白蛇サマと謎の地下室
次の日、鍵は無事に完成したみたいだから早速目的地へレッツゴー。道中は雑魚しか居なかったので特に語ることはない。
強いて言えばルーフが可愛いことくらいだ。
「ここが隠れ家ですね……」
「ぼあー」
「シャー」
見た目はボロボロの木の小屋だ。隠れ家と言われても信用は出来ない。扉に関しては僕が軽く殴っただけで吹き飛びそうだ。
「鍵は扉に使うみたいではなさそうですね……」
「シャー?」
確かに鍵穴らしき物はない。じゃぁ中に入ってしまおう。尻尾で殴るとバキッという音と共に扉は壊れる。中は……何もない。
「何かあるはずです、探しましょう」
「ぼあー!」
「シャー!」
簡素な椅子や机、大きめの木箱しか無い。木箱の中身はゴミしか無かった。もしかして騙された?いやでも鍵を使う場所があるはず。
数分後、白桜が木箱を見ていた。
「ぼあっ、ぼああ!」
「シャ?」
「どうしたんですか?」
「ぼぁあ!」
白桜は木箱を押そうとするが、かなり重いのかビクともしてない。僕とルーフも一緒に押すと少しづつ動き、なんと下にはハッチがあった。
「やりましたね白桜ちゃん!」
「ぼあー!」
ハッチには鍵があるからそれに使うのだろう。ルーフが鍵を使って開けると、鍵は折れてしまう。それと下へと続く梯子があった。
「あっ……ごめんなさい、折れてしまいました……。白桜ちゃんと白蛇サマはわたしが下まで運びます」
「ぼあー」
「シャー」
これ以外に使う場所は無いと思うから大丈夫だろう。何処まで続いてるか分からないハシゴを下って行く。しばらくするとやっと地面が見えた。
「ふぅ、着きましたね。ちょっと暗いのでランタンを付けておきます」
僕でも少し暗く感じたからありがたい。周りが照らされると、奥に鉄の扉があるのがはっきりと分かる。僕たちはそこに向かって歩き出した。
「開けますね……えいっ」
「シャァ」
ゴゴゴと鈍い音を立てて扉は開く。扉の先は複数の青く輝く水晶で照らされた少し広めの部屋だった。奥にはまた鉄の扉に、悪魔を模したらしき石像が四つ置かれていた。
今にも動き出してきそうな悪魔の石像にはそれぞれ綺麗な白、赤、黄、茶色の宝石が額に嵌められていた。うーん動きだしそう……。
「……一応警戒して行きましょうか。何かあの石像から感じます」
「ぼぁぁぁ!」
「シャァ!」
白桜は石像の方を見て威嚇するように鳴いていた。僕も戦う覚悟は決めないとね。少しづつ歩き出し、扉まで十メートルほどになった所で異変は起こる。
石像にヒビが入り、ピシピシと鳴りながらヒビは広がってきている。僕たちは石像の方を睨んでどうなるか注目した。
ヒビが足の先にまで広がった途端に、石が剥がれ落ちた。動き出したのは本来の姿を取り戻した、黒い肌と鋭い爪にボロ切れを着た小さな花を持つ悪魔だった。
「「キヒヒヒヒヒ!」」
「き、来ます!」
「ぼあっ!!!」
「シャァ!!!」
ルーフの掛け声と共に悪魔四体は一斉に氷、炎、雷、土の魔法を飛ばしてくる。スキルレベルはそこまで高くないのか僕たちと使ってる物と同じみたいだ。
でも僕の弱点属性を突いてくる敵が現れてしまった。どのくらいのダメージか分からない以上回避に徹するしかない。
「か、《覚醒》!」
ルーフは間一髪覚醒の効果である浮遊で事なきを得た。僕は白の宝石の……長いから白悪魔を真っ先に潰すことにした。
「シャァァ!」
「キヒヒッ」
「シャァ?!」
カースを使ったけど効いてる様子がない。僕は驚きながらも、デバフは諦めて正々堂々戦うことにした。どんな相手でも尻尾で殴れば大概何とかなる!
他の悪魔はルーフと白桜が相手するも、呪属性魔法が効かない以上苦戦しているから早く支援に行かないといけない。
ルーフが魔法から浮遊による速度を生かした、杖による殴打に切り替えたのを視界の端で確認しながら白悪魔を見る。
「キヒヒ!」
「シャっ……」
「キヒッ……」
それなりの速度で突進し、爪で貫こうとして来るけど難なく避ける。すれ違い様に火球を打つと多少はダメージを与えられてるみたい。
今度は僕から仕掛ける。魔法を速度でゴリ押すことで避け、尻尾の射程圏内へと入る。
「シュゥゥゥウ!」
「キヒヒッ! キヒヒヒヒ!」
「シャっ?!」
不気味な嗤い声を聞きながらも尻尾は直撃する。でもかった……!ゴムを殴ったような感覚と共に顔を掴まれて、地面に放り投げられる。
いてて……そこそこHP減ってる。僕は苦戦しながらも、少し焦りながら顔を顰めた。
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