田舎って喧嘩っ早い人多そうだよね
「着いたぜ!」
「ここがそうですか」
着いたのは巨大なツリーハウス。一番上に森人の女王様が居るらしい。扉に手をかけると、覗き窓から怪しむように質問される。
「そこの不審者は誰だ」
「ルーフたちのことか?」
「人間ですら入れたくないが、よく見れば魔物まで……!」
「ん? 別に危ない奴らじゃ」
「信用ならん! 女王様が贔屓にしてるとは言え森人ですらない奴が何を!」
「そんなのオレに聞かれても知らないぞ!」
「シャァ……」
いつの間にか口喧嘩が始まってしまった。うーん……どうしよう。とりあえず一旦何で揉めてるのかちゃんと聞こう。
「この森は女王様の掟が全てだ! 守れぬ奴は殺せ!」
「じゃあ女王様呼んできなよ! だったらオレもお前も文句ねーよな!」
「異種族と馴れ合う必要はない! そもそも貴様との契りもそうだっただろう!」
「オレは襲われてる人が居たら保護して来いと言われたぞ! 人の話聞いてないのかあほ!」
「自作自演ではないか? 洗脳されてる可能性も十分にある、アホは貴様だろう」
「なんだと!」
埒が明かないのと、ここも一枚岩ではないことが分かった。まぁよくある光景だろう。僕がどうしようかと考えてると、ルーフが前に歩き出す。
「ずっと言ってるだろう! 早くそいつらを追い……待て、何をしている?」
「私も限界と言うものがあります、それが越えたらどうなるかお見せしましょう。《カースドランス》」
「シャっ……」
「ぐぉあッ?!」
あっ……。三つの闇の槍が、扉を吹き飛ばす。扉があった場所からは複数人の森人が驚き恐怖した表情と悲鳴が聞こえた。
そんな中でも、一番に復帰してきたのはさっきまで口喧嘩してた森人だった。
「き、貴様っ!」
「先ほどから聞いておりましたが……そこの鳥人も、掟しか考えてない森人諸共吹っ飛ばしてあげましょうか?」
「お、オレは悪く」
「「黙れ」」
「はい……」
可哀想なピュイア、もう蚊帳の外が確定したよ。……どうやって収集付けよう。白桜、何か良い案ある?
「シャーシャー」
「ぼぁー? ぼぁ……」
目を逸らされた。僕らが乱闘し始めたらもうどうにもならなくなるし。詰んだかな。
「矮小な人間の女には分からんだろうな、ここから直ちに去れば追放処分のみで許してやろう」
「上から目線でしか物事を語らないのですか? こんなのが門番じゃ女王様も可哀想ですね」
「貴様ぁ!」
「《禁忌・呪眼拘束》」
「う、うご……」
ルーフは額にある眼を見せ、久し振り見せる拘束技を使った。リリアの時は使ってなかったし、その技嫌いなのかな?
「はぁ……見た目がアレですから使いたくなかったのですが仕方ありませんね」
「も、門番を殺せば森人全てを敵に回すぞ!」
「殺しはしませんよ、お話しするためにこうしたのです」
「話すことなど何もない! お前ら森人の誇りのために戦え!」
「い、いやその……」
「それでも森人か!」
「後ろを」
「早く! 戦え!」
気絶させるかコイツ。加減は多分大丈夫だろう。僕が動こうとしたその瞬間、奥にある階段から声が響く。
「貴方たち、戦いをやめなさい」
「だr……女王様?!」
「はしたない、客人は通せと言っているでしょう」
「し、しかし……」
「黙りなさい、こほん……数奇な運命の巻き込んでしまい申し訳ありません、招来者たち」
「女王様! もうちょっと早く来てくださいよ!」
ピュイアが敬語っぽい言葉を初めて使った。
「ピュイア、貴方もですよ。鳥を貸し出していたでしょうに」
「あっ忘れてた?!」
「今回は私たちにも責任はあります……森人の女王、フロラスの名において謝罪がしたいのです。森人の伝承の白蛇の末裔である小さき招来者よ」
あーなんか面倒ごとに巻き込まれた音がするぅ……。
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