バッドコミュニケーション
「お、レベル上がってる! アイツらやっぱ良い経験値になるな!」
鳥人の乱入者は帰ると同時にステータス画面を開いて、うるさく喜んでる。ルーフは僕を抱えて今にもやっちゃいそうな目で僕に聞いてくる。
「白蛇サマ、あの乱入者はどうしますか? やっちゃった方が安全ですが……今なら後ろから殴るだけでやれますよ」
「ぼぁ……」
「シャー」
白桜はすることがなかったのか暇そうだ。ルーフが物騒なことを言ってるが僕は首を横に振ってやめさせようとする。
「そうですか……」
何でそんな残念そうな顔してるの。会ったばっかりの頃のルーフはどこに……。ちなみに僕たちはレベルが上がってきたのか、一回の戦闘じゃ経験値が足りなくなってきた。
そうこうしていると、鳥人のステータスの振り分けが終わったのか僕たちを見てくる。
「よし! オレの名前はピュイア! お前はなんて名前だ?」
「ルーフですが」
「プレイヤーだろ? フレンドに」
「嫌です、そもそも何ですかそのプレイヤーって」
「え? いや、ルーフのことだろ?」
「シャァ……」
タメ口呼び捨て決めつけと言う酷い三連コンボを見た。僕をプレイヤーだと分からないのは良いとして、これはどうなんだろう。
MMOは始めてか?僕がそう心の中でツッコミながらもすれ違いする話は加速していく。
「も、もしかしてそう言うロールプレイか?」
「さっきから何を言ってるのですか、私はプレイヤーとか言う存在じゃありません。どうぞお引き取りを」
「だったらその蛇がプレイヤー……な訳ないか! だってどこからどう見てもルーフが使役してる奴だもんな!」
「あ〝?」
「ぼぁっ…」
「シュゥッ……」
あ、地雷踏んだ音がした。白桜も僕も修羅場の空気を感じ取ったのだろう。
「私が、白蛇サマを、使役してる?」
「ろ、ロールプレイにしてはやりすぎじゃ」
「貴方とは喋る言語が違ったようですね、鳥頭め。【カースド」
やばいやばい!完全に殺す気の目だ!
「シャー!シャー!」
「ラン……白蛇サマ? 今から鳥の串刺しを作るので少々お待ちを」
「お、オレなんか不味いこと言った気がする……」
「シャァ…シャァー」
「その鳥頭に用があるのですか?」
「シャァっ」
「分かりました……」
ちょっと不満そうだけどルーフは後ろに下がった。さて……止めたのは良いけどどうやって伝えよう。街の外じゃネームタグは見えないみたいだし。
「シャァ」
「白蛇サマってお前のことか?」
「シャー」
そだよー、ルーフは親の仇みたいな目で睨むのやめてね。
「じゃあお前がプレイヤーか?」
「シャァ!」
「マジか……てっきりおかしなロールプレイのプレイヤーだと思ったぜ……」
「シャ」
まぁそこは仕方ない……のか?ギリギルティかもしれない。
「鳴き声以外に話せないのか?」
「シャー」
そうだよ(泣)。何を思ってこんな種族作ったのか小一時間問い詰めたい時がある。
「ま、さっきは悪かったな! オレはピュイア、唯一の鳥人プレイヤーだ!」
「シャァ、シャっシャー」
「何言ってるか全く分かんないけどよろしくな!」
「シャ……」
泣いて良いかな。とりあえずPKをしなくて済んで良かったことを噛み締めよう。そう言えばリョクは全く居ないんじゃなくて、少なからず何処かに居るって言ってた。
その一人がピュイアか。本当に大丈夫かなこれ。
「そうだ! 忘れるとこだった、オレ女王様から襲われてる人がいたら保護してって頼まれたんだ! 一緒に来るか?」
「シャァ〜……シャー」
「良さそうだな! オレが案内するから着いてこい!」
「不安しかないのですが」
「ごめんって……」
「ぼぁぁ……」
欠伸している白桜を尻目に、僕たちは女王蜂の元へと案内されるのだった。
読んで頂きありがとうございます。投稿期間が空いてしまい申し訳ありません。よろしければブックマークお願いします。




