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白蛇サマが行くっ!  作者: 福寿
9/36

身を削る思い(物理)

ぶっ壊すと言ったものの絶対HPと防御力は高いはず。僕は回復薬すら無いから出来る限り被弾は避けなくちゃいけないし。


ぶっちゃけ勝てる確率は低い。だけどルーフの笑顔を見る為なら、必ず何とかしてやる。


「シャァァアっ!」


「!」


少し大きくなった火球は胴体へと直撃する。だけどそこまで効いて無さそうだ。コレを倒しても村から脱出する為にMPを使わなければならないかもしれないから、最低限は残しておきたい。


また拳が僕を襲うけど動きは遅い、だけど地面に当たった瞬間に衝撃波のようなモノを受けてしまう。少し後ろに飛ばされてしまった。


「シャァー……」


「!!」


「シャっ!」


HPの減りはそこまで大きくない。魔造石像は僕を後ろに行かしたく無いのか鈍いながらも攻撃の手を緩めない。


僕も反撃する為に衝撃波をジャンプして、その勢いで尻尾を拳に打ち付ける。少し手応えはあったけども精々石の欠片を撒き散らす程度だ。


絶対このレベル帯で戦う相手じゃない気がする。すると足を上げ、僕を踏み潰そうとして来た。体重任せなのか拳より速い。


咄嗟に前に飛んだけど衝撃波までは避けられずに地面に転がる。後ろには杖が……ってそもそもの目的ってアレっぽいから何とかして手に入れたら良いんじゃ……。


「シャァァ……」


「!!!!!」


魔造石像は慌てたように走って来る。僕は杖まで行ってアイテムとして取ろうとした。


「シャァ?!」


「!!!!!!!」


現実は甘くなく取ることは出来なかったのだ。殴られる前に杖を咥えてその場から離脱した。杖があった場所は粉々に砕かれて跡形も無くなる。


ううう少し重い……こんなの咥えながら移動してたら回避にも影響が出てしまう。悩んだ僕はルーフに心から謝りながら杖を階段側へと放り投げる。


「シャァァァァっ!!!」


「……?!」


それは想定してなかったのか動きが少し鈍って、僕を狙うべきか杖を取り戻すべきか迷ってるように見えた。


その隙に僕はルーフを呼び戻す。ここからじゃ見えないから、勿論全力で叫ぶしか方法は無い。


「シャァァァァアアアアア!!!!!!!」


「白蛇サマ?! い、行かないと!」


良かった、僕の全身全霊の叫びは伝わったようだ。ルーフは転がってる杖を見て急いで回収する。


「に、逃げm」


「シャ?!」


ルーフと僕は階段から離れた所に居る。そのタイミングで偶然か罠か階段の入り口部分が崩落したのだ。


「わたしのせいで……」


「シャー!」


「それに頭痛が……」


ルーフは頭を抱えてその場に蹲る。心配だけどどうしようも出来ないし、魔造石像も健在だ。もう一度挑発を発動させてせめて僕にヘイトが向くようにする。


そして攻撃された時に衝撃波も届かないように即座にルーフから離れた。まだ彼女が苦しんでることを確認しつつも、拳を回避して尻尾の反撃を決める。


もう反撃を当て続けるしか勝機はない。徐々に壁際に追い詰められながらも十分程粘った頃に動きが変わる。


突然両腕が真横になり、高速回転しだしたのだ。ヤバい、よりにもよって背後が壁だから退路が少ない!横に避けようとしたけど間に合わなかった。


全身に衝撃が走ってぶっ飛ばされる。壁に打ち付けられずには済んだけどHPが半分以上持ってかれた。しかも身体が動いてくれない。


MPバーの下に気絶の表示が出ていた。まだ高速回転は続いてるし僕にトドメを刺そうと向かってくる。もう無理だろうか……。


目を瞑ったその時、女神(ルーフ)はまだ僕を見離して無かったことを知る。


「今度はわたしが! 《禁忌・呪眼拘束》」


「!?!!」


「シャ、シャァ……?」


ルーフはいつの間にか宙に浮いていた。魔造石像は黒いオーラを纏われながら時が止まったようにピタリと止まる。


まさしく女神に見えるけど、あの三つ目は前以上に見開れてしまっていた。


「白蛇サマ、大丈夫ですか?」


「シャァー……」


「わたしのためにありがとうございます、これでやっとお役に立てます」


ルーフは僕を腕で難なく持ち上げる。杖は不思議なことに持っていなくても落ちずに一緒に浮いていた。ルーフはもう一度別の魔法を唱える。


「《カースドランス》」


「!!!」


三つのドス黒い槍が魔造石像を貫き、胴体から茶色の輝く石を露出させる。ルーフは少し身体が震えていて、少しずつ高度が下がっている。


「白蛇……サマ……トドメ、を!」


「シャー!」


あの石が弱点だろう。腕から飛び出して、回転しながら弱点を砕く。


「シャっ……」


「!……」


弱点を砕いた瞬間、石の身体を崩壊させた。後には何もなく、入り口を塞いでいた岩が崩れた。


「白蛇サマ!」


「シャ?!」


ルーフは僕に駆け寄って強い力で僕を抱きしめた。ちょっと苦しいけど我慢……!


「死んでなくて良かった……」


「シャー」


泣いているのか声が震えている。それほど僕のことが心配だったのだろうか。


「もう絶対離しません……」


「シャー?」


何故か少し低い声でそう言われた。僕白蛇だよ……?とりあえず僕はルーフに抱かれる感覚を噛み締めながら、そのまま階段を登ったのだった。

読んで頂きありがとうございます、誤字報告も感謝です

追記:別作品を投稿してしまったので削除しました

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― 新着の感想 ―
[一言] 普通に踏みつけてきたわw 容赦ないなぁ〜 最終的に【蛇神と三つ目の巫女】的なことになりそう
[一言] やん……やん……いや、みなまで言うまい
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