近としてつき従うも、生まれの不明さから高位には登らず。ルキウサリア国内から出ることもほぼなかった。
そして六十を過ぎて、ルキウサリア国王の執事役として王城で知らぬ者のない存在となった頃、夫の死により余生を故国で過ごすため、ディオラが身一つで国に帰ってきた。女公の地位を兄王から得たディオラの下に、家を子に譲り、職を辞して、養子縁組も解消したロスが現れる。出会った頃のただのロスに戻った上で、ただディオラに仕えるために。
・不遇皇女
最有力と目されていたルキウサリアの王子が、聖女に振られた。それを機に聖女を射止めようという貴公子が攻勢に出る。しかし当の聖女は結婚の意思がなく、夜会に参加しても弟皇子や男装した専属の女騎士を相手にダンスを踊るばかり。
そんな中、妹皇女が学園を卒業し始めての夜会へ出席。今までは弟皇子たちにエスコートやダンスを任せていた聖女だが、この夜会では皇子たちには婚約者が同伴する。好機と思っていた貴公子たちだったが、聖女をエスコートしたのはなんと男装した妹皇女。兄たちが姉をエスコートしたのだからと駄々をこねる妹に負けた聖女は、結婚から逃れるためにも妹の手を取った。
ただ聖女に続いて妹皇女の結婚事情も厳しくなりそうな成り行きに、皇帝夫妻は頭を抱えることになる。
・子爵家ルート
学園を卒業後、本格的に商売を広げ始めたアーシャ。現皇帝の後継者問題に端を発し、帝都は不穏な情勢。子爵家ともども河岸変えを考える。そのためルキウサリアで結婚相手を探し始めると、同級生だったソーとウェルンがあれこれと世話を焼いた。そうしてルキウサリアと帝国の両方で爵位を持つ貴族のご令嬢との縁談がまとまる。前世の感覚もあるアーシャは、まず婚約期間を設けてお付き合いから始め少しずつ距離を狭めた。
その間に帝都では次代の皇帝の地位が政争化。健康な男児ということでアレキオン伯爵アーシャの帝室参加の話も出たことをソーに警告され、アーシャは婚約者と新たな販路を広げるために叔母のいるリビウスへと旅に出た。リビウスで船を得て新たな商売を広げたアーシャは、婚約者と結婚のため大陸中央へ帰る。
そんなアーシャを帝都で迎えたのは、王太子に内定したソー。皇帝は子供たちの療養のため、退位を決意したのだった。
・犯罪者ギルドルート
思春期となったコールは、改まった様子でハリオラータたちに呼ばれる。しかし兄を自称するハリオラータの頭目、クトルはあえて除外されて。そこで説明されたのは、クトルの執着と、外に女を作る際の注意点。あくまで淀みの魔法使いでなければ身内認定をしないため、そうでない相手を選ぶととても態度が悪い。その上子供ができればその子供に執着を始め、淀みの魔法使いにしようと子供を奪うという面倒さ。
同じ男のイムとバッソに娼館を紹介してもらうことで済ませることにしたコールだったが、娼館でクトルの子供だという少年を投げ渡されてしまった。頭を抱えるコールだが、自分本位なハリオラータたちは特に子供の面倒を見はしない。常識を捨てきれなかったコールは子供の世話をし、遊び相手はいても妻はいない、子持ちとなったのだった。
・幽閉ルート
十年シャルの助手として私心なく働いたノーマは、マルさんに褒美を与えると言われて一つの願いを口にした。「妹にシャルさまの情けを」と。それはシャルを見張り、場合によっては始末を請け負うマルさんにとって看過できない願い。ノーマさえ始末しかねない状況に、シャルも加勢してマルさんと一年をかけて話し合いという攻防を行う。
マルさんがあえて息子と役目を交代する日にのみ、情交を知らない態で許された。その後、妹とシャルは二度と会わない約束でひと晩を過ごす。もちろん子ができたとしても親として認められることはなく、男が生まれれば暗殺の可能性さえある。それでも結ばれた後、ノーマの妹は姿を消した。
シャルは一夜の妻となった女性がどうしているかも知らず、子ができたかも知らない。知ることもまた、第一皇子だったことを話すのと同じ罰が下る約束をしたため、生涯知ることはなかった。
ただ遠くで幽閉される父から、手紙が届く。新たに雇われた女中が連れた子が、幼い頃のシャルを思い出すという手紙だった。